やめとけと言われるブラックなSES企業の特徴
SES企業への転職を検討する際、ブラック企業の特徴を把握しておくことで入社後のミスマッチを防ぐことができます。IT業界では客先常駐を中心とするSES企業が数多く存在しますが、労働環境や待遇面で問題を抱える企業も少なくありません。
ブラック企業を見極めるために、以下の8つの特徴があります。
- 家電量販店やコールセンターへの派遣
- 経歴詐称の強要
- 研修や教育制度の不足
- 1人客先常駐の横行
- 還元率の低さと薄給
- 商流の深い案件ばかり
- 営業力の弱さと案件不足
- 評価基準の曖昧さ
それぞれの特徴を理解することによって、SES企業を選ぶ際の判断材料とすることができます。以下では各特徴について詳しく解説していきます。
家電量販店やコールセンターへの派遣
ブラックSES企業の代表的な手口として、エンジニア志望者を家電量販店やコールセンターに派遣するケースがあります。求人では「未経験歓迎」「充実した研修制度」と記載しておきながら、実際にはITスキルが身につかない業務に従事させる悪質な企業です。
このような企業がエンジニア以外の業務に派遣する主な理由は以下のとおりです。
- エンジニア案件を獲得する営業力がない
- 人材派遣で利益を得ることだけが目的
- 研修と称して長期間別業務に従事させる
- 技術力のある社員が社内に在籍していない
「研修期間」「コミュニケーション能力を磨く」などの理由で正当化されることもありますが、本来のエンジニアとしてのキャリアを築くことはできません。入社後にIT業務とは無関係な業務に配属された場合、早期の転職を検討する必要があるでしょう。
経歴詐称の強要
SES企業の中には、エンジニアの経歴を詐称させて客先との面談に臨ませる企業があります。未経験者に対して「実務経験3年」「大規模システム開発経験あり」などの虚偽の経歴書を作成させ、案件を獲得しようとする手法です。
経歴詐称を強要される背景には、以下の問題があります。
- 営業力が弱く正攻法では案件を獲得できない
- エンジニアのスキルより契約成立を優先する
- 短期的な利益を追求している
- 法令遵守の意識が欠如している
経歴詐称が発覚した場合、責任を問われるのはエンジニア本人になる可能性が高く、客先からの信頼を失うだけではなくキャリアにも傷がつきます。経歴詐称を指示する企業は明らかなブラック企業であるため、即座に退職を検討すべきでしょう。
研修や教育制度の不足
研修や教育制度が整っていないSES企業は、エンジニアの成長を軽視しているブラック企業の可能性が高いです。未経験者を「未経験歓迎」として採用しておきながら、十分な教育を行わずに現場に派遣するケースが見られます。
教育制度が不足している企業の特徴は以下のとおりです。
- 入社後の研修期間が1週間以下または存在しない
- OJT制度やメンター制度がない
- 資格取得支援や書籍購入補助がない
- 技術的な質問ができる先輩社員がいない
優良なSES企業であれば、1ヶ月から3ヶ月程度の研修期間を設け、基礎的なプログラミングスキルやビジネスマナーを教育します。研修制度の有無や内容は、面接時に必ず確認しておくべき重要なポイントです。
1人客先常駐の横行
エンジニアを1人だけで客先に常駐させる案件が多いSES企業は、サポート体制が不十分なブラック企業である可能性があります。単独常駐では技術的な相談相手がおらず、トラブル発生時に孤立してしまうリスクが高くなります。
1人客先常駐の問題点として、以下が挙げられます。
- 技術的な質問や相談ができる相手がいない
- 客先からの直接指示により偽装請負になりやすい
- メンタル面でのストレスが大きくなる
- 所属企業からのフォローが受けられない
優良なSES企業では、チーム単位での常駐を基本としており、複数のエンジニアが同じ現場で働ける体制を整えています。面接時に単独常駐案件の割合を確認することで、企業の姿勢を見極めることができるでしょう。
還元率の低さと薄給
SES企業における還元率とは、客先から受け取った売上に対してエンジニアに支払われる給与の割合を指します。還元率が低いブラック企業では、エンジニアの給与が市場相場より大幅に低くなる傾向があります。
| 企業タイプ | 還元率 | 給与例(月額単価80万円の場合) |
|---|---|---|
| ブラックSES企業 | 40%から50% | 32万円から40万円 |
| 一般的なSES企業 | 50%から60% | 40万円から48万円 |
| 高還元SES企業 | 70%以上 | 56万円以上 |
還元率が低い企業では、企業側が過剰な利益を得ている一方で、エンジニアへの投資や福利厚生が不十分なケースが多く見られます。面接時に還元率や給与体系について質問し、透明性のある回答が得られるかを確認することが重要です。
商流の深い案件ばかり
IT業界では多重下請け構造が存在しており、エンドユーザーから1次請け、2次請け、3次請けと段階的に仕事が流れていきます。商流が深いほど中間マージンが発生し、エンジニアの単価が下がっていく仕組みです。
商流の深い案件ばかりを扱う企業の問題点は以下のとおりです。
- エンジニアの給与が低くなる
- 運用保守やテストなど下流工程の業務が中心
- スキルアップの機会が少ない
- 企業の営業力や信頼性が低い
優良なSES企業では、エンドユーザーや1次請け企業と直接取引があり、上流工程に携わる案件を保有しています。面接時に取引先や案件の商流について質問することで、企業の営業力を判断できるでしょう。
営業力の弱さと案件不足
営業力が弱いSES企業では、エンジニアが次の案件にアサインされるまでの待機期間が長くなる傾向があります。待機期間中は給与が減額されることもあり、経済的な不安を抱えながら過ごすことになります。
営業力の弱い企業に見られる特徴は以下のとおりです。
- 案件が決まるまで数週間から数ヶ月かかる
- 待機期間中の給与が基本給の6割程度に減額される
- 案件の選択肢が少なく希望に合わない業務が多い
- 取引先企業が同業のSES企業ばかり
優良なSES企業では、複数のクライアントと継続的な取引関係を築いており、案件のプールが豊富にあります。待機期間も短く、仮に待機が発生しても給与は満額支給されるのが一般的です。
評価基準の曖昧さ
SES企業ではエンジニアが客先に常駐するため、評価制度が不透明になりやすい構造があります。ブラック企業では評価基準が明確に定められておらず、昇給や昇進の判断が属人的になっている場合が多く見られます。
評価基準が曖昧な企業の問題点は以下のとおりです。
- どれだけ努力しても給与が上がらない
- 評価面談やフィードバックの機会がない
- スキルアップしても正当に評価されない
- キャリアパスが不明確で将来が見えない
優良なSES企業では、スキルレベルごとの評価基準が明文化されており、定期的な面談を通じて成長をサポートする仕組みが整っています。面接時に評価制度について具体的な説明を求めることで、企業の透明性を確認できるでしょう。
ホワイトなSES企業に見られる特徴
SES企業の中には、労働環境が整っており長期的なキャリア形成が可能なホワイト企業も存在します。ブラック企業との違いを理解することで、転職活動における企業選びの精度を高めることができます。
ホワイト企業を見極めるために、以下の4つの特徴があります。
- 教育制度の充実
- 有休消化率の高さ
- 評価制度の明確さ
- 幅広い年代のエンジニアの活躍
それぞれの特徴を把握することによって、自分に合った優良なSES企業を見つけることができます。以下では各特徴について詳しく解説していきます。
教育制度の充実
ホワイトなSES企業では、エンジニアの成長を重視した教育制度が整備されています。未経験者向けの入社時研修だけではなく、継続的なスキルアップをサポートする仕組みが用意されているのが特徴です。
充実した教育制度の具体例は以下のとおりです。
- 1ヶ月から3ヶ月の基礎研修プログラム
- 資格取得支援制度や受験費用の補助
- 技術書購入や外部セミナー参加の費用補助
- 社内勉強会や技術共有会の定期開催
- メンター制度による個別サポート
教育制度が充実している企業では、エンジニアが自己成長を実感しやすく、モチベーションを維持しながら働くことができます。面接時に研修内容や期間、スキルアップ支援について詳しく質問することで、企業の教育への本気度を確認できるでしょう。
有休消化率の高さ
有給休暇の取得しやすさは、SES企業のホワイト度を測る重要な指標です。令和4年の調査によると企業が付与した年次有給休暇の平均取得率は62.1%でしたが、ホワイトなSES企業ではこれを大きく上回る取得率を実現しています。
| 企業タイプ | 有休消化率 | 特徴 |
|---|---|---|
| ブラックSES企業 | 40%以下 | 客先の都合を優先し休暇取得が困難 有休申請に対する心理的なハードルが高い |
| 一般的なSES企業 | 50%から60% | 制度はあるが取得しにくい雰囲気がある 繁忙期には取得が難しい |
| ホワイトSES企業 | 70%以上 | 計画的な休暇取得を推奨 ワークライフバランスを重視 |
有休消化率が高い企業は、エンジニアの健康やワークライフバランスを重視しており、長期的に働ける環境が整っています。面接時に有休消化率や休暇取得の実態について質問することで、企業の姿勢を確認できるでしょう。
評価制度の明確さ
ホワイトなSES企業では、評価基準が明確に定められており、エンジニアの努力や成果が正当に評価される仕組みが整っています。客先常駐という働き方でも、公平な評価を実現するための工夫がなされているのが特徴です。
明確な評価制度の要素は以下のとおりです。
- スキルレベルごとの評価基準が文書化されている
- 定期的な評価面談やフィードバックの機会がある
- 昇給や昇進の条件が具体的に示されている
- 年代別のキャリアパスが明示されている
- 評価結果に対する説明責任が果たされる
評価制度が透明性の高い企業では、エンジニアが自身の成長を実感しやすく、目標を持って働くことができます。面接時に評価基準や昇給の実績について質問し、具体的な回答が得られるかを確認することが重要です。
幅広い年代のエンジニアの活躍
ホワイトなSES企業では、20代の若手だけではなく、30代や40代のベテランエンジニアも活躍しています。幅広い年代の社員が在籍していることは、長期的に働ける環境が整っている証拠です。
年齢構成が健全な企業の特徴は以下のとおりです。
- 平均年齢が30代前半から中盤
- 勤続年数が5年以上の社員が多い
- 若手とベテランの技術交流が活発
- 年齢に応じたキャリアパスが用意されている
若手社員ばかりのSES企業は、離職率が高く長期的なキャリア形成が難しい可能性があります。企業のホームページや面接時に社員の年齢構成や平均勤続年数を確認することで、定着率の高さを判断できるでしょう。
SES企業のブラック・ホワイトの見分け方
SES企業への転職を成功させるためには、ブラック企業とホワイト企業を見分けるための具体的な方法を知っておく必要があります。求人情報や企業ホームページだけでは判断が難しいため、複数の情報源を活用することが重要です。
SES企業を見分けるために、以下の5つの方法があります。
- 企業評価サイトの確認
- 公式ホームページの確認
- 求人内容の確認
- 面接での逆質問の実施
- IT業界の転職エージェントへの相談
それぞれの方法を実践することによって、入社後のミスマッチを防ぎ、自分に合ったSES企業を見つけることができます。以下では各方法について詳しく解説していきます。
企業評価サイトの確認
企業評価サイトや口コミサイトは、SES企業の実態を知るための有力な情報源です。実際に働いた経験のある社員や元社員のリアルな声を確認することで、求人情報では分からない内部事情を把握できます。
企業評価サイトで確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 給与水準や昇給の実態
- 残業時間や休日出勤の頻度
- 教育制度や研修の充実度
- 評価制度の公平性
- 離職率や社員の定着状況
- 待機期間の発生頻度と給与の扱い
OpenWorkや転職会議などの口コミサイトでは、多数の評価を比較することで企業の傾向を掴むことができます。ただし、個人の主観的な意見も含まれているため、複数の口コミを総合的に判断することが重要です。
公式ホームページの確認
SES企業の公式ホームページは、企業の事業内容や取り組みを知るための基本的な情報源です。ホームページの充実度や更新頻度から、企業の信頼性や透明性を判断することができます。
公式ホームページで確認すべき項目は以下のとおりです。
- 事業内容にシステムエンジニアリングサービスの記載があるか
- 取引先企業や実績が具体的に公開されているか
- 自社開発製品やサービスの有無
- 社員インタビューや社内イベントの情報
- 採用情報における業務内容の具体性
- 企業理念や経営方針の明確さ
公式ホームページが存在しない、または情報が乏しいSES企業は、透明性に欠けるブラック企業である可能性が高いです。更新が止まっているホームページも、企業の活動状況に疑問が残るため注意が必要でしょう。
求人内容の確認
求人情報の記載内容から、SES企業の性質をある程度判断することができます。ブラック企業は求人内容が曖昧であることが多く、ホワイト企業は具体的で透明性の高い情報を提供する傾向があります。
| 確認項目 | ブラック企業の特徴 | ホワイト企業の特徴 |
|---|---|---|
| 勤務地 | 「顧客先による」「首都圏内」など曖昧 具体的な住所の記載がない |
本社や営業所の具体的な住所が明記 常駐先のエリアも具体的に記載 |
| 必須スキル | 「何かしらのIT経験」など抽象的 技術要件が一切記載されていない |
使用言語やフレームワークが明確 求めるスキルレベルが具体的 |
| 勤務時間 | 「プロジェクトによる」「客先に準ずる」 具体的な時間の記載がない |
「9時から18時」など具体的に明記 残業時間の目安も記載 |
| 採用人数 | 大量募集(20名以上など) 常に募集を続けている |
適正人数の募集 欠員補充など理由が明確 |
求人内容が具体的で透明性の高いSES企業は、エンジニアを大切にする姿勢が感じられます。曖昧な表現が多い求人は、入社後に想定外の働き方を強いられるリスクが高いため避けるべきでしょう。
面接での逆質問の実施
面接時の逆質問は、SES企業の実態を直接確認できる貴重な機会です。質問への回答内容や対応の仕方から、企業の透明性や誠実さを判断することができます。
面接で確認すべき逆質問の例は以下のとおりです。
- 平均単価と還元率はどれくらいですか
- 研修やOJTの内容と期間を教えてください
- エンジニアのキャリアパスはどうなっていますか
- チームでの参画が多いですか、単独常駐もありますか
- 取引先は何次請けが中心ですか
- 社員の平均年齢と離職率を教えてください
- 配属される業界や案件の種類はどうなっていますか
- 評価基準と昇給のタイミングを教えてください
- 待機期間中の給与はどうなりますか
ホワイトなSES企業であれば、これらの質問に対して具体的な数字や実例を交えて丁寧に回答してくれます。回答を避けたり曖昧な説明に終始したりする場合は、何らかの問題を抱えている可能性が高いため注意が必要です。
IT業界の転職エージェントへの相談
IT業界に特化した転職エージェントを活用することで、求人サイトには掲載されていない企業の内部情報を得ることができます。業界に精通したキャリアアドバイザーは、ブラック企業の特徴を把握しており、適切なアドバイスを提供してくれます。
転職エージェントを利用するメリットは以下のとおりです。
- 非公開求人を含む優良SES企業の紹介
- 企業の内部事情や評判の共有
- 面接対策や条件交渉のサポート
- ブラック企業の情報提供と回避
- キャリアプランの相談と提案
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