経歴詐称や詐欺で有名なSES企業はどこ?リストや訴訟事例を解説

経歴詐称や詐欺で有名なSES企業はどこ?リストや訴訟事例を解説

経歴詐称・詐欺で有名なSES企業・代表者の実態

経歴詐称・詐欺で有名なSES企業・代表者の実態

SES業界では一部の企業が組織的に経歴詐称を行い、社会問題となっています。首都圏青年ユニオンが公表した情報によると、複数の詐欺グループが複数のSES企業を運営し、未経験者に経歴詐称を強要していたことが明らかになりました。

被害者は600人以上に及ぶとされ、2024年7月には東京地裁で勝訴判決を獲得しています。経歴詐称で有名なSES企業の実態は以下のとおりです。

  • 首都圏青年ユニオンが公表した詐欺企業リスト
  • 組織的な経歴詐称の具体的な手口
  • 被害者を出し続ける詐欺グループの実態

以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。

首都圏青年ユニオンが公表した詐欺企業リスト

首都圏青年ユニオンは、組織的に経歴詐称を行っていたSES企業のリストを公開し、被害拡大の防止を呼びかけています。このリストには法人番号と本店所在地も記載されており、同名の企業との区別が可能です。

公表された主な企業は以下のとおりです。

  • Tech Love株式会社
  • 株式会社フロンティア
  • 株式会社サクセス
  • 株式会社クライムゲート
  • 株式会社miifuz
  • 株式会社Tecving
  • 株式会社H&Future
  • 株式会社Villoba

これらの企業は同じ詐欺グループによって運営されており、被害者からの相談が相次いでいます。求人サイトに掲載されている企業名を確認する際は、首都圏青年ユニオンのリストと照合することが重要です。

組織的な経歴詐称の具体的な手口

経歴詐称で有名な詐欺グループは、複数のSES企業を運営していました。2024年7月の東京地裁判決では、スクール事業と経歴詐称強要が詐欺であると認定されています。

詐欺グループの主な手口は以下のとおりです。

手口の段階 具体的な内容
求人段階 「未経験OK」「月収30万円」などの好条件求人を掲載
面接時に「経歴を盛るのは当たり前」と説明
入社後 48万円から60万円のプログラミングスクール受講を強要
実際には無料公開動画を見るだけの内容
経歴詐称 未経験でも経験5年とする虚偽のスキルシート作成を指示
客先面談で嘘をつくよう面接練習を実施
退職妨害 給与支払いを就労月の2か月後に設定
退職者の給与未払い・離職票未発行

被告らは控訴したものの、2025年2月の東京高裁でも敗訴し、賠償額は一審の約550万円から約769万円に増額されました。登記上の住所をレンタルオフィスにするなど、被害者や行政機関との接触を避ける手口も明らかになっています。

被害者を出し続ける詐欺グループの実態

経歴詐称で有名な詐欺グループは、判決後もスラップ訴訟を起こすなど悪質な対応を続けています。原告の一人に対して約1億円を請求する訴訟を提起し、被害者たちにSMSを一斉送信するなどの嫌がらせを行いました。

詐欺グループが活動を継続できる背景は以下のとおりです。

  • 複数の企業を設立して求人活動を継続
  • 企業名や代表者名を変更して活動
  • レンタルオフィスを利用して所在を隠蔽
  • 求人サイトの審査体制の不備を利用

現在も刑事告訴やさらなる損害賠償裁判の準備が進められています。被害者は20代から30代の若年労働者に多く、新卒で詐欺につかまってしまった人も多く含まれます。首都圏青年ユニオンでは情報提供や組合加入の連絡を受け付けているため、被害に遭った方は早めに相談することをおすすめします。

経歴詐称・詐欺に関する有名な裁判の訴訟事例

経歴詐称・詐欺に関する有名な裁判の訴訟事例

SES企業による経歴詐称問題は、複数の訴訟に発展しています。被害者が声を上げたことで、裁判所も経歴詐称の違法性を明確に認定するようになりました。

代表的な経歴詐称の訴訟事例として、以下の3つの判決が業界に大きな影響を与えています。

  • 東京地裁で勝訴した2024年7月の判決内容
  • 東京高裁で賠償額が増額された2025年2月の判決
  • 判決で認定された経歴詐称の違法性

各事例について、詳しく解説していきます。

東京地裁で勝訴した2024年7月の判決内容

2024年7月19日、東京地方裁判所はSES企業の経営者に対し、元社員3人に計515万円の損害賠償を支払うよう命じました。この判決は、SES企業による経歴詐称が詐欺行為であると明確に認定した画期的な判決です。

判決で認定された主な内容は以下のとおりです。

認定事項 判決内容
スクール事業 プログラミング指導ではなく経歴詐称の指導が主目的
詐欺に該当すると判断
業務命令 未経験者に経歴詐称させて派遣する行為は不法行為
共同不法行為として認定
元社員の立場 指示に従わざるを得ない状況に追い込まれていた
詐欺の主体ではないと判断
賠償内容 スクール代金・精神的苦痛の慰謝料を大部分認める
逸失利益は請求の3割を下回る金額

裁判所は「事業内容は取引先に対する詐欺行為により利益を得ようとするものというほかない」と断じました。元社員らは前職を退職するなどしており、指示に従わざるを得なかったという状況も考慮されています。

東京高裁で賠償額が増額された2025年2月の判決

2025年2月6日、東京高等裁判所は一審判決を支持しつつ、賠償額を約769万円に増額する判決を下しました。被告らは一審判決を不服として控訴していましたが、高裁は被告側の主張を全面的に退けています。

賠償額が1.5倍に増額された理由は以下のとおりです。

  • 元社員が短期間で退職を余儀なくされた事実を重視
  • 通常よりも長期間の転職活動が必要だった点を考慮
  • 逸失利益の算定方法を見直し増額を認めた

原告の代理人弁護士は「SES詐欺に対する大きな抑止力になった」とコメントしています。被告らはさらに、原告の一人に対して約1億円を請求するスラップ訴訟を起こすなど、極めて悪質な対応を続けましたが、裁判所から取り下げ勧告を受けました。

判決で認定された経歴詐称の違法性

一連の判決では、SES企業による経歴詐称が詐欺罪に該当することが明確に認定されました。裁判所は、スクール事業も経歴詐称を前提とした詐欺の手段であると判断しています。

判決で認定された違法性の具体的な内容は以下のとおりです。

違法行為の種類 認定内容
詐欺的勧誘 「未経験からSEになれる」という虚偽の求人広告
プログラミング習得ではなく詐欺技術の指導
経歴詐称強要 未経験を経験5年と偽るスキルシート作成の指示
客先面談で嘘をつくよう強制
労働法違反 給与支払いを2か月後に設定
社会保険料の違法天引き・未納付
退職妨害 給与未払い・離職票未発行
退職者からの連絡を無視

被告らは「この業界では経歴詐称が当たり前だ」と面接で説明していましたが、裁判所はこうした言い訳を一切認めませんでした。原告らが現場で能力に見合わない業務を任され、叱責を受けるなどして精神的苦痛を受けた事実も重視されています。

経歴詐称・詐欺を強要するSES企業の特徴

経歴詐称・詐欺を強要するSES企業の特徴

経歴詐称を強要するSES企業には共通する特徴があります。これらの特徴を事前に把握することによって、被害を未然に防ぐことができるでしょう。

経歴詐称を強要する企業の主な特徴は以下のとおりです。

  • 未経験者を大量募集している
  • 選考フローが極端に短い
  • スキルシートの改ざんを指示する

それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。

未経験者を大量募集している

経歴詐称を前提とするSES企業は、エンジニア未経験者を大量に募集する傾向があります。経験者は高い報酬を提示する大手企業を志向するため、未経験者をターゲットにせざるを得ないという事情があるでしょう。

未経験者大量募集企業の特徴は以下のとおりです。

  • 「未経験OK」「経験不問」を強調した求人
  • 「月収30万円以上」など相場より高い給与を提示
  • 常に複数の求人サイトで大量募集を継続
  • 採用人数の上限を明記していない

未経験者は経歴詐称をさせる格好のターゲットです。待機している従業員は会社にとって支出となるため、経歴を偽ってでも常駐先と契約させたいという背景があります。IT業界を未経験で目指すなら、安易にこうした求人に飛びつくのは危険です。

選考フローが極端に短い

悪質なSES企業は、経歴詐称を前提としているため候補者の見極めが不要です。その結果、選考フローが極端に短くなる傾向があります。

選考フローの異常な短さの例は以下のとおりです。

選考段階 通常の企業 悪質な企業
面接回数 2回から3回 1回のみ
面接時間 30分から60分 15分から20分
内定までの期間 1週間から2週間 面接当日または翌日
スキル確認 実技試験・課題提出あり 形式的な課題のみ

選考に労力や費用をかけたくないという企業側の思惑が透けて見えます。面接で経歴や学歴についてほとんど触れられない、スキル不足でも即日採用されるといった場合は注意が必要です。

スキルシートの改ざんを指示する

入社後にスキルシートの改ざんを指示することは、経歴詐称を強要するSES企業の最も典型的な特徴です。企業側が勝手にスキルシートを書き換えるケースもあります。

スキルシート改ざんの具体例は以下のとおりです。

  • 研修3か月を実務経験3年と記載
  • 未経験の言語を「使用可能」と記載
  • 架空のプロジェクト参画歴を追加
  • 年齢や学歴まで詐称するよう指示

ある被害者の事例では、入社2か月で経験年数3年と記載されたスキルシートを渡され、行ったこともない出向先が4つも記載されていました。面談でも嘘をつくよう強要され、「万が一バレても訴えられるのは会社の方だから気にしなくていい」と説明されたといいます。しかし、実際には従業員も損害賠償請求のリスクを負うため、この説明自体が虚偽です。

経歴詐称・詐欺を強要された場合の対処法

経歴詐称・詐欺を強要された場合の対処法

経歴詐称を強要されても、従う必要は一切ありません。経歴詐称は詐欺行為に該当し、従業員も法的リスクを負う可能性があります。

経歴詐称を強要された場合の対処法は以下のとおりです。

  • 経歴詐称の指示を明確に拒否する
  • 証拠を記録して自分を守る
  • 転職準備を進めて早期脱出する

各対処法について、詳しく解説していきます。

経歴詐称の指示を明確に拒否する

経歴詐称を強要されたら、明確に拒否の意思を示すことが最も重要です。経歴詐称が当たり前の環境にいると感覚が麻痺しますが、よくないことをしているのは企業側です。

拒否する際のポイントは以下のとおりです。

  • 口頭だけではなくメールや書面でも拒否を記録
  • 「法的リスクがある」と明示して拒否
  • 「首にするぞ」と脅されても動じない
  • 拒否したことで不利益を受けたら記録

「この業界では当たり前」「みんなやっている」という言葉に惑わされてはいけません。経歴詐称を前提としない優良SES企業は数多く存在します。断ることに抵抗があるかもしれませんが、悪事の片棒を担ぐ必要はありません。

証拠を記録して自分を守る

企業側が勝手にスキルシートを書き換えることもあるため、証拠を記録しておくことが重要です。万が一トラブルに発展した際、証拠があれば自分の立場を守ることができます。

記録すべき証拠は以下のとおりです。

証拠の種類 記録方法
スキルシート 提出前に必ず写真やコピーを保管
提出前に内容確認をさせてもらう
指示の記録 経歴詐称を指示するメールを保存
可能であれば音声録音も実施
面談内容 「経歴を盛るのは当たり前」という説明
面接時の録音や記録
契約書類 雇用契約書・スクール契約書のコピー
給与明細・勤怠記録

提出時にスキルシートの確認をさせてもらえない場合、その時点で悪質な企業である可能性が高いです。証拠を集めておけば、労働組合や弁護士に相談する際にも役立ちます。

転職準備を進めて早期脱出する

経歴詐称を強要する企業に長く在籍しても、将来性は期待できません。精神的に追い込まれる前に、転職準備を進めることが根本的な解決策です。

転職準備のステップは以下のとおりです。

  • IT転職エージェントに相談して優良企業を紹介してもらう
  • 退職者の口コミサイトで応募先企業の評判を確認
  • 首都圏青年ユニオンなど労働組合に相談する
  • 短期離職の理由を正直に説明できるよう準備

短期離職を気にする方もいますが、経歴詐称強要という正当な理由があれば問題ありません。むしろ、自身の行動をしっかり振り返れる人だと評価される場合もあります。IT業界は人材不足のため、経歴詐称のない優良企業への転職は十分可能です。企業の体質を変えるより、自分が健全な環境に移る方が遥かに効率的でしょう。

経歴詐称・詐欺などの被害の相談先

経歴詐称・詐欺などの被害の相談先

経歴詐称を強要された場合、一人で抱え込まず専門機関に相談することが重要です。被害を受けている、または受けそうな状況にある方は、以下の相談先を活用してください。

経歴詐称被害の主な相談先は以下のとおりです。

  • 首都圏青年ユニオンに相談する
  • IT転職エージェントに相談する
  • 弁護士や法律相談窓口に相談する

それぞれの相談先について、詳しく解説していきます。

首都圏青年ユニオンに相談する

首都圏青年ユニオンは、SES詐欺事件の解決に積極的に取り組んでいる労働組合です。2021年5月から経歴詐称問題に取り組み、2024年7月の東京地裁勝訴判決を勝ち取った実績があります。

首都圏青年ユニオンに相談するメリットは以下のとおりです。

  • SES詐欺事件の豊富な解決実績
  • 団体交渉による企業への直接交渉
  • 訴訟提起のサポート
  • 被害者同士の情報共有

現在も被害者からの相談が相次いでおり、収集した証拠類から被害者は600人以上に上ることが分かっています。組合加入や情報提供を希望する方は、ウェブサイトから連絡できます。刑事告訴やさらなる損害賠償裁判の準備も進めているとのことです。

IT転職エージェントに相談する

IT業界に特化した転職エージェントは、経歴詐称のない優良企業を紹介してくれます。専任のアドバイザーが無料で相談に乗り、転職活動全体をサポートしてくれるでしょう。

IT転職エージェントを利用するメリットは以下のとおりです。

サポート内容 具体的な支援
企業の選定 経歴詐称を行わない優良企業のみを紹介
ブラック企業を徹底的に排除
面接対策 短期離職の理由を適切に説明する方法
逆質問の準備・面接練習
給与交渉 適正な給与水準の情報提供
年収アップの交渉代行
入社後サポート 入社後の悩み相談
キャリアプランの継続的アドバイス

経歴詐称に疲れて転職したいという相談は多く寄せられています。IT業界は人材不足のため、優良企業への転職は十分可能です。相談から内定まで完全無料で利用できるため、早めに相談することをおすすめします。

弁護士や法律相談窓口に相談する

経歴詐称を強要されて実際に被害を受けた場合、弁護士に相談することで法的措置を検討できます。給与未払いや退職妨害などの労働問題も併せて相談可能です。

弁護士に相談すべきケースは以下のとおりです。

  • スクール代として数十万円を支払わされた
  • 給与が未払いのまま退職させられた
  • 離職票や源泉徴収票を発行してもらえない
  • 経歴詐称がバレて客先から損害賠償を請求されそう

SES詐欺事件では原告代理人が東京地裁・東京高裁で勝訴を勝ち取っています。各都道府県の弁護士会や法テラスでも無料相談を受け付けているため、証拠を持参して相談してください。消費者センターでもスクール代に関する相談が可能です。

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