SESでスキルレベルが低いと評価される状況
SESエンジニアとして働く中で、自分のレベルが低いと評価される状況はいくつか存在します。技術力が求められる現場において、期待されるスキルに達していないと判断されることで、さまざまな問題が生じる可能性があります。
レベルが低いと評価される代表的な状況は以下の3つです。
- スキル不足で案件にアサインできない
- 常駐先での滞在期間が短い
- 業務についていけない
それぞれの状況について詳しく解説していきます。
スキル不足で案件にアサインできない
SESでは案件にアサインされる前に面談が行われますが、スキル不足の場合は面談を通過できないことがあります。クライアントが求めるスキルを持っていなければ、どれだけ意欲があっても不採用となってしまうでしょう。
面談では過去の経歴や携わった具体的な案件、得意なプログラミング言語や技術領域を確認されます。その際に常駐先で必要となるスキルも提示されるため、該当するスキルを保有していない場合は不採用になりやすいです。
たとえ最先端のプログラミングを習得していたとしても、現場で旧式のプログラム言語が使われていた場合には合格できないケースもあります。このように、案件とスキルのミスマッチが発生すると、アサインされる機会が減ってしまうのです。
常駐先での滞在期間が短い
1ヶ所の常駐先での滞在期間が短い場合には、スキル不足を感じやすくなります。スキルが十分な人は契約更新が行われるため、継続して1ケ所の現場にいることが多いです。
一方で、スキル不足の場合には契約更新されることはなく短期間で退場となってしまう場合があります。短期間で退場して別の常駐先に移ってしまうと、仕事を覚えるための時間ばかりが増えてしまい、肝心のスキルアップに時間を割けません。
常駐期間が1ヶ月程度など極端に短い場合、十分なスキルが身につかないまま案件が終わってしまうため、スキル不足の状態が続いてしまうことになります。
業務についていけない
業務についていけないことで、スキル不足を感じることもあります。業務マニュアルが理解できない場合や、周囲とコミュニケーションがうまくいかない場合に、自身のスキル不足を感じてしまうでしょう。
SESでは多くの場合チームでひとつの業務を行います。チームの進捗が遅れた場合は、たとえ自身のスキル不足が直接的な原因でなかったとしても、業務量の多さからスキル不足を感じてしまう人もいます。
また、自分よりスキルレベルの高いエンジニアに囲まれて仕事すると、どうしても自分がスキル不足だと感じます。周りのエンジニアが優秀な場合に、チームで業務を行う以上は周囲とのパフォーマンスを見比べて自分を評価してしまうことがあるのです。
SESでレベルが低くなってしまう原因
SESエンジニアのレベルが低くなる原因は、必ずしもエンジニア自身であるとは限りません。環境や所属企業に原因がある場合もあります。
レベルが低くなる主な原因は以下の3つです。
- スキルアップできる案件に入れない
- 研修制度が整っていない
- 自己学習の不足
それぞれの原因について詳しく見ていきます。
スキルアップできる案件に入れない
スキルアップできない現場に配属されてしまうと、スキルが身につかず、レベルが低いまま時間だけが過ぎてしまいます。スキル不足のエンジニアは、スキルが身につかないような案件ばかりを担当することになり、結果的には悪循環に陥るでしょう。
持っているスキルと比べてレベルの低い案件ばかりに配属されていると、なかなかスキルアップできません。スキルレベルはSESエンジニアによって大きく異なるため、SES企業が抱える案件レベルとマッチするかは人それぞれです。
たとえば、テスター業務やデータ入力、コールセンターのオペレーターなどの単純作業を続けていても、SESエンジニアとしてのスキルアップは見込めません。このような業務で年齢を重ねると、開発をバリバリやっているエンジニアとは差が開いてしまいます。
研修制度が整っていない
研修や教育制度が整っていない場合、現場に出た時にスキル不足を感じやすいです。中にはエンジニア未経験で入社したのにも関わらず、人手不足を理由に研修無しで現場に配属する企業もあります。
この場合、ITに関する基礎的な知識がないため、配属先で右も左もわからない状態に陥ってしまうのです。誰でも最初はスキルが無い状態から出発しますが、やはり配属前の一定期間はスキルを習得する期間が必要になるものです。
企業の研修制度が充実していないと、所属しているエンジニアがスキル不足になりやすいので要注意です。エンジニアの知識やスキルが不十分だとできる仕事が限られるため、簡単な事務作業やテストなどITエンジニアとは関係ない仕事にアサインされる場合もあります。
自己学習の不足
もちろん、自身の勉強不足でスキル不足に陥るエンジニアも多いです。エンジニアは業務だけでなく、自宅での学習など業務外時間での学習を必要とされることがあります。
SESは人手が不足している現場に常駐する働き方のため、即戦力となることを求められます。現場で教えてもらおうといった姿勢の人が求められるほど、甘い世界ではありません。
IT業界は変化のスピードが速いため、最新の知識や技術に自らアップデートしていかないと、ニーズがなくなってしまいます。何の勉強もしていない努力不足のエンジニアは、次第に参画できる案件も減っていくことでしょう。
SESでスキルレベルが低いと起こる問題
SESエンジニアとしてレベルが低い状態が続くと、さまざまな問題が生じます。特に、技術やスキルの向上が求められる現場では、これらの問題が顕在化しやすく、キャリアにも悪影響をおよぼしかねません。
レベルが低いことで起こる代表的な問題は以下の3つです。
- 給料が上がらない
- 案件を選べない
- 退場のリスクが高まる
それぞれの問題について詳しく解説していきます。
給料が上がらない
SESエンジニアがスキル不足のままだと、高度なスキルを必要としない下流工程の案件が中心になります。これはSESに限らずどの業界でも言えることですが、高度なスキルを持っていて希少価値の高い仕事ができる人ほど、高年収を稼ぎやすいです。
つまり、スキルが不足していると単価の低い案件にしか参画できないため、年収も上がりづらくなります。SESエンジニアの平均年収は300〜500万円であり、新卒やエンジニア未経験の場合は300万円程度からのスタートが一般的です。
ITエンジニアとしてスキルアップできないと、この年収300万円台からなかなか抜け出せないのが現状です。年収が上がらないだけならまだしも、スキル不足のまま年齢を重ねてしまうと、リストラされる可能性すらあります。
案件を選べない
当然ですが、スキルがないSESエンジニアは選べる案件も限られます。仮にSES企業が良質な案件を持っていたとしても、エンジニアが案件に見合うスキルを持っていなければ当然アサインされません。
スキル不足だと、案件面談をしてもアサインが見送られてしまう可能性が高いでしょう。また、仮にアサインされたとしても、客先常駐している最中にクライアントから基準に達していないと言われれば、退場を命じられる場合もあるのです。
自分で働きやすい環境を選びたいと思うのであれば、まずは多くの現場で活躍できるスキルを身につけ、自ら選択肢を広げていきましょう。案件選択制度を取り入れているSES企業にいても、スキルが不足しているとそもそも提案された仕事を受けるしかなかったり、少ない選択肢の中から選ぶことになります。
退場のリスクが高まる
スキル不足やパフォーマンスの低下により、常駐先から退場させられるリスクが高まります。SESが常駐先から退場させられる最も多い理由はスキル不足です。
SESでは客先と契約したうえで業務に従事するため、客先が期待するスペックに届かない場合には、どうしても別のエンジニアと交代させられることになります。必要とされるスキルのギャップは早々に発覚することが多いため、1ヶ月程度で交代となってしまうケースもあります。
一度退場させられると次の案件を見つけるのが難しくなり、再び信頼を得るまでに時間を要するでしょう。このような出来事が起こることで、キャリアにも大きなダメージを受けることに注意が必要です。
SESでスキルレベルを上げる対処法
SESエンジニアとしてレベルが低いと感じた場合、現状を改善するための対処法があります。レベルを上げることで、案件の選択肢が広がり、給料アップやキャリアアップにもつながるでしょう。
レベルを上げるための主な対処法は以下の3つです。
- スキルアップに取り組む
- 転職を検討する
- キャリアプランを見直す
それぞれの対処法について詳しく解説していきます。
スキルアップに取り組む
現在スキル不足に悩んでいるのなら、スキルを身につければ参画できる案件が増えます。近年ではスクールや参考書など、良質な環境や教材はたくさん存在するので、自らスキルアップに励んで選択肢を増やしていきましょう。
最新技術のトレンドを把握するために技術系ブログやニュースサイトを定期的にチェックしたり、オンライン講座を活用して効率よく学習するのがおすすめです。UdemyやCourseraなどのプラットフォームでは幅広いIT分野の講座が提供されており、忙しい業務の合間でも自分のペースで知識を習得できます。
中でも専門分野の資格取得はおすすめです。資格は客観的に知識やスキルを証明できる強力な武器となるので、積極的に挑戦するといいでしょう。AWS認定資格やOracle認定Javaプログラマなど市場価値の高い資格に挑戦してみるのも良い方法です。
転職を検討する
上記の対処法に取り組んでも今のSES企業では頑張ってもスキルアップが難しいと感じた場合は、転職を検討するのも1つの方法です。ただし、エンジニアとしてスキル不足のままだと、転職先を探すのにも苦労します。
教育・研修制度が充実しているSES企業であれば、働きながら業務に必要な知識や技術を習得できます。また、教育・研修制度が充実しているSES企業は社員の育成に力を入れている企業と言い換えられるため、社員を大切にする姿勢がうかがえるでしょう。
取り扱っている案件が多ければ、自分にマッチする案件も見つかりやすいです。幅広い分野の案件に携わることができれば、その分多くの知識・技術を学ぶこともできます。ある程度のスキルを身につけた上での転職であれば、上手くいく可能性も高いと考えられます。
キャリアプランを見直す
まずはあなたの望むキャリアプランやどんな仕事をしたいかを考えてみましょう。プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーへ昇格したい、実績を積んで自社開発に転職したい、フリーランスとして独立したいなど、目指すキャリアプランは人によって様々です。
しかし、キャリアプランが明確になれば必要なスキルも明確になり、参画すべき案件も自然と決まります。また目指す方向性が定まれば、今の自分に足りないスキルも明確になることでしょう。
現時点で明確に決まっていないと思う方は、1度時間を取ってこの先どんな仕事・働き方をしていきたいかをじっくり考えてみるところから始めてください。キャリアプランを見直すことで、自分が本当にやりたいことや伸ばすべきスキルが見えてくるはずです。