SESエンジニアが資格を取りまくるメリット
SESエンジニアとして働く中で、資格を多数取得することには大きなメリットがあります。資格は自分のスキルを客観的に証明する手段となり、キャリアアップや収入増加に直結しやすいためです。
SESエンジニアが資格を取りまくることで得られる主なメリットとして、以下の4つがあります。それぞれのメリットは実務やキャリア形成において重要な役割を果たすため、資格取得を検討する価値は十分にあるでしょう。
- SES面談で案件が決まりやすくなる
- 資格手当で年収が上がる
- 転職で有利になる
- スキルに自信がつく
各メリットについて、詳しく解説していきます。
SES面談で案件が決まりやすくなる
資格を多数保有していることによって、SES面談で案件が決まりやすくなります。面談では自分のスキルを口頭で説明する必要がありますが、資格があればそれだけで一定の知識やスキルを備えていることを証明できるためです。
| 資格保有状況 | 面談での評価 |
|---|---|
| 資格なし | 口頭説明のみでスキルを伝える必要がある 実務経験が少ないと評価が難しい |
| 1〜2個保有 | 基礎的なスキルの証明になる 面談での説得力が増す |
| 複数保有 | 専門性の高さをアピールできる 面談担当者の信頼を得やすい |
例えば、基本情報技術者試験とLinux系の資格、さらにPython認定試験を保有していれば、幅広い技術領域に対応できるエンジニアとして評価されます。このように複数の資格を持っていることによって、面談担当者に「この人なら安心して現場に送り出せる」という印象を与えられるでしょう。
また、実務経験が浅いエンジニアにとっては、資格が唯一の武器になるケースもあります。経験不足を資格でカバーすることによって、希望する案件に参画できる可能性が高まります。
資格手当で年収が上がる
多くのSES企業では資格手当制度を設けており、資格を取りまくることで毎月の給料を増やせます。資格手当は基本給とは別に支給されるため、年収を直接的に上げられる効果的な方法です。
| 資格名 | 資格手当の目安 |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 月3万円〜5万円 |
| 応用情報技術者試験 | 月5万円〜7万円 |
| プロジェクトマネージャ試験 | 月10万円〜15万円または年間100万円 |
| ネットワークスペシャリスト試験 | 月10万円〜15万円 |
例えば、基本情報技術者試験で月3万円、応用情報技術者試験で月7万円の資格手当が支給される企業であれば、この2つの資格だけで月10万円、年間120万円の収入増加が見込めます。さらに高度な資格を取得することによって、年収400万円台から500万円台、600万円台へと段階的に収入を上げられるでしょう。
資格手当の金額は企業によって異なりますが、複数の資格を保有していれば確実に年収アップにつながります。費用対効果を考えても、資格を取りまくることは収入を増やす最も確実な方法の1つです。
転職で有利になる
資格を多数保有していることによって、転職活動で有利に働きます。履歴書や職務経歴書に複数の資格を記載できるため、書類選考の段階で他の候補者と差別化を図れるためです。
特にSESから自社開発企業やSIer企業への転職を目指す場合、資格は重要な評価材料になります。実務経験だけでは伝えきれない技術的な知識や学習意欲を、資格を通して客観的に示せるでしょう。
| 転職先のタイプ | 評価される資格 |
|---|---|
| 自社開発企業 | プログラミング系資格(Python、Java) クラウド系資格(AWS、Azure) |
| SIer企業 | IPA高度試験(応用情報、プロジェクトマネージャ) データベーススペシャリスト試験 |
| 外資系IT企業 | 英語系資格(TOEIC800点以上) グローバル認定資格(AWS、Oracle) |
例えば、応用情報技術者試験とプロジェクトマネージャ試験を保有していれば、システム開発の上流工程を担当できるエンジニアとして評価されます。このように資格を取りまくることによって、転職先の選択肢が広がり、より条件の良い企業への転職が実現しやすくなるでしょう。
スキルに自信がつく
資格を取りまくることによって、自分のスキルに対する自信が生まれます。資格試験に合格するためには体系的な知識の習得が必要なため、学習を通じて確実にスキルアップできるためです。
実務だけでは断片的な知識になりがちですが、資格勉強を通じて基礎から応用まで体系的に学ぶことによって、より深い理解が得られます。この知識は実際の開発現場でトラブルが発生した際の問題解決能力につながり、周囲からの信頼も得やすくなるでしょう。
また、資格を複数取得していれば「これだけの資格を持っている」という自信が、業務への積極性や発言力の向上にもつながります。自信を持って業務に取り組めることによって、結果的にパフォーマンスが向上し、さらなるキャリアアップの機会が得られやすくなります。
SESエンジニアが取りまくるべきおすすめの資格
SESエンジニアが資格を取りまくる際には、どの資格を選ぶかが重要になります。闇雲に資格を取得するのではなく、実務に役立ち、かつキャリアアップにつながる資格を優先的に取得することが効率的です。
SESエンジニアが取りまくるべきおすすめの資格として、以下の3つのカテゴリがあります。それぞれのカテゴリには特徴があり、自分のキャリアプランに合わせて選択することで最大の効果が得られるでしょう。
- 基本情報技術者試験と応用情報技術者試験
- IPA高度試験
- プログラミング系資格
各カテゴリの資格について、詳しく解説していきます。
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験
SESエンジニアが最初に取りまくるべき資格は、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験です。この2つは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格であり、IT業界で最も認知度が高く、多くの企業で資格手当の対象となっているためです。
| 資格名 | 特徴と取得メリット |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | IT業界の登竜門として位置づけられる資格 コンピュータシステムの基礎知識を体系的に学べる 合格率は約40%で比較的取得しやすい |
| 応用情報技術者試験 | 基本情報の上位資格で専門性が高い システム開発の全工程を理解できる 合格率は約25%で難易度が高い |
基本情報技術者試験はエンジニアとして最低限必要な知識を証明する資格です。まだ取得していないSESエンジニアは、最優先で取得するべきでしょう。この資格を持っていることによって、IT用語やシステム開発の基礎が身についていることを客観的に示せます。
応用情報技術者試験は基本情報を取得した後に挑戦すべき資格です。より高度な技術的知識や経営戦略、プロジェクトマネジメントまで幅広く学べるため、上流工程を目指すエンジニアには必須といえます。この2つの資格を取得することによって、SESエンジニアとしての基盤が固まり、その後の専門資格取得もスムーズに進むでしょう。
IPA高度試験
基本情報と応用情報を取得した後は、IPA高度試験を取りまくることをおすすめします。高度試験は専門性が非常に高く、取得することによってその分野のスペシャリストとして認められるためです。
| 資格名 | 対象者と取得メリット |
|---|---|
| プロジェクトマネージャ試験 | 上流工程やリーダー職を目指すエンジニア向け 高単価案件に参画しやすくなる 年収1000万円も狙える |
| ネットワークスペシャリスト試験 | インフラエンジニア向け ネットワーク設計から運用保守まで対応できる 合格率は約15%と難易度が高い |
| データベーススペシャリスト試験 | データベース設計や管理を担当するエンジニア向け システムの根幹を担う重要な技術を証明できる 需要が高く案件単価も高い |
| システムアーキテクト試験 | システム設計を担当するエンジニア向け 要件定義から設計まで幅広く対応できる SIer企業への転職に有利 |
IPA高度試験は難易度が非常に高く、合格率は15〜20%程度です。しかし、取得できれば市場価値が大幅に上がり、年収アップや転職の際に強力な武器になります。例えば、プロジェクトマネージャ試験を取得すれば、月額単価が10万円以上アップするケースも珍しくありません。
これらの高度試験を複数取得することによって、SESエンジニアとしての専門性を極めることができます。自分のキャリアプランに合わせて、目指す分野の高度試験を順次取得していくと良いでしょう。
プログラミング系資格
実際の開発業務に直結するプログラミング系資格も、SESエンジニアが取りまくるべき資格です。特定のプログラミング言語の資格を複数取得することによって、その言語の専門家として認められ、関連する案件に参画しやすくなるためです。
| 資格名 | 推奨理由と取得メリット |
|---|---|
| Python3エンジニア認定試験 | AI開発やデータ分析で需要が高い 最もトレンドのプログラミング言語 基礎試験とデータ分析試験の2種類がある |
| Oracle認定Javaプログラマ | 企業システム開発で最も使用される言語 Bronze、Silver、Goldの3段階がある SES案件の多くがJava関連 |
| HTML5プロフェッショナル認定試験 | Web開発の基礎となる技術 フロントエンド開発に必須 レベル1とレベル2がある |
プログラミング系資格を取りまくる際は、自分が将来携わりたい分野に関連する言語を優先的に選ぶことが重要です。例えば、AI開発やデータ分析に興味があるならPython系資格を、Web開発を目指すならHTML5やJavaScript系資格を取得すると良いでしょう。
また、複数のプログラミング言語の資格を取得することによって、幅広い案件に対応できるマルチなエンジニアとして評価されます。特定の言語に特化するか、複数言語を横断的に学ぶかは、自分のキャリア戦略に応じて決定してください。
SESエンジニアが資格を取りまくる際の注意点
SESエンジニアが資格を取りまくることには多くのメリットがありますが、注意すべき点も存在します。資格取得には時間と費用がかかるため、計画的に進めないと負担が大きくなる可能性があるためです。
資格を取りまくる際に注意すべき点として、以下の3つがあります。これらの注意点を理解した上で、無理のないペースで資格取得を進めることが長続きの秘訣です。
- 勉強時間の確保が必要
- 受験費用と教材費がかかる
- 実務経験も重要
各注意点について、詳しく解説していきます。
勉強時間の確保が必要
資格を取りまくるためには、継続的な勉強時間の確保が必要です。仕事をしながら複数の資格試験の勉強を並行して進めることは、想像以上に大変だと認識しておく必要があります。
| 資格の難易度 | 必要な勉強時間の目安 |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 初学者: 200〜300時間 IT経験者: 100〜150時間 |
| 応用情報技術者試験 | 基本情報保有者: 150〜200時間 未保有者: 300〜400時間 |
| IPA高度試験 | 応用情報保有者: 200〜300時間 実務経験者: 150〜200時間 |
例えば、基本情報技術者試験を200時間で合格を目指す場合、1日2時間勉強すれば約3ヶ月で合格レベルに到達できます。しかし、複数の資格を同時に取りまくろうとすると、1日4〜5時間の勉強時間が必要になり、プライベートの時間がほとんど確保できなくなってしまうでしょう。
資格を取りまくる際は、通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を有効活用することが重要です。また、業務で使用している技術に関連する資格を優先的に取得することによって、実務を通じた学習も可能になり、効率的に合格を目指せます。
受験費用と教材費がかかる
資格を取りまくる際には、受験費用と教材費の負担も考慮する必要があります。IT系資格は一般的な資格と比べて受験料が高額であり、複数の資格を受験すれば費用が積み重なっていくためです。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 基本情報技術者試験 | 受験料: 7,500円 参考書・問題集: 5,000円〜10,000円 |
| 応用情報技術者試験 | 受験料: 7,500円 参考書・問題集: 5,000円〜10,000円 |
| IPA高度試験 | 受験料: 7,500円 参考書・問題集: 10,000円〜15,000円 |
| ベンダー資格 | 受験料: 15,000円〜40,000円 公式教材: 10,000円〜30,000円 |
例えば、基本情報、応用情報、プロジェクトマネージャ試験の3つを取得する場合、受験料だけで22,500円、教材費を含めると5万円以上の出費になります。さらに不合格になって再受験する場合は、追加で費用が発生してしまうでしょう。
ただし、多くのSES企業では資格取得支援制度があり、受験費用の補助や合格祝い金が支給されるケースがあります。会社の制度を確認し、活用できる支援は積極的に利用することによって、費用負担を軽減できます。また、確実に一発合格を目指すことで、無駄な出費を防げるでしょう。
実務経験も重要
資格を取りまくることは重要ですが、実務経験も同様に大切であることを忘れてはいけません。資格はあくまで知識の証明であり、実際の開発現場では経験に基づいた実践力が求められるためです。
資格だけを取りまくって実務経験が伴わない場合、面談や転職の際に「資格はあるが実務ができない人」という評価を受ける可能性があります。特にSES業界では実務経験が重視される傾向が強いため、資格取得と並行して実際のプロジェクトでの経験を積むことが不可欠です。
理想的なバランスは、実務で使用している技術や今後担当したい分野の資格を優先的に取得することです。例えば、現在Java開発の案件に参画しているならOracle認定Javaプログラマを取得し、次にインフラ案件を希望しているならLinux系資格を取得するといった具合です。このように実務と資格を関連付けることによって、相乗効果が生まれ、より効率的にスキルアップできるでしょう。