SES企業のブラックリスト特徴
SES企業への転職を検討している方の中には、ブラックリスト企業を避けたいと考える方も多いでしょう。具体的な企業名のブラックリストは、名誉毀損や営業妨害のリスクから公開されていませんが、ブラックリスト企業には共通する特徴があります。
SES企業のブラックリストに該当する特徴として、以下の7つが挙げられます。それぞれの特徴を理解することによって、転職活動時に避けるべき企業を見極めることができます。以下では各特徴について詳しく解説していきます。
- 商流の深い案件ばかり
- 還元率が不透明で低い
- 家電量販店やコールセンターへの派遣
- 経歴詐称を強要する
- 一人常駐の案件が多い
- 研修制度が不十分
- 若手ばかりで離職率が高い
商流の深い案件ばかり
SES業界では多重下請け構造が存在し、クライアントと自社の間に複数の仲介企業が挟まるケースがあります。商流とは、この下請け構造における依頼の流れのことで、4次請けや5次請けなど下流に位置する企業を商流が深いと表現します。
| 商流の位置 | 案件の質 | 年収水準 |
|---|---|---|
| 1次請け(プライム) | 上流工程が中心で質が高い スケジュールに余裕がある |
400万円以上 |
| 2次請け以降 | 下流工程が中心 運用保守やテストが多い |
300万円前後 |
| 3次請け以降 | 作業の質が低い スケジュールがタイト |
300万円以下 |
商流が深い案件ばかりを請けている企業では、中間マージンを複数の仲介企業に抜かれているため、エンジニアの給与水準が低くなる傾向があります。営業力が弱く良質な案件を獲得できていない証拠でもあり、キャリアアップの機会も制限されるでしょう。
還元率が不透明で低い
SES企業における還元率とは、クライアントから受け取った売上額に対してエンジニアに還元する給与の割合を示すものです。還元率が不透明な企業は、案件単価に対して企業がどの程度のマージンを取っているのかをエンジニアに開示していません。
| 還元率 | 月額単価100万円の場合 |
|---|---|
| 60%から65%(一般的な相場) | 給与60万円から65万円 |
| 50%前後(ブラックリスト水準) | 給与50万円 |
| 40%以下(悪質なレベル) | 給与40万円以下 |
還元率が低い企業では、労働価値が正当に評価されておらず、毎日現場で働いている割には満足いく給与を受け取れないケースが多いでしょう。入社時に還元率や給与体系が明確に示されているかを確認することが重要です。
家電量販店やコールセンターへの派遣
SES企業の中には、エンジニアとして採用しておきながら、家電量販店やコールセンターへの派遣を命じるケースがあります。このような企業は、研修という名目で未経験者を派遣し、実際にはエンジニア案件を保有していないことがほとんどです。
代表的な釣り文言として、以下のようなフレーズが使われています。
- 1年間の安心研修を実施
- コミュニケーション能力を磨く研修
- ビジネスマナーから学べる
このような派遣先では、ITスキルを磨く機会がなく、キャリア形成に悪影響を与える可能性が高いでしょう。SESのビジネスモデルを悪用した悪質な企業であり、エンジニアとしての成長を望めません。
経歴詐称を強要する
SES契約では、経験豊富なエンジニアほど契約が成立しやすいことから、経歴詐称を強要するSES企業が存在します。未経験で入社した直後の現場であるにもかかわらず、3年経験してきた中堅社員として紹介されるケースもあります。
経歴詐称を強要する理由として、以下の点が挙げられます。
- 手っ取り早く契約を成立させたい
- 未経験者の案件獲得が難しい
- 売上を優先している
経歴詐称がクライアント先で発覚した場合、苦労するのはエンジニア本人だけであり、周囲の期待を裏切ったことで白い目で見られることになります。このような企業はエンジニアを大切にしておらず、ブラックリスト企業といえるでしょう。
一人常駐の案件が多い
エンジニア一人だけで客先常駐する案件が多い企業も、ブラックリスト企業の特徴です。SES企業が人を現場に送り込むことで利益を上げるモデルを取っているため、単独派遣の方が管理コストを削減できる傾向があります。
| 常駐形態 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| チーム常駐 | 相談相手がいる 技術的なサポートを受けられる 自社の上長と協力できる |
企業側の管理コストが高い |
| 一人常駐 | 企業側の管理コストが低い | 相談相手がいない 技術課題やメンタル面のストレスが大きい 指揮命令系統の所在が曖昧 |
一人常駐では、指揮権の把握が難しく、現場先が指示するため偽装請負として違法になるケースがほとんどです。自社からのサポートを受けにくく、孤立しやすい環境はブラックリスト企業の典型的な特徴といえます。
研修制度が不十分
SES企業の中には、未経験歓迎と謳って採用しておきながら、教育体制が整っていない企業も存在します。コスト削減を優先し、社員の育成よりも短期的な利益を重視する経営方針が背景にあります。
適切な研修期間の目安として、以下が挙げられます。
- 通常の研修期間は1か月から3か月程度
- 半年以上の研修は怪しいと判断する
- 研修がほとんどないまま現場配属は危険
研修が不十分な環境では、自己学習が前提とされ、現場で何をすればいいかわからないままストレスを抱えることになります。特に未経験者にとって、教育制度の有無はキャリア形成に直結する重要な要素でしょう。
若手ばかりで離職率が高い
SES企業において、社員の年齢層が若手ばかりの場合は、ブラックリスト企業のリスクが高いといえます。若手ばかりになる理由として、過酷な労働環境や不透明な評価制度、低い給与が原因で経験豊富な社員が定着していないことが挙げられます。
| 企業タイプ | 年齢層の特徴 |
|---|---|
| ブラックリスト企業 | 20代が大半を占める 30代以降が極端に少ない 離職率が異常に高い |
| ホワイト企業 | 20代から40代まで幅広く在籍 経験豊富な社員が定着している 離職率が低い |
若手ばかりの職場では、教育できる優秀なエンジニアが在籍していないため、スキル共有や業務の質が低下しやすい傾向があります。幅広い年齢層の社員が活躍している企業を選ぶことで、安定した職場環境を得られるでしょう。
SES企業のブラックリストを調査する方法
SES企業への転職を検討する際には、ブラックリスト企業を避けるための事前調査が欠かせません。企業名を名指ししたブラックリストは公開されていませんが、複数の調査方法を組み合わせることによって、リスクのある企業を見極めることができます。
SES企業のブラックリストを調査する方法として、以下の4つが効果的です。それぞれの方法を活用することによって、安心して働ける企業を選ぶ判断材料になります。以下では各調査方法について詳しく解説していきます。
- 企業評価サイトで調べる
- 口コミサイトを確認する
- 公式ホームページをチェックする
- 転職エージェントに相談する
企業評価サイトで調べる
気になるSES企業がブラックリスト特徴を持つかどうかは、企業評価サイトを活用することによって確認できます。国土交通省が運営するネガティブ情報等検索サイトでは、過去に行政処分を受けた企業を検索できるため、信頼性の高いデータとして参考になります。
企業評価サイトの活用ポイントは以下のとおりです。
- 公的機関が運営するサイトを優先する
- 行政処分の履歴を確認する
- 情報が見つからない場合は他の調査方法を併用する
公的なデータに情報が載っていない企業も多いため、企業評価サイトだけでなく、他の調査方法と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
口コミサイトを確認する
口コミサイトには、現役社員や元社員によるリアルな意見が掲載されており、企業の内情を知るための有力な情報源となります。OpenWorkや転職会議などの口コミサイトでは、年収データや職場環境の評価が具体的に数字化されています。
| 口コミサイト | 特徴 |
|---|---|
| OpenWork | 年収や職場環境のレビューが具体的 数字化されたデータで信頼性が高い |
| 転職会議 | 口コミ登録企業数が20万社以上 求人情報も併せて確認できる |
口コミサイトを利用する際は、ネガティブな情報が目立つこともあるため、すべての意見を鵜呑みにせず冷静に判断することが大切です。複数の口コミを比較し、共通する問題点がないかを確認しましょう。
公式ホームページをチェックする
SES企業の公式ホームページからも、ブラックリスト特徴を読み取れることがあります。事業内容や採用の詳細を念入りにチェックすることによって、企業のビジネスモデルや労働環境のヒントを得られます。
公式ホームページで確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 事業内容がSESのみか複数の事業を展開しているか
- 研修や教育制度の具体的な説明があるか
- 社員インタビューやブログで社内の雰囲気がわかるか
- 評価制度や還元率が明記されているか
ホームページが存在しない企業は、ブラックリスト企業であるリスクが極めて高いため、応募や入社を控えることをおすすめします。企業ブログやSNSがあれば併せて確認し、社員に対する姿勢や透明性を意識してチェックしましょう。
転職エージェントに相談する
IT業界に特化した転職エージェントを活用することは、ブラックリスト企業を避けるための最も確実な方法です。転職エージェントは多くの企業情報を保有しており、ブラックリスト特徴を持つSES企業に詳しいため、そのような企業を避けるためのアドバイスを受けられます。
| 転職エージェント活用のメリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 無料でキャリア相談ができる | 専門家の意見を取り入れられる 自分に合った企業を提案してもらえる |
| ブラック企業を事前に排除 | リスクのある企業情報を保有している 過去のトラブル事例を把握している |
| 優良企業の求人を紹介 | 求人サイトに載っていない企業を紹介 より良いキャリア形成を支援 |
IT業界専門の転職エージェントであれば、SES企業の内情に精通しているため、安心して転職活動を進められるでしょう。無料で相談できるため、転職を考えている方は積極的に活用することをおすすめします。
ホワイトなSES企業を見極めるポイント
SES業界には、やめとけといわれることもありますが、すべてのSES企業がブラックリスト企業であるわけではありません。社員を大切にし、安心して働けるホワイトなSES企業も多く存在します。
ホワイトなSES企業を見極めるポイントとして、以下の4つが挙げられます。それぞれのポイントを押さえることによって、長期的に安心して働ける企業を選択できます。以下では各ポイントについて詳しく解説していきます。
- 充実した教育制度
- 高い有休消化率
- 明確な評価基準
- 幅広い年代が活躍
充実した教育制度
ホワイトなSES企業では、教育制度がしっかり整備されています。未経験者を歓迎している企業において、入社後の基礎研修だけでなく、キャリアアップを支援する定期的なトレーニングも提供されることが特徴です。
| 教育制度の内容 | ホワイト企業の特徴 |
|---|---|
| 入社時の研修 | 1か月から3か月の基礎研修 プログラミングの基礎から学べる 実務に即した内容 |
| 継続的な研修 | 資格取得の支援制度 定期的なスキルアップ研修 新技術の学習機会 |
教育制度が整っていないのに未経験者を積極採用している企業は、人材を使い捨てにする傾向があり、ブラックリスト企業である可能性が高いでしょう。学びや成長をサポートしてくれる企業は、社員の未来を真剣に考えているホワイト企業といえます。
高い有休消化率
有休消化率の高さは、SES企業が社員の働きやすさをどれだけ重視しているかを示すバロメーターです。有休をきちんと取得できる企業は、社員の声をしっかり聞き、無理のない労働環境を作り出しています。
有休消化率から判断できるポイントは以下のとおりです。
- 社員がストレスなく働ける環境
- 要望を聞いてくれやすい企業文化
- 人材を使い捨てにしない姿勢
- 長期的に安心して働ける環境
クライアントに迷惑がかかるからといって有休取得を拒否する企業は、社員よりもクライアントを優先する姿勢が見られるため注意が必要です。有休消化率が高い企業を選ぶことで、ホワイトな環境で働けるでしょう。
明確な評価基準
SES企業では客先常駐になるため、自社内から評価がしにくい環境にあります。それにもかかわらず評価制度が明確な企業は、エンジニアを正当に評価する体制が整っており、ホワイト企業である可能性が高いといえます。
| 評価基準の透明性 | エンジニアへの影響 |
|---|---|
| 明確な評価基準 | 努力が正当に報われる 給与やスキルアップの機会が増える モチベーションを保ちやすい |
| 曖昧な評価基準 | 努力が正当に評価されない 不満を抱える社員が多い キャリアアップの機会が少ない |
評価基準が不透明な企業では、コスト削減を図るために給与の上昇を抑えているケースも見られます。透明性のある評価制度を持つ企業を選ぶことで、努力が正当に評価される環境を築けるでしょう。
幅広い年代が活躍
ホワイトなSES企業では、20代だけでなく30代や40代などの幅広い年齢層のエンジニアが在籍しています。社員の年齢層が幅広いことは、企業の安定性や働きやすさの証明です。
幅広い年代が活躍できる理由として、以下が挙げられます。
- 福利厚生が充実している
- 教育制度が整っている
- 評価体制が公正である
- 離職率が低い
長期間にわたり社員が安心して働ける環境を提供しているからこそ、多様な年代が活躍できるのです。年齢を重ねても安心して働ける企業は、ホワイト企業と呼ぶにふさわしいといえるでしょう。