SESの配属先が決まらない時の原因と対策を解説

SESの配属先が決まらない時の原因と対策を解説

SESの配属先が決まらない原因

SESの配属先が決まらない原因

SES企業で働くエンジニアにとって、配属先が決まらない状況は給料や雇用継続への不安を生み出します。配属先が決まらない原因は、企業側に問題があるケースとエンジニア側に問題があるケースの2つに分けられます。

配属先が決まらない主な原因として、以下の8つがあります。

  • 企業側の営業力が不足している
  • 提案金額が相場より高い
  • 派遣事業許可やPマークがない
  • 企業の評判が良くない
  • エンジニアのスキルが不足している
  • 面談の準備が足りていない
  • 案件を選り好みしている
  • 年齢とスキルが見合っていない

それぞれの原因には異なる背景があり、対処法も変わってきます。自分の状況がどの原因に当てはまるかを把握することで、適切な解決策を見つけられるでしょう。以下では各原因について詳しく解説していきます。

企業側の営業力が不足している

SES企業の営業力が低いと、そもそも案件数が少なく配属先が決まりにくい状況に陥ります。営業担当者が案件を獲得できなければ、エンジニアのスキルが高くても配属先を紹介できません。

営業力が不足している企業の特徴は以下のとおりです。

  • 取引先企業の数が少ない
  • 営業担当者の人数が不足している
  • 営業担当者のITに関する知識が乏しい
  • 営業担当者からの連絡が遅い

営業力の低い企業では、面談の機会自体が少なく、エンジニアが長期間待機状態になってしまいます。取引先が少なければ案件の選択肢も限られ、エンジニアの希望に合った配属先を見つけることが困難になるでしょう。

提案金額が相場より高い

SES企業がクライアントに提示する金額が相場より高いと、他社との競争に負けて配属先が決まりにくくなります。クライアント企業は複数のSES企業から提案を受けるため、金額が高ければ選ばれる確率は下がります。

スキルレベル 相場の契約金額
テスター 30万円から45万円
プログラマー初級 35万円から50万円
プログラマー上級 45万円から60万円
システムエンジニア初級 50万円から80万円
システムエンジニア上級 60万円から100万円

利益を優先する企業では、未経験エンジニアを50万円で提案したり、初級プログラマーを70万円以上で提案するケースがあります。エンジニアのスキルと金額が見合っていなければ、クライアント企業は他社を選択するため、配属先が決まらない状況が続いてしまうでしょう。

派遣事業許可やPマークがない

派遣事業許可やプライバシーマークを取得していないSES企業は、クライアント企業からの信頼度が低く案件獲得が難しくなります。これらの資格は企業の社会的信用を証明するものであり、特にコンプライアンスを重視する大手企業では必須条件とされることがあります。

資格の種類 内容
派遣事業許可 派遣事業を行うために厚生労働省から取得する許可
取得していない企業は社会的信用度が低い
Pマーク 個人情報の取り扱い基準を満たしていることを証明する制度
認定条件が厳しくホワイト企業の可能性が高い

上場企業や大手クライアントは、個人情報漏洩リスクを避けるためこれらの資格を持つ企業とのみ取引するケースが多いです。資格を持たない企業では取引先の選択肢が限られ、結果としてエンジニアの配属先も決まりにくくなってしまいます。

企業の評判が良くない

SES企業の評判が悪いと、クライアント企業から取引を避けられ案件獲得が困難になります。IT業界は横のつながりが強く、悪い評判は素早く広まってしまう特徴があります。

評判が悪くなる主な原因は以下のとおりです。

  • 常駐させたエンジニアの勤怠や態度に問題があった
  • 営業担当者からの連絡が遅く対応が悪い
  • エンジニアの経歴を詐称して提案している
  • 契約内容を守らない行為が発覚した

一度悪い評判が広まると、新規クライアントの獲得が難しくなり、既存の取引先からも契約を打ち切られる可能性があります。評判の悪い企業に所属していると、エンジニア個人のスキルに問題がなくても配属先が決まらない状況が続いてしまうでしょう。

エンジニアのスキルが不足している(未経験含む)

案件にはクライアント企業が求める技術要件やスキルレベルの条件が設けられており、それを満たさないエンジニアは配属されません。特に未経験エンジニアや経験の浅いエンジニアは、スキル不足を理由に面談で見送られるケースが多いです。

スキル不足による悪循環として、以下の流れが発生します。

  • スキルが不足しているため配属先が決まらない
  • 実務経験を積めないためスキルアップの機会がない
  • スキルが向上しないため長期間待機状態が続く
  • 待機期間が長くなりスキルシート上でも不利になる

未経験から参加できる案件は数が限られており、他社のエンジニアとの競争も激しくなります。面談では技術力だけでなく、ポテンシャルややる気も評価されるため、スキル不足をカバーする姿勢を示すことが求められるでしょう。

面談の準備が足りていない

SES面談の準備不足は、クライアント企業に悪い印象を与えて不合格につながります。面談では技術スキルだけでなく、コミュニケーション能力や仕事への意欲も評価されるため、十分な準備が必要です。

面談準備が不足しているエンジニアの特徴は以下のとおりです。

  • 案件内容や業務内容を事前に確認していない
  • 技術用語やわからない単語を調べていない
  • 自己紹介や経歴説明の準備をしていない
  • スキルシートの内容を把握していない
  • 質問したい内容を考えていない

面談準備をしていないと、質問に対して的確な回答ができず、クライアント企業から仕事への意欲が低いと判断されてしまいます。特に未経験エンジニアの場合、準備不足は致命的な印象を与えるため、事前準備を徹底する必要があるでしょう。

案件を選り好みしている

エンジニアが案件を選り好みしすぎると、配属先が決まりにくくなります。自分がやりたい案件以外を断り続ける姿勢は、面談時の態度や受け答えに無意識に表れてしまい、クライアント企業に伝わってしまいます。

案件を選り好みする際の問題点は以下のとおりです。

  • 面談への準備や情報収集が不十分になる
  • やる気のない態度が面談相手に伝わる
  • 配属可能な案件の選択肢が極端に減る
  • 待機期間が長くなりスキルアップの機会を失う

特に未経験エンジニアの場合、まずは実務経験を積むことが最優先です。興味のない分野でも、実際に働いてみると新しい発見があったり、スキルの幅が広がる可能性があります。短期的な好みより長期的なキャリア形成を考えることで、配属先が決まりやすくなるでしょう。

年齢とスキルが見合っていない

年齢が高くなるにつれて求められるスキルレベルも上がるため、年齢に見合ったスキルがないと配属先が決まりにくくなります。クライアント企業は年齢とスキルのバランスを重視するため、アンマッチな状態では不安要素と判断されてしまいます。

年代 求められるスキル・役割
20代 知識の吸収が早く未経験でもポテンシャル採用される
基礎的なプログラミングスキルで配属可能
30代 ある程度の実務経験とスキルが求められる
即戦力として期待される場面が多い
40代以上 高度な技術力と豊富な実務経験が必須
プロジェクトマネージャーなど管理職を期待される

30代で未経験レベルのスキルだったり、40代でプログラミングしかできない状態では、スキルシートの段階で見送られる可能性が高くなります。年齢が上がるほど要求されるレベルも高くなるため、継続的なスキルアップが必要になるでしょう。

SESの配属先・案件が決まらないと給料はどうなるのか

SESの配属先・案件が決まらないと給料はどうなるのか

配属先が決まらず待機状態になったとき、給料がどうなるかは多くのエンジニアが不安に感じる問題です。待機中の給料は、社内待機か自宅待機かによって支給額が異なります。

待機期間中の給料支給には、以下の2つのパターンがあります。

  • 社内待機の場合は100%支給される
  • 自宅待機の場合は60%以上の支給となる

どちらの扱いになるかは企業の規定によって異なるため、自社の就業規則を確認しておくことが重要です。以下では、それぞれのケースについて詳しく解説していきます。

社内待機の場合は100%支給される

社内待機は勤務状態として扱われるため、通常の給料と同じく100%支給されます。エンジニアは会社に出社して、社内向けのツール開発や後輩の指導、自己学習などの業務に従事します。

社内待機中の主な業務内容は以下のとおりです。

  • 社内システムの開発や改善作業
  • 新人エンジニアへの技術指導
  • 資格取得に向けた学習
  • 技術書を読んでスキルアップ
  • 営業資料や提案書の作成サポート

社内待機では会社の指示に従って業務を行うため、通常の勤務と同じ扱いになります。ただし、企業によって社内待機の定義が異なる場合があるため、どのような状態が社内待機に該当するか確認しておくことが大切でしょう。

自宅待機の場合は60%以上の支給となる

自宅待機は休業扱いとなるケースが多く、労働基準法に基づき給料の60%以上が支給されます。自宅待機の扱いは企業によって異なり、勤務扱いとして100%支給する企業もあれば、休業扱いとして最低限の60%のみ支給する企業もあります。

扱いの種類 給料の支給割合
勤務扱い 100%支給
自宅での学習や研修が業務とみなされる
休業扱い 60%以上の支給
労働基準法第26条で最低60%の支給が義務付けられている

悪質な企業では、自宅待機を理由に給料を大幅に減額したり、支給しないケースも報告されています。労働基準法では会社都合の休業時には平均賃金の60%以上を休業手当として支払う義務があるため、これを下回る支給は違法です。自社の規定を事前に確認し、不当な扱いを受けた場合は労働基準監督署に相談することが重要でしょう。

SESの配属先が決まらない状態が続くとクビになるのか

SESの配属先が決まらない状態が続くとクビになるのか

配属先が決まらない状態が長期化すると、クビになるのではないかという不安を抱えるエンジニアは多いです。しかし、労働契約法によって労働者は保護されており、正当な理由なく解雇することはできません。

配属先が決まらない際のクビに関する状況として、以下の3つがあります。

  • 労働契約法による保護がある
  • 不当解雇は法律で禁止されている
  • 自主退職を迫られるケースがある

法律上は保護されていても、実際には様々な形で退職を促される可能性があります。自分の権利を理解し、不当な扱いを受けた場合の対処法を知っておくことが重要です。以下では、それぞれの状況について詳しく解説していきます。

労働契約法による保護がある

労働契約法第16条により、配属先が決まらないという理由だけでエンジニアをクビにすることはできません。解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要であり、これらを満たさない解雇は権利の濫用として無効になります。

労働契約法による保護の内容は以下のとおりです。

  • 客観的に合理的な理由がない解雇は無効
  • 社会通念上相当と認められない解雇は無効
  • 配属先が決まらないことは正当な解雇理由にならない
  • 企業側の営業力不足は会社都合の問題である

待機期間が長くなっても、それはSES企業側の営業力や案件獲得能力の問題であり、エンジニア個人の責任ではありません。企業側の都合で解雇することは法律違反となるため、不当な解雇通告を受けた場合は労働基準監督署や弁護士に相談することが大切でしょう。

不当解雇は法律で禁止されている

正当な理由なく解雇を言い渡された場合、それは不当解雇に該当し法律違反となります。不当解雇には様々なパターンがあり、配属先が決まらないことを理由とする解雇もその一つです。

不当解雇の種類 具体例
会社都合の解雇 営業力不足で案件が取れないことを理由にクビにする
配属先が決まらないからという理由で解雇する
手続き違反 30日前の解雇予告をしない
解雇予告手当を支払わない
差別的解雇 年齢を理由に解雇する
性別や国籍を理由に解雇する

不当解雇を受けた場合、解雇の無効を主張して雇用契約の継続を求めることができます。また、解雇期間中の給料の支払いや慰謝料を請求することも可能です。ただし、不当解雇の証明には解雇通知書や雇用契約書などの証拠が必要になるため、重要な書類は必ず保管しておくことが重要でしょう。

自主退職を迫られるケースがある

直接的なクビではなく、待遇を悪化させて自主退職に追い込む手法を取る悪質な企業も存在します。このような手法は退職強要と呼ばれ、実質的には不当解雇と同じ問題を含んでいます。

自主退職を迫る主な手法は以下のとおりです。

  • 待機期間中の給料を大幅に減額する
  • 配属先が決まらないことを理由に叱責を繰り返す
  • 退職を促す面談を何度も実施する
  • 社内での居場所をなくすような扱いをする
  • 不可能な条件を提示して自己都合退職を促す

このような退職強要を受けた場合、安易に退職届を提出してはいけません。自己都合退職にしてしまうと、失業保険の給付制限がかかったり、不当な扱いを受けた証拠が残らなくなります。退職を迫られた際の会話内容や文書は証拠として保存し、必要に応じて労働基準監督署や弁護士に相談することが大切でしょう。

SESの配属先が決まらない時の対処法

SESの配属先が決まらない時の対処法

配属先が決まらない状況を改善するには、原因に応じた適切な対処法を実践することが重要です。エンジニア側に原因がある場合は自身の努力で改善できますが、企業側に問題がある場合は転職を検討する必要があります。

配属先が決まらない時の対処法として、以下の4つがあります。

  • 資格を取得してスキルを証明する
  • スキルシートを充実させる
  • 面談準備を徹底する
  • 転職を検討する

これらの対処法を組み合わせることで、配属先が決まる確率を高められます。自分の状況に合った方法を選択し、具体的な行動を起こすことが解決への第一歩です。以下では、各対処法について詳しく解説していきます。

資格を取得してスキルを証明する

IT系の資格を取得することで、エンジニアとしての知識やスキルを客観的に証明できます。特に未経験者や経験の浅いエンジニアにとって、資格は信頼性を高める有効な手段です。

配属先決定に有利な主な資格は以下のとおりです。

資格名 証明できるスキル
基本情報技術者試験 ITに関するシステム・ネットワーク・サーバーなどの
全般的な基礎知識があることを証明できる
ITパスポート ITに関する基礎的な知識が証明できる
未経験者の入門資格として最適
CCNA Cisco製のネットワーク機器や
それらを扱える技術を保有していることを証明できる
Oracle認定Java Javaの知識やスキルを証明できる
開発案件への配属に有利
Linux技術者認定試験 サーバーの専門技術やインフラ全般の
知識があることを証明できる

資格を取得することで、スキルシートの内容が充実し、クライアント企業からの信頼感が高まります。また、学習意欲が高いエンジニアとして評価され、ポテンシャル採用の可能性も広がるでしょう。

スキルシートを充実させる

スキルシートはクライアント企業がエンジニアの能力を判断する重要な書類であり、面談の機会を得るための第一関門です。スキルシートの質が低いと、面談にすら進めない可能性があります。

スキルシートを充実させる方法は以下のとおりです。

  • 保有資格を最新の状態に更新する
  • 使用できる開発言語やツールを具体的に記載する
  • 過去のプロジェクト経験を詳しく説明する
  • 自己PRで強みや意欲をアピールする
  • ポートフォリオや個人開発の実績を追加する

スキルシートは常に最新の状態を保つことが重要です。新しい資格を取得したり、独学で学んだ技術があれば、すぐにスキルシートに反映させましょう。また、営業担当者に内容を確認してもらい、クライアント企業に伝わりやすい表現になっているかチェックしてもらうことも効果的です。

面談準備を徹底する

SES面談の準備を徹底することで、クライアント企業に好印象を与え合格率を高められます。面談ではスキルだけでなく、コミュニケーション能力や仕事への意欲も評価されるため、事前準備が合否を左右します。

面談準備で実践すべきポイントは以下のとおりです。

  • 案件内容を詳しく調べてわからない用語を事前に学習する
  • 自己紹介と経歴説明を簡潔にまとめておく
  • よく聞かれる質問への回答を準備する
  • スキルシートの内容を把握して深堀り質問に備える
  • 逆質問を3つ以上用意して意欲を示す
  • 服装や身だしなみを整えて清潔感を出す
  • 明るくハキハキと話す練習をする

面談では結論から先に話すことを意識し、質問の意図を正確に理解して的確に答えることが重要です。また、案件に対する高い意欲を示すことで、クライアント企業に仕事も意欲的に取り組んでくれると期待してもらえるでしょう。

転職を検討する

自身の努力で対処法を実践しても配属先が決まらない場合、企業側に根本的な問題がある可能性が高いです。このような状況では、優良なSES企業やSES以外の企業への転職を検討することが最も効果的な解決策になります。

転職を検討すべき企業の特徴は以下のとおりです。

  • 営業力が弱く案件数が慢性的に不足している
  • 派遣事業許可やPマークを取得していない
  • 業界内での評判が悪く取引先が少ない
  • 待機期間中の給料を不当に減額する
  • 経歴詐称を指示するなどコンプライアンス違反がある

優良なSES企業では営業力が高く案件数が豊富であり、待機期間中も100%給料が支給されます。また、研修制度や資格取得支援が充実しており、エンジニアのスキルアップをサポートする体制が整っています。IT業界専門の転職エージェントを活用することで、企業の内部情報を把握したうえで自分に合った会社を見つけられるでしょう。

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