SESを1ヶ月で辞めることは可能か
SES企業に入社して1ヶ月が経過したものの、職場環境や業務内容に不満を感じている方は少なくありません。結論から言えば、SESを1ヶ月で辞めることは法律上可能ですが、いくつかの条件や注意点があります。
SESを1ヶ月で辞めることが可能な理由として、以下の2つが挙げられます。これらを理解することによって、1ヶ月という短期間での退職が現実的な選択肢であることが分かるでしょう。
- 民法627条で2週間前の申し入れで退職できる
- 1年目で辞めるエンジニアは約18%いる
それぞれについて詳しく解説していきます。
民法627条で2週間前の申し入れで退職できる
無期雇用契約の場合、民法627条により、退職の申し入れから2週間が経過すれば退職できると定められています。この法律は、雇用主がどのような就業規則を定めていても、労働者の権利として保障されているものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律の根拠 | 民法627条 |
| 退職までの期間 | 申し入れから2週間経過後 |
| 適用対象 | 無期雇用契約の労働者 |
| 会社の同意 | 不要(法律で保障された権利) |
SES企業の多くは無期雇用契約を採用しているため、この民法627条が適用されます。会社側が「3ヶ月前に申し出が必要」と主張しても、法律上は2週間前の申し入れで問題ありません。
1年目で辞めるエンジニアは約18%いる
リクルートエージェントの調査によると、会社を1年目で辞めるエンジニアの割合は約18%、つまり5人に1人が1年以内に退職しています。3年以内まで広げると、全体の66.4%が退職しているというデータも出ています。
| 退職時期 | 割合 |
|---|---|
| 1年目 | 17.7% |
| 2年目 | 23.0% |
| 3年目 | 25.7% |
| 3年以内の合計 | 66.4% |
この数字から分かるように、1ヶ月で辞めることは決して珍しいことではありません。IT業界では早期退職が一定数存在しており、1ヶ月で辞めることに過度な罪悪感を持つ必要はないでしょう。
SESを1ヶ月で辞める主な理由
SESを1ヶ月で辞める理由は、自己都合による退職と強制退場の2つに大きく分かれます。どちらのケースでも、早期退職に至る背景には明確な原因が存在しています。
SESを1ヶ月で辞める主な理由として、以下の4つが挙げられます。これらの理由を知ることによって、自分の状況が当てはまるかどうか判断できます。
- 研修がなく即現場配属される
- スキルが身につかない業務内容
- 勤務態度やスキル不足で強制退場
- メンタルや体調が悪化する
各理由について詳しく解説していきます。
研修がなく即現場配属される
入社時に研修があると聞いていたにもかかわらず、実際には研修が実施されず、入社2日目から現場に配属されるケースがあります。特に未経験者の場合、研修なしでの現場配属は大きな不安要素となります。
研修なしで現場配属される問題点は以下のとおりです。
- 基礎的なスキルを習得する機会がない
- 業務内容が事前に聞いていた内容と異なる
- インフラ希望で入社したのに別業務を任される
- 社会人としての基本的なマナーも学べない
このような状況では、入社前の説明と実態のギャップが大きく、1ヶ月で辞める決断に至ることも理解できるでしょう。
スキルが身につかない業務内容
エクセル入力やマクロのボタンをクリックするだけの単純作業、コールセンター業務など、エンジニアとしてのスキルが全く身につかない業務を任されるケースがあります。このような業務を続けても、将来のキャリアにつながりません。
| 業務内容 | 問題点 |
|---|---|
| エクセル入力 | プログラミングスキルが身につかない 誰でもできる単純作業 |
| マクロのボタンクリック | 手順通りに作業するだけ 技術的な成長が見込めない |
| コールセンター業務 | エンジニア業務ではない IT技術に触れる機会がない |
| 監視業務 | 長期間続けても市場価値が上がらない 転職時に評価されにくい |
スキルが身につかない業務を1ヶ月続けた時点で、今後も同様の案件が続く可能性が高いと判断し、退職を決意するエンジニアは少なくありません。
勤務態度やスキル不足で強制退場
自主的な退職ではなく、クライアントからのクレームによって1ヶ月で現場を強制退場させられるケースも存在します。勤務態度の問題やスキル不足が原因で、業務に支障をきたすと判断された場合に発生します。
強制退場の主な原因は以下のとおりです。
- 社会人として必要最低限のパソコンスキルがない
- 挨拶や報連相ができない
- 遅刻や無断欠勤が頻発する
- クライアントからの指摘を改善しない
- 契約違反や守秘義務違反を犯す
ただし、営業担当がスキルを盛って紹介したことで、スキルがマッチしない現場に配属されるケースもあります。この場合、エンジニア本人だけの責任とは言えません。
メンタルや体調が悪化する
職場環境のストレスや過度な労働時間により、入社1ヶ月でメンタルや体調が悪化するケースがあります。このような状況では、健康を優先して退職を検討すべきです。
| 症状 | 具体例 |
|---|---|
| 精神的な症状 | 出社前に吐き気がする うつ病気味でやる気が起きない 不安や恐怖で眠れない |
| 身体的な症状 | 長時間残業で慢性的な疲労が抜けない 頭痛や腹痛が続く 食欲不振や体重減少 |
健康を害してまでSESを続けるメリットは全くありません。体を壊せば復職や転職も難しくなるため、メンタルや体調が限界に達している場合は、すぐに退職を検討してください。
SESを1ヶ月で辞めるべきケースと辞めるべきでないケース
SESを1ヶ月で辞めたいと考えている方は、自分の状況が本当に辞めるべきケースに該当するのか、慎重に判断する必要があります。状況によっては、もう少し続けることで得られるメリットもあります。
SESを1ヶ月で辞めるべきかどうかの判断基準として、以下の2つの視点から考えることが大切です。それぞれの状況を理解することによって、後悔のない判断ができるでしょう。
- 辞めるべきケース
- 辞めるべきでないケース
各ケースについて詳しく解説していきます。
辞めるべきケース
明らかな法令違反がある職場、スキルが全く身につかない業務、メンタルや体調が悪化している状況では、1ヶ月でもSESを辞めるべきです。これらのケースでは、我慢して続けることによって、さらに状況が悪化する可能性が高くなります。
| 状況 | 具体例 |
|---|---|
| 法令違反 | サービス残業が常態化している 有給が取れない 社会保険未加入 |
| スキル不足 | 単純なエクセル入力のみ コールセンター業務に配属 誰でもできる監視業務 |
| 健康問題 | 出社前に吐き気がする うつ病の兆候がある 長時間残業で慢性疲労 |
| 経営不安定 | 給料の支払いが遅延 周りのエンジニアがクビになる 営業がずさんで希望が通らない |
これらのケースに該当する場合、若いうちに転職すればキャリアのやり直しが効くため、早めにSESを辞めることをおすすめします。
辞めるべきでないケース
経済的余裕がない状況、教育制度が充実している環境、IT業界でキャリアを築きたい場合は、1ヶ月でSESを辞めるのは避けるべきです。これらのケースでは、もう少し働き続けることで得られるメリットがあります。
辞めるべきでない主な理由は以下のとおりです。
- 貯金が少なく転職先が決まっていない
- 資格取得支援や社内勉強会が充実している
- 周りのエンジニアが丁寧に教育してくれる
- 専門性のある領域に関われている
- IT業界で長期的にキャリアを築きたい
特に転職先が決まっていない状態でSESを辞めると、離職期間が長引き、面接官に怪しまれて内定を得にくくなります。経済的に困窮し、焦ってブラック企業に就職してしまうリスクもあるため、転職先が決まってから辞めることをおすすめします。
SESを1ヶ月で辞める際の対処法
SESを1ヶ月で辞めると決めた場合、退職後に路頭に迷わないよう、事前にしっかりと準備をしておく必要があります。適切な対処法を知ることによって、スムーズに退職し、次のキャリアに進めるでしょう。
SESを1ヶ月で辞める際の対処法として、以下の4つが挙げられます。これらを実践することによって、退職後の失敗を最小限に抑えられます。
- 転職先を事前に探しておく
- 退職の2週間前に上司に伝える
- 退職代行を利用する
- おすすめの転職先を検討する
各対処法について詳しく解説していきます。
転職先を事前に探しておく
SESを辞める前に、必ず転職先を探しておくことが重要です。転職先が決まっていない状態で退職すると、離職期間が長引き、面接で不利になる可能性が高くなります。
| 状況 | リスク |
|---|---|
| 転職先なしで退職 | 離職期間が長引き採用されにくくなる 貯金が底をつく可能性がある 焦ってブラック企業に就職してしまう |
| 転職先決定後に退職 | 収入の空白期間がない 精神的に安定した状態で退職できる 次のキャリアへスムーズに移行できる |
転職活動は在職中に行い、内定を得てから退職するという流れが理想的です。自分の適正年収を調べておくことで、年収が下がるリスクを減らせます。
退職の2週間前に上司に伝える
民法627条により、退職の申し入れから2週間が経過すれば退職できるため、退職したい日の2週間前には上司に退職の意思を伝える必要があります。一般的には3ヶ月前に伝えることが推奨されていますが、法律上は2週間前で問題ありません。
退職を伝える際の注意点は以下のとおりです。
- 直属の上司から順番に伝える
- 退職理由を明確に説明する
- 退職届を提出する
- 引き継ぎ内容を整理しておく
退職を伝える順番は「直属の上司→課長→部長→社長」が基本です。いきなり社長に伝えることは避け、まずは直属の上司に相談しましょう。
退職代行を利用する
どうしても上司に退職を言い出せない、上司が退職届を受け取ってくれないという状況では、退職代行を利用することも選択肢の一つです。退職代行を使えば、会社や上司に連絡することなく、即日で退職できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 上司や常駐先に連絡せず即日退職可能 弁護士監修でトラブルになりにくい 有給消化の交渉も代行してくれる |
| デメリット | 費用が発生する(2万円〜5万円程度) 社会的な風当たりが強い 転職活動で説明が必要になる |
ただし退職代行は最終手段として考えるべきです。精神的に限界で今すぐ辞めないと危険な状態の場合のみ、利用を検討してください。
おすすめの転職先を検討する
SESを1ヶ月で辞めた後の転職先として、客先常駐や派遣がない職種を選ぶことが重要です。同じSES企業に転職しても、同じ問題が繰り返される可能性が高いためです。
SESを辞めるエンジニアにおすすめの転職先は以下のとおりです。
- 自社開発企業(自社でのんびり開発できる)
- 社内SE(客先常駐なしで社内で働ける)
- 上流工程エンジニア(PMやITコンサル)
- 自分と相性の良い異業種(適性検査を活用)
自社開発企業や社内SEは、客先常駐や派遣がないため、SESで感じていたストレスから解放されます。自社のメンバーとコミュニケーションを取りながら開発できるため、孤独になりにくい環境です。