SESで行ってはいけない現場の業界一覧
SESエンジニアとして働く上で、配属先の業界選びは非常に重要です。業界によってプロジェクトの特性や労働環境が大きく異なり、特定の業界では炎上案件が構造的に発生しやすい傾向があります。
SESで行ってはいけない現場の業界として、以下の3つがあります。これらの業界には、プロジェクト管理が破綻しやすい構造的な要因が存在し、長時間労働や精神的なストレスにさらされるリスクが高いと言えます。
- 金融
- 通信
- 官公庁
これらの業界の案件は、仕様変更の頻度、24時間稼働の要件、納期の集中など、それぞれに特有の問題を抱えています。SES営業から案件を提示された際は、業界の特性を理解した上で慎重に判断することが重要です。以下では、各業界の詳細について解説していきます。
金融
金融業界、特に銀行系のシステム開発案件は、SESエンジニアが行ってはいけない現場として最も地雷度が高い業界の一つです。法令遵守とセキュリティ要件が極めて厳しく、プロジェクトが炎上しやすい構造的な問題を抱えています。
| 問題点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 仕様変更が頻繁 | 法令改正や金融庁の指導で仕様が大幅に変更される 一つの変更に対して、複数部署の承認が必要 |
| 承認プロセスが複雑 | 複数の部署での承認が必要 一つの機能追加に数ヶ月かかることも |
| テストが膨大 | 本番環境リリース前に何度もテストを実施 テストだけで数ヶ月を要する |
| セキュリティ要件が厳格 | 個人情報保護法への対応が必須 脆弱性が見つかると大幅な手戻りが発生 |
| ドキュメント作成負荷 | 詳細設計書など膨大なドキュメントが必要 コーディングよりもドキュメント作成に時間を取られる |
銀行系システムでは、一つの機能を実装するだけでも、企画部門、業務部門、システム部門、法務部門、リスク管理部門など、複数の部署との調整が必要になります。それぞれの部署が独自の観点から要求を出してくるため、仕様がどんどん膨らみ、当初の予定から大幅に遅延することが日常的に発生します。
また、本番環境へのリリースは、通常週末や祝日の深夜に実施されることが多く、リリース作業のために休日出勤を強いられることがあります。万が一リリースに失敗した場合は、緊急で切り戻し作業を行う必要があり、徹夜作業になることも珍しくありません。
通信
通信業界の案件は、24時間365日稼働が前提となるシステムが多く、夜間や休日のメンテナンス作業が頻繁に発生するため、SESエンジニアが行ってはいけない現場として知られています。さらに、技術の進化が速く、常に最新技術へのキャッチアップが求められる点も負担となります。
| 問題点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 24時間稼働が前提 | メンテナンスは深夜や早朝に実施 夜勤や休日出勤が常態化する |
| 障害対応のプレッシャー | 障害発生時は深夜でも緊急対応が必須 通信障害は影響が大きく、復旧までのプレッシャーが大きい 対応ミスは大規模な損害賠償に繋がる |
| 技術更新が速い | 5GやIoTなど新技術への対応が常に求められる 既存システムとの互換性を保ちながら、新技術を導入する難易度が高い |
| 大規模システム | 大規模システムのため、わずかな設計ミスが重大な障害に繋がる 負荷テストやキャパシティ設計が複雑 |
| 多重ベンダー構成 | 複数のベンダーやSIerが関わるため、調整コストが高い 責任の所在が曖昧になりやすく、トラブル時の対応が混乱する |
通信業界の案件では、システムの稼働時間が24時間365日であるため、定期メンテナンスやシステム更改は、利用者への影響が最小限になる深夜や早朝に実施されます。そのため、エンジニアは夜勤シフトを組まれることが多く、生活リズムが乱れて健康を害するリスクが高まります。
また、通信障害が発生した場合、数百万人のユーザーに影響が及ぶため、復旧作業には極めて大きなプレッシャーがかかります。過去には、大手通信キャリアの障害で社会的に大きな問題となったケースもあり、エンジニアの精神的負担は計り知れません。さらに、5GやIoTなど新技術の導入が次々と進むため、常に勉強し続けなければならず、プライベートの時間を確保することが困難になります。
官公庁
官公庁系の案件は、年度末の納期集中と多重下請け構造により、SESエンジニアが行ってはいけない現場として悪名が高い業界です。特に1月から3月にかけては、デスマーチが発生しやすく、休日出勤や長時間残業が常態化します。
| 問題点 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 年度末納期の集中 | 予算執行の関係で3月末納期の案件が集中 1月~3月は連日深夜残業や休日出勤が発生する 複数プロジェクトが同時に佳境を迎える |
| 多重下請け構造 | 元請け、一次請け、二次請け、三次請けと階層が深くなるほど中抜きが発生 SESエンジニアは最下層に位置することが多く低単価で働かされる |
| ベンダー間調整の複雑さ | 複数のベンダーやSIerが関わるため、仕様調整や進捗確認に膨大な時間がかかる 会議や調整業務だけで1日が終わることも |
| 仕様書の曖昧さ | 発注側の要件定義が不十分で開発途中で仕様が二転三転する 手戻りが頻繁に発生しスケジュールが遅延する |
| 古い技術スタック | レガシーシステムの保守が中心で、古い技術を使う案件が多い 最新技術に触れる機会がなく市場価値が下がる |
官公庁系の案件は、国や地方自治体の予算執行ルールに縛られているため、年度内(3月末まで)にシステムを納品しなければならないという制約があります。そのため、プロジェクトの開始が遅れたとしても、納期は動かせず、結果的にエンジニアが長時間労働を強いられることになります。
また、官公庁の案件は、セキュリティやコンプライアンスの要件が厳しく、入札プロセスも複雑であるため、大手SIerが元請けとなり、その下に複数の下請け企業がぶら下がる多重下請け構造になりがちです。
SESエンジニアは、この構造の最下層に位置することが多く、実際の作業単価と受け取る給与の差が大きくなります。さらに、ベンダー間の調整に多くの時間を取られ、実際の開発作業に集中できないという問題も抱えています。
SESで行ってはいけない現場の地域一覧
業界だけでなく、地域という観点からも、SESエンジニアが行ってはいけない現場を特定することができます。ネット上では特定の地域や最寄り駅に関して、炎上案件やブラック現場が集中しているという情報が共有されており、これらの地域は避けるべきとされています。
SESで行ってはいけない現場の地域として、以下の3つがあります。それぞれの地域には、長年にわたりパワハラやデスマーチが繰り返されている現場が存在することが知られており、特に注意が必要です。
- 東京都の避けるべき常駐先
- 神奈川県の避けるべき常駐先
- 千葉県・埼玉県の避けるべき常駐先
これらの情報は、SES経験者やSES営業の間で共有されてきた集合知であり、初めて配属される方は特に注意して確認すべきでしょう。以下では、各地域の詳細について解説していきます。
東京都の避けるべき常駐先
東京都内には、SESエンジニアが行ってはいけない現場が数多く存在します。特に海沿いの地域や東西線沿線には、炎上案件が集中していると言われており、避けるべき最寄り駅として以下の地域が挙げられます。
| エリア | 主な最寄り駅 | 特徴 |
|---|---|---|
| 東西線沿線 | 東陽町 門前仲町 茅場町 木場 西葛西 |
大手SIerの下請け案件が多い 残業や炎上率が特に高い傾向 |
| 海沿いエリア | お台場 豊洲 品川シーサイド テレコムセンター 天王洲アイル |
通信系や金融系の大規模案件が多い 納期に追われる案件が集中 |
| その他都内 | 蒲田 大崎 田町 多摩センター 北府中 新木場 |
メーカー系SIerやユーザー系SIerの現場が多い パワハラや体育会系の社風が報告されている |
東西線沿線は、大手町や日本橋などの金融機関が集中するエリアへのアクセスが良いため、金融系システムの開発案件が多く存在します。しかし、これらの案件は仕様変更が頻繁に発生し、承認プロセスも複雑であることから、プロジェクトが炎上しやすい構造になっています。
また、海沿いエリアは通信キャリアやメーカー系企業の本社が多く、24時間稼働のシステムを扱う案件が集中しています。休日出勤や夜間対応を求められるケースも多く、ワークライフバランスが崩れやすい環境だと言えるでしょう。
神奈川県の避けるべき常駐先
神奈川県内にも、SESエンジニアが避けるべき常駐先が複数存在します。特にYRP野比は、業界内で「レジェンド級のやばさ」として知られており、最も警戒すべき現場の一つです。
| 最寄り駅 | 地雷度 | 特徴 |
|---|---|---|
| YRP野比 (横須賀市) |
★★★★★ | 通信系研究開発拠点で、 デスマーチと高い離職率で悪名が高い |
| 武蔵小杉 中央林間 新川崎 センター北 |
★★★★☆ | 大手メーカー系SIerの現場が多い 厳しい納期と残業が常態化 |
| 川崎 鶴見 新横浜 本厚木 愛甲石田 |
★★★☆☆ | 工場や物流系のシステム案件が多い 夜勤や休日対応が発生しやすい |
YRP野比は、通信系企業の研究開発施設が集中するエリアであり、最先端技術を扱う一方で、納期の厳しさや技術要件の高さから、エンジニアが疲弊しやすい環境として知られています。交通アクセスも悪く、通勤だけで片道2時間以上かかるケースもあり、肉体的・精神的な負担が大きい現場だと言えます。
武蔵小杉や新川崎エリアには、大手電機メーカーやシステムインテグレーターの拠点があり、これらの企業の下請けとして参画する案件が多く存在します。体育会系の社風やパワハラが報告されている現場もあり、外部から派遣されたSESエンジニアに対する扱いが良くないケースも少なくありません。
千葉県・埼玉県の避けるべき常駐先
千葉県と埼玉県にも、SESエンジニアが行ってはいけない現場が存在します。特に千葉ニュータウン中央は、東京都内のYRP野比や多摩センターと並んで「三大収容所」と呼ばれるほど、悪名高い常駐先として知られています。
| 都県 | 主な最寄り駅 | 特徴 |
|---|---|---|
| 千葉県 | 千葉ニュータウン中央 海浜幕張 我孫子 |
大手通信キャリアやメーカーのデータセンター案件が多い 休日出勤や夜間対応が頻繁に発生 |
| 埼玉県 | 和光市 さいたま新都心 北与野 宮原 日進 |
官公庁系や金融系の案件が多い 年度末の納期集中によるデスマーチが発生しやすい |
千葉ニュータウン中央は、東京都心部から電車で1時間以上かかる場所に位置しており、通勤時間の長さだけでも大きな負担になります。また、この地域には大手通信キャリアのデータセンターやコールセンターが集中しており、24時間365日の運用保守案件が多く存在しています。
埼玉県のさいたま新都心や北与野エリアには、官公庁の情報システム部門や金融機関のバックオフィスシステムを扱う企業が多く、これらの案件は年度末に納期が集中する傾向があります。特に1月から3月にかけては、残業や休日出勤が常態化し、心身ともに疲弊するエンジニアが続出する現場として知られています。
SESで行ってはいけない現場の特徴
地域や業界だけでなく、現場そのものの特徴からも、行ってはいけない現場を見極めることができます。ブラックな常駐先には共通する特徴があり、これらのサインを事前に察知することで、配属リスクを減らすことが可能です。
SESで行ってはいけない現場の特徴として、以下の5つがあります。これらの特徴が複数当てはまる現場は、エンジニアの心身に大きな負担をかけ、キャリア形成にも悪影響を及ぼす可能性が高いと言えます。
- 過度な残業が常態化している
- スキルが一切身につかない
- 一人での常駐でメンターがいない
- 炎上している
- SESエンジニアへの扱いが悪い
これらの特徴を持つ現場に配属されると、長時間労働による健康被害やスキル不足による市場価値の低下、精神的なストレスなど、様々な問題に直面することになります。以下では、各特徴について詳しく解説していきます。
過度な残業が常態化している
SESで行ってはいけない現場の特徴の一つ目は、過度な残業が常態化していることです。SES契約では、月間の基準稼働時間が定められており、本来は定時に帰宅できるはずですが、実態として長時間残業を強いられる現場が存在します。
- 緊急性の高いプロジェクトや炎上案件では、連日深夜までの残業が発生する
- みなし残業制度を悪用し、超過分の残業代を支払わない企業がある
- SES契約は時間ベースの契約であるにもかかわらず、プロジェクトの進捗を理由に残業を強要される
- 祝日が多い月に有給を取得すると、契約時間を満たすために強制的に残業させられる
- 月間残業時間が80時間を超えるような現場では、心身の健康を損なうリスクが高い
残業が常態化している現場では、ワークライフバランスが完全に崩れ、プライベートの時間を確保することができなくなります。また、長時間労働による疲労の蓄積は、ミスの増加や生産性の低下を招き、さらなる残業を生み出すという悪循環に陥ることがあります。
みなし残業制度そのものは違法ではありませんが、予定された残業時間を超過した分の残業代を支払わない企業は、明らかに労働基準法違反です。このような現場に配属された場合は、所属SES企業に相談し、現場変更を依頼するか、労働基準監督署への相談も検討すべきでしょう。
スキルが一切身につかない
SESで行ってはいけない現場の特徴の二つ目は、スキルが一切身につかない業務内容であることです。エンジニアとしてのキャリア形成において、現場で得られる技術や経験は非常に重要ですが、単純作業やルーティンワークばかりの現場では、市場価値を高めることができません。
- 開発案件と聞いて参画したのに、実際はテスト工程のみを延々と繰り返す
- Excelへのデータ入力やスクリーンショットの貼り付けなど、エンジニアとは関係ない事務作業を任される
- マニュアル通りの検証作業や監視業務など、思考を必要としない単純作業が中心
- COBOLなどのレガシー言語での保守運用のみで、最新技術に触れる機会がない
- コールセンターのオペレーター業務など、IT技術と全く関係のない仕事をやらされる
スキルが身につかない現場で長期間働き続けると、転職市場での価値が下がり、将来的に自分の希望する企業やポジションに転職することが困難になります。特に20代後半以降は、実務経験とスキルが重視されるため、若いうちにスキルアップできる環境に身を置くことが非常に重要です。
また、SES企業の中には、エンジニアのキャリアプランよりも、自社の稼働率を上げることを優先し、とにかく人を配属させることだけを考えている企業も存在します。このような企業に所属している場合は、早期に転職を検討することをおすすめします。
一人での常駐でメンターがいない
SESで行ってはいけない現場の特徴の三つ目は、一人での常駐でメンターやサポート役がいないことです。SES企業から自分一人だけが常駐先に派遣され、周囲に相談できる人がいない状況は、特に経験の浅いエンジニアにとって非常に厳しい環境となります。
- 配属初日から何をすべきか指示がなく、放置される
- わからないことがあっても質問できる相手がおらず、業務が進まない
- 常駐先の社員から無視されたり、軽いいじめに遭うケースがある
- 孤立感と無力感により、精神的に追い詰められる
- SES企業側のフォローもなく、完全に孤独な状態になる
一人常駐の現場では、技術的な質問や業務の進め方について相談できる相手がいないため、問題が発生しても自力で解決しなければなりません。特に新しい技術や初めて触れるシステムを扱う場合、適切な指導がなければ、間違った方向に進んでしまい、後で大きな手戻りが発生するリスクがあります。
また、常駐先の社員から外部のSESエンジニアとして距離を置かれたり、会議に呼ばれなかったり、情報共有から外されたりすることもあります。このような環境では、仕事に対するモチベーションを維持することが困難になり、早期離職につながるケースも多く見られます。
炎上している
SESで行ってはいけない現場の特徴の四つ目は、プロジェクトが炎上していることです。炎上案件とは、納期に間に合わない、仕様がコロコロ変わる、テスト前なのに設計が終わっていないなど、プロジェクト管理が完全に破綻している状態を指します。
- プロジェクトの進捗が大幅に遅れており、納期に間に合わない状態が続いている
- 仕様変更が頻繁に発生し、開発した内容が無駄になることが繰り返される
- テスト工程に入っているのに、設計書や仕様書が完成していない
- 人が次々と辞めていき、常にリソース不足の状態になっている
- 休日出勤や深夜残業が当たり前になり、帰宅できない日が続く
炎上案件に配属されると、長時間労働と精神的なストレスにより、心身ともに疲弊していきます。また、炎上の原因は、マネージャーの能力不足、営業が無理な契約を取ってくる、クライアントの予算や納期に問題があるなど、エンジニア個人の努力では解決できない構造的な問題であることがほとんどです。
特に、東西線沿線や海沿い地域の大手SIer案件では、炎上率が高い傾向があります。配属前の面談で、プロジェクトの進捗状況や残業時間、離職率などを確認し、炎上の兆候が見られる場合は、配属を断ることも検討すべきでしょう。
SESエンジニアへの扱いが悪い
SESで行ってはいけない現場の特徴の五つ目は、SESエンジニアへの扱いが悪いことです。常駐先の中には、外部から派遣されてきたエンジニアを派遣社員以下の扱いをする企業があり、人間関係や労働環境に大きな問題を抱えています。
- 席が別に用意され、正社員との明確な区別がされる
- 会議に参加させてもらえず、重要な情報が共有されない
- 飲み会やチームイベントに呼ばれず、完全に外注扱いされる
- 指示だけされて裁量が一切なく、やりがいを感じられない
- パワハラや高圧的な態度で接され、精神的に追い詰められる
SESエンジニアを軽視する現場では、技術提供という本来の契約内容とは異なり、単なる人手不足を補うための派遣社員のような扱いを受けることがあります。このような環境では、エンジニアとしての専門性を発揮する機会が与えられず、自己成長の機会も失われてしまいます。
また、パワハラや体育会系の社風が強い大手SIerの現場では、外部のSESエンジニアに対して特に当たりが強く、些細なミスで叱責されたり、無理な要求を押し付けられたりすることがあります。このような現場に配属された場合は、我慢せずに所属SES企業の営業に相談し、早急に現場変更を依頼することが重要です。
SESでブラック現場を避ける方法
SESエンジニアとして働く上で、行ってはいけない現場を事前に回避することは、キャリア形成において非常に重要です。ブラック現場に一度配属されてしまうと、心身の健康を損なうだけでなく、スキル不足により市場価値が下がるリスクもあります。
SESでブラック現場を避ける方法として、以下の4つがあります。これらの方法を組み合わせることで、配属リスクを大幅に減らし、自分のキャリアプランに合った現場で働く可能性を高めることができます。
- SES面談で現場の実態を見抜く
- 企業の口コミサイトをチェックする
- SES営業に事前に相談しておく
- 案件選択制のあるSES企業を選ぶ
特に、配属前のSES面談は、現場の雰囲気や労働環境を直接確認できる貴重な機会です。また、所属するSES企業の選択も、ブラック現場を避ける上で決定的に重要な要素となります。以下では、各方法について詳しく解説していきます。
SES面談で現場の実態を見抜く
SESでブラック現場を避ける方法の一つ目は、配属前のSES面談で現場の実態を見抜くことです。面談は、常駐先の担当者と直接話ができる唯一の機会であり、この場で適切な逆質問をすることで、現場環境やプロジェクトの状況を把握できます。
| 質問カテゴリ | 具体的な質問例 |
|---|---|
| 業務内容 | 現場の1日の業務スケジュールを教えてください このポジションは何人体制で担当していますか 開発工程のどの部分を担当することになりますか |
| 労働環境 | 実際の平均残業時間を教えてください 休日出勤はどの程度発生しますか リモートワークは可能ですか |
| プロジェクト状況 | 現在のプロジェクト進捗はどのような状況ですか 納期はいつに設定されていますか 前任の方が辞めた理由は分かりますか |
| サポート体制 | メンターや相談できる方はいますか わからないことがあった時の質問体制はどうなっていますか チーム内のコミュニケーションはどのように取られていますか |
面談での相手の反応や回答内容から、ブラック現場かどうかをある程度判断することができます。例えば、残業時間について曖昧にごまかしたり、「実際に入ってからでないと分からない」と答える場合は、長時間労働が常態化している可能性が高いと考えられます。
また、面談担当者の言葉遣いや態度、雰囲気も重要なチェックポイントです。高圧的な態度で接してきたり、質問に対して不機嫌そうな反応を示す場合は、現場の社風がパワハラ気質である可能性があります。このようなサインを見逃さず、少しでも違和感を感じたら、配属を断る勇気も必要です。
企業の口コミサイトをチェックする
SESでブラック現場を避ける方法の二つ目は、企業の口コミサイトをチェックすることです。実際にその現場で働いたエンジニアの生の声を参考にすることで、公式な情報では分からない実態を知ることができます。
| 口コミサイト | 特徴 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| OpenWork (旧Vorkers) |
社員や元社員による 詳細な企業レビュー |
労働環境、残業時間、人間関係、 キャリア成長の機会について 複数の投稿を確認する |
| 転職会議 | 転職経験者による 企業評価と面接情報 |
退職理由、年収、福利厚生、 SESエンジニアへの扱いについて ネガティブな投稿の傾向を見る |
| 就活会議 | 新卒・中途採用の 面接体験談が豊富 |
選考プロセス、面接の雰囲気、 内定者の声から企業文化を把握する |
口コミサイトを確認する際は、一つの投稿だけで判断せず、複数の投稿を読んで共通する傾向を見極めることが重要です。例えば、「常に炎上している」「帰属意識ゼロ」「教育なし」「新人が毎月辞めている」などのマイナスなワードが複数の投稿に繰り返し登場する場合は、その常駐先には絶対に行くべきではありません。
また、配属先企業だけでなく、元請けとなるSIer企業の口コミもチェックすることをおすすめします。元請け企業の社風や働き方が、実際の現場環境に大きく影響するためです。特に大手SIerの下請け案件では、元請け企業の体育会系文化やパワハラ気質がそのまま現場に反映されることが多いため、注意が必要です。
SES営業に事前に相談しておく
SESでブラック現場を避ける方法の三つ目は、SES営業に事前に相談しておくことです。案件選定や現場配属を決定するのはSES営業の役割であり、営業との良好な関係を築いておくことで、自分の希望に沿った現場にアサインしてもらえる可能性が高まります。
- 自分が絶対に避けたい現場の条件を明確に伝える(例:東陽町、蒲田、門前仲町などの地域は避けたい)
- 自分のメンタル面の特性を正直に共有する(例:プレッシャーに弱いのでホワイトな常駐先を希望)
- どのような技術を学びたいか、どんなキャリアパスを歩みたいかを伝える
- ブラックな現場に配属されたらすぐに辞めてしまう可能性があることを事前に伝える
- 定期的に営業とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておく
SES営業は、エンジニアの稼働率を上げることが仕事であり、基本的には早く案件を決めて配属させたいと考えています。しかし、すぐに辞められてしまうと営業成績にも悪影響があるため、エンジニアが長く働ける環境を提供することも重要だと理解しています。
そのため、事前に自分の希望や不安を率直に伝えておくことで、営業側も慎重に案件を選定してくれる可能性が高まります。特に、「この現場に配属されたら精神的に耐えられず退職する可能性がある」という強いメッセージを伝えることは、営業に対して効果的なアプローチとなります。
案件選択制のあるSES企業を選ぶ
SESでブラック現場を避ける方法の四つ目は、そもそも案件選択制のあるSES企業を選ぶことです。全てのSES企業が同じではなく、エンジニアに配属先の選択権を与えている優良企業も存在します。このような企業に所属することが、ブラック現場を避ける最も確実な方法だと言えます。
| 確認項目 | 優良SES企業の特徴 | ブラックSES企業の特徴 |
|---|---|---|
| 案件選択 | 面談前に複数の案件リストを提示し、 エンジニアが選択できる |
会社が一方的に決めた案件に 強制的に配属させる |
| 待機期間 | 待機中も給与が全額保証される スキルアップのための研修がある |
待機になると給与が大幅に減額される 早く配属することだけを優先する |
| 現場リーダー | 必ず自社のリーダーが 同じ現場に配属される |
一人だけで常駐先に 派遣されることが多い |
| 現場変更 | ブラック現場に当たった場合、 すぐに変更対応してくれる |
その現場にいろと押さえつけられ、 変更に応じてもらえない |
| 透明性 | 定着率や離職率を公開している 案件情報が詳細に開示される |
情報開示が曖昧で、 実際に配属されるまで詳細が分からない |
優良なSES企業では、エンジニアのキャリア成長を真剣に考えており、スキルアップできる環境を提供することに力を入れています。また、ブラック現場に配属されてエンジニアが疲弊してしまうと、結果的に会社の評判も下がり、優秀な人材が集まらなくなることを理解しています。
転職活動の際は、求人票に「案件選択可能」「配属前に相談あり」と明記されているかを必ず確認してください。また、面接時に「どんな案件があるか、事前に見せてもらえますか?」と質問することで、その企業の透明性や誠実さを判断することができます。曖昧にごまかす企業は避け、具体的な案件情報を開示してくれる企業を選ぶようにしましょう。