SESの現場が合わない・・変更する際の手順や伝え方を解説

SES現場を変えたい・合わないと感じる理由

SES現場が自分に合わず、変更したいと感じるSESエンジニアは少なくありません。現場ごとに環境や業務内容が大きく異なるため、配属先によってはストレスを抱えることがあります。

SES現場を変更したいと感じる主な理由は以下の4つです。それぞれの状況を理解することで、自分がどの理由に該当するのかを明確にできます。

スキルとのミスマッチ
人間関係の問題
労働環境の悪さ
正当な評価の不足

各理由について詳しく解説していきます。

スキルとのミスマッチ

SES現場で求められるスキルと自分の保有スキルが合わない場合、業務遂行が困難になります。契約前に聞いていた内容と実際の業務が異なるケースもあり、想定以上の難易度の仕事を任されることがあります。

スキル不足によって生じる問題は以下のとおりです。

問題	具体的な状況
業務遂行の困難	技術的な要求に対応できず、タスクが進まない
周囲への迷惑	他のエンジニアにフォローを依頼する機会が増え、チームに負担をかける
精神的な負担	自信を喪失し、現場に行くこと自体がつらくなる

スキルミスマッチが続くと心身に大きな負担がかかるため、現場変更を検討する正当な理由となります。

人間関係の問題

SES現場では常駐先ごとに新しい人間関係を構築する必要があるため、対人ストレスを感じやすい環境です。既にできあがった職場の輪に入りづらかったり、外部の人として扱われることでストレスを抱えます。

SES現場における人間関係の問題は以下のとおりです。

すでに形成されている人間関係になじめない
高圧的な上司や先輩がいる
SESエンジニアを下に見る態度をとられる
相談できる人がおらず孤独を感じる

特に一人で客先常駐する現場では相談相手がいないため、人間関係の問題を解決することが困難です。人間関係が原因で現場を変更したいと感じるのは自然なことといえます。

労働環境の悪さ

SES現場によっては残業が多い、休みが取れない、納期に追われるといった劣悪な労働環境に置かれることがあります。長時間労働が続くと心身に負担がかかり、健康面への影響も懸念されます。

労働環境の悪さには以下のような問題があります。

問題	具体的な状況
長時間労働	残業が月60時間を超え、プライベートの時間が確保できない
休暇取得の困難	繁忙期が続き、有給休暇を取得できない
納期のプレッシャー	常に納期に追われ、精神的な余裕がない

ワークライフバランスが崩れた状態が続くと、長期的なキャリア形成にも悪影響を及ぼすため、労働環境を理由に現場変更を希望するのは妥当な判断です。

正当な評価の不足

SES現場では自社の上司が常駐先にいないことが多いため、いくら成果を上げても正当な評価を受けられないケースがあります。評価する人がいない状況ではモチベーションが低下し、キャリアアップも困難になります。

正当な評価が受けられない理由は以下のとおりです。

自社の上司が現場にいないため業務内容を把握されていない
客先の評価が自社に伝わらない仕組みになっている
一人常駐の現場では成果を見てくれる人がいない
評価制度が曖昧で昇給・昇進の基準が不明確

頑張りが報われない環境では成長意欲を維持することが難しく、現場変更や転職を検討するきっかけとなります。

SES現場を変更する具体的な方法

SES現場を変更したいと感じたら、適切な手順を踏むことでスムーズに移動できます。自己判断で行動するとトラブルになる可能性があるため、会社を通じて正式に手続きを進めることが重要です。

SES現場を変更する際の手順は以下の3つです。それぞれのステップを確実に実行することによって、円満に現場を移ることができます。

営業・上司への相談手順
契約更新のタイミング調整
業務の引き継ぎ

各手順について詳しく解説していきます。

営業・上司への相談手順

SES現場を変更したい場合、まず自社の営業担当者または上司に相談する必要があります。SES契約は会社間で結ばれているため、エンジニアが直接クライアントに伝えることはマナー違反となり、営業担当者との信頼関係を損ねる可能性があります。

営業・上司への相談時に注意すべきポイントは以下のとおりです。

ポイント	具体的な内容
相談は自社経由で	必ず営業担当者または上司を通して伝えるクライアントへの直接連絡は厳禁
理由を具体的に	「○○のスキルを伸ばしたいが現場では機会がない」「長時間残業が続き体調に不安がある」など明確に説明
前向きな姿勢で	「この現場が嫌だ」ではなく「○○に挑戦したい」という表現を使う
早めに切り出す	契約終了の2ヶ月前までに相談後任探しや調整に時間が必要

相談しても取り合ってもらえない場合は、エンジニアのことを考えていない企業の可能性があるため、転職も視野に入れる必要があります。

契約更新のタイミング調整

SES現場を変更する最適なタイミングは契約更新時です。契約途中で抜けるとクライアントに迷惑をかけ、自社の信頼を損なう恐れがあるため、契約期間の終了に合わせて現場を移ることが望ましいです。

契約更新のタイミング調整で重要な点は以下のとおりです。

SES契約は1ヶ月から3ヶ月ごとに更新されることが多い
契約終了の約1ヶ月前に更新の意思確認が行われる
更新しない意向を早めに伝えないと契約が延長される
体調不良や精神的な限界の場合は契約期間中でも相談すべき

契約期間を事前に確認し、更新のタイミングを逃さないようにすることで、スムーズな現場変更が実現できます。営業担当者と密に連絡を取り、次の現場への配属時期を調整してください。

業務の引き継ぎ

SES現場を変更する日程が決まったら、担当業務の引き継ぎを丁寧に行う必要があります。後任者がスムーズに業務を開始できるよう準備することで、クライアントとの関係を良好に保ち、自社の信頼も維持できます。

業務の引き継ぎ手順は以下のとおりです。

手順	具体的な内容
業務のリスト化	担当している業務を全て洗い出し、リストにまとめる
スケジュール決定	引き継ぎ期間を設定し、後任者と日程を調整する
引き継ぎ書類作成	業務手順、注意点、関係者の連絡先、課題やトラブル内容をまとめる
後任者への説明	書類を基に業務内容を説明し、質問に答える

引き継ぎ書類には業務の目的や手順だけではなく、使用するツールやファイルの保存場所、現在抱えている課題なども記載してください。丁寧な引き継ぎはプロ意識を示すことにつながり、次の現場でも良い評判が得られます。

今のSES現場が嫌になったら営業にしっかり伝える

SES現場を変更したいと思ったら、営業担当者に適切に伝えることが重要です。伝え方次第で現場変更がスムーズに進むか、あるいは先延ばしにされるかが決まります。

営業に伝える際の重要なポイントは以下の3つです。これらを意識することによって、希望する現場変更を実現しやすくなります。

理由の具体化
ポジティブな表現
早めの相談

各ポイントについて詳しく解説していきます。

理由の具体化

SES現場を変更したい理由を具体的に説明することで、営業担当者も真剣に取り合ってくれます。漠然と「現場が嫌だから辞めたい」と伝えるだけでは、改善提案で終わってしまう可能性があります。

理由を具体化する際のポイントは以下のとおりです。

ポイント	具体的な説明例
スキル面の理由	「○○のスキルを伸ばしたいが、現場ではその機会がない」
労働環境の理由	「長時間残業が続き、体調に不安がある」
キャリアの理由	「上流工程の経験を積みたいが、現場では下流工程のみ担当している」

単なる愚痴やネガティブな不満だけではなく、自分のキャリア目標に照らし合わせて現場とのギャップを説明することが大切です。具体的な理由を伝えることで、営業担当者も次の現場を探しやすくなります。

ポジティブな表現

SES現場変更を伝える際は、ポジティブな表現を使うことで営業担当者の協力を得やすくなります。否定的な表現ばかりでは印象が悪くなり、真剣に対応してもらえない可能性があります。

ポジティブな表現に変換する例は以下のとおりです。

否定的な表現	ポジティブな表現
この現場が嫌だ	○○に挑戦したいので、 △△の現場を経験したい
人間関係が最悪	チームで協力できる環境で働きたい
スキルが身につかない	○○の技術を使う現場で経験を積みたい

「今の現場が嫌」という否定的な表現より、「○○に挑戦したい」という前向きな要望として伝えることで、営業担当者も動きやすくなります。自分のキャリア目標を明確に示し、それを実現するために現場変更が必要だという論理で説明してください。

早めの相談

SES現場変更の相談はできるだけ早く行うことが重要です。契約更新の直前になって「次で抜けたい」と言っても、後任探しやクライアントとの調整が間に合わず、希望通りに移れないケースがあります。

早めに相談すべき理由は以下のとおりです。

後任エンジニアの手配に時間が必要
クライアントとの契約更新交渉に時間がかかる
次の現場を探す期間が必要
引き継ぎ準備に余裕を持てる

理想としては契約終了の2ヶ月前くらいに営業担当者に伝えておくと良いでしょう。早めに相談することによって、営業側も余裕を持って調整でき、あなたも次の準備に時間を充てられます。定期的に進捗を確認し、状況をフォローすることも効果的です。

希望のSES現場に入るための準備

SES現場を変更する際、単に「今の現場じゃなければどこでもいい」という姿勢では、同じ不満を繰り返す恐れがあります。希望する現場に配属されるためには、事前の準備が欠かせません。

希望のSES現場に入るための準備は以下の3つです。これらを実践することによって、自分に合った現場に配属される可能性が高まります。

希望条件の明確化
スキルアップ
面談対策

各準備について詳しく解説していきます。

希望条件の明確化

SES現場を変更する前に、次の現場に求める条件を明確にすることが重要です。希望が曖昧なまま現場を変更すると、再び不満を抱える可能性があります。

希望条件を明確にする項目は以下のとおりです。

項目	具体的な検討内容
業務内容	開発系の業務がしたい、 Web系プロジェクトに携わりたいなど
使用技術	Javaの経験を積みたい、クラウド(AWS等)に関わりたいなど
労働条件	残業は月20時間以内、リモート勤務が可能など
チーム体制	一人常駐は避けたい、レビュー文化のある現場が良いなど
勤務地	都内23区内、通勤時間1時間以内など

希望条件をリストアップしたら、優先順位をつけて「これだけは譲れない条件」と「妥協可能な条件」を整理しましょう。すべての希望が叶う現場が見つかるとは限らないため、判断基準を持つことが大切です。

スキルアップ

希望するSES現場に見合うスキルを持っているか確認し、不足しているなら現場を変える前にスキルアップに励む必要があります。努力している姿勢を見せることで、営業担当者やクライアントも本気度を理解し、次のチャンスにつながりやすくなります。

スキルアップの具体的な方法は以下のとおりです。

希望する現場で使われる技術を学習する
関連する資格を取得する(AWS認定、基本情報技術者試験など)
オンライン講座や書籍で知識を補強する
個人プロジェクトで実践経験を積む

例えば、クラウド案件に行きたいならAWSの資格勉強中といった具体的な取り組みを営業担当者に伝えてください。スキルアップの努力を示すことで、「この人なら次の現場でも活躍できる」と判断され、希望に近い案件を紹介してもらえる可能性が高まります。

面談対策

希望するSES現場が見つかっても、面談で失敗すると配属されません。面談では自己紹介、過去の経歴、持っているスキル、仕事に対する考え方などを聞かれるため、事前に準備しておく必要があります。

面談対策で重要なポイントは以下のとおりです。

対策項目	具体的な準備内容
自己紹介	経歴を1分程度で簡潔に説明できるようにする過去のプロジェクト内容と役割を整理
スキルの説明	使用できる言語、フレームワーク、ツールをリスト化実務経験の年数も添える
企業研究	面談先の事業内容、仕事内容を事前に確認必要とされるスキルを把握
逆質問の準備	現場で使用されている技術やチームの雰囲気など前向きな質問を3つ以上用意