SES現場を飛ぶとどうなる?バックレるリスクと対処法を解説

SES現場を飛ぶとどうなる?バックレるリスクと対処法を解説

SES現場を飛ぶ(バックレる)リスク

SES現場を飛ぶ(バックレる)リスク

SES現場を飛ぶ(バックレる)行為は、一時的に辛い状況から逃れられるかもしれませんが、その後に待ち受けるリスクは決して小さくありません。法的な問題から経済的な損失、将来のキャリアへの影響まで、多岐にわたるデメリットが存在します。

SES現場を飛ぶことによって発生する主なリスクとして、以下の4つがあります。

  • 懲戒解雇になる可能性
  • 損害賠償を請求される可能性
  • 給与や退職金に影響する
  • 転職活動に影響が出る

それぞれのリスクは単独でも深刻ですが、複数が重なることで取り返しのつかない事態を招く恐れもあります。以下では、各リスクについて詳しく解説していきます。

懲戒解雇になる可能性

SES現場を飛んで長期間の無断欠勤を続けた場合、会社から懲戒解雇の処分を受ける可能性があります。懲戒解雇とは、従業員が重大な規律違反や非行を行った際に科される最も重い処分のことで、通常の退職とは大きく異なります。

懲戒解雇された場合に発生する主なデメリットは以下のとおりです。

  • 離職票に重責処分と記載される
  • 次の就職や転職のハードルが大幅に上がる
  • 失業保険の給付が最長3ヶ月間制限される
  • 退職金が減額または不支給になる

特に深刻なのは、懲戒解雇の事実が公的な書類に記録されてしまうことです。採用企業は離職票を確認することで懲戒解雇を受けた事実を知ることができ、採用を見送る判断材料とされてしまいます。経歴に傷がつくことによって、今後のキャリア形成が著しく困難になるでしょう。

損害賠償を請求される可能性

SES現場を飛ぶことによって、会社やクライアント企業に損害が発生した場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。ただし、日本では憲法や労働基準法で退職の自由が保障されているため、実際に損害賠償が認められるケースは限定的です。

損害賠償を請求されやすい状況として、以下のようなケースが考えられます。

  • 重大なシステム障害やバグを放置したまま退職した
  • 自分しか対応できない業務を引き継がずに退職した
  • 機密情報を持ち出したり不正に利用した
  • クライアント企業に直接的な経済損失を与えた

労働基準法第16条では、使用者が労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定する契約を禁止しています。そのため、通常の退職やバックレによって会社が損害賠償を請求することは違法となる場合が多く、実際に訴訟に発展するケースは稀です。ただし、著しい損害を与えた場合には例外的に請求が認められる可能性もあるため、注意が必要です。

給与や退職金に影響する

SES現場を飛んだ場合、給与や退職金の支給に悪影響が出る可能性があります。働いた分の給与は法律上必ず支払われる権利がありますが、無断欠勤期間やボーナス、退職金については会社の裁量によって減額や不支給となるケースがあります。

給与や退職金に関する主な影響は以下のとおりです。

項目 影響
基本給 働いた分は必ず支給される
無断欠勤期間は欠勤控除の対象
賞与 支給日に在籍していない場合は不支給
懲戒処分を受けた場合は減額または不支給
退職金 懲戒解雇の場合は減額または不支給
会社の就業規則によって扱いが異なる
有給休暇 無断欠勤は自動的に有給にならない
事前申請していない分は消化できない

特に退職金は数十万円から数百万円単位になることもあるため、バックレによって不支給となれば大きな経済的損失となります。給与計算が曖昧になりやすく、会社側が不当に給与を減額するケースもあるため、退職前に労働契約書や就業規則を確認しておくことが重要です。

転職活動に影響が出る

SES現場を飛んだことは、次の転職活動に大きな悪影響を及ぼします。バックレによる退職は履歴書や職務経歴書で説明が困難になり、採用担当者に不信感を与える要因となります。

転職活動で発生する主な問題点は以下のとおりです。

  • 履歴書の経歴に不自然な空白期間が生まれる
  • 退職理由を面接で説明できない
  • 前職の離職票から懲戒解雇が発覚する
  • 源泉徴収票の提出でバックレがバレる
  • 業界内で評判が広まり採用を断られる

IT業界は意外に狭い世界であり、特にSES業界では企業間のつながりが強いため、バックレの情報が広まるリスクがあります。前職の上司やクライアント企業の担当者が転職先と取引関係にあった場合、過去の問題行動が明るみに出てしまうこともあります。バックレによってキャリアに傷がつくと、優良企業への転職が困難になるだけでなく、次の職場でも不利な条件での採用となる可能性が高まります。

SES現場を飛んだ後の流れ

SES現場を飛んだ後の流れ

SES現場を飛んだ場合、その後どのような事態が展開されるのかを理解しておくことは非常に重要です。バックレは単に現場に行かなくなるだけでは完結せず、複数の関係者を巻き込んだ一連の流れが発生します。

SES現場を飛んだ後に起こる一般的な流れとして、以下の3つの段階があります。

  • 常駐先から電話がくる
  • 自社の上司から電話がくる
  • 無視し続けると退職書類が届く

それぞれの段階には対応方法があり、無視を続けることで最終的には退職に至りますが、その過程で様々なリスクが伴います。以下では、各段階について詳しく解説していきます。

常駐先から電話がくる

SES現場を飛んで出社しなくなると、まず最初に常駐先の担当者から本人に電話がかかってきます。出社予定時刻から30分から2時間程度経過すると、常駐先は遅刻や欠勤の理由を確認するために連絡を試みます。

常駐先からの連絡で確認される主な内容は以下のとおりです。

  • なぜ出社していないのか
  • 体調不良や事故などのトラブルがあったのか
  • 別の業務で来られないのか
  • いつ出社できるのか

本気でバックレる場合は、この段階で常駐先からの電話に出てはいけません。電話に出てしまうと、出社を促されたり理由を説明する必要が生じたりして、バックレが失敗に終わる可能性があります。電話に数時間出ないと、その後はメールやチャットツールなどで連絡が届くようになります。常駐先の担当者は何度か本人への連絡を試みた後、次の段階へと進みます。

自社の上司から電話がくる

常駐先からの連絡に応答がない場合、常駐先は所属しているSES企業に連絡を入れます。この時点で初めて自社の上司や営業担当者が、あなたが無断欠勤していることを知ることになります。

自社から本人への連絡の流れは以下のとおりです。

連絡順序 連絡者
1 常駐先担当者から担当営業へ連絡
2 担当営業からSES企業の直属上司へ連絡
3 直属上司から本人へ電話連絡
4 電話に出ない場合は部長や人事部へエスカレーション

自社の上司からは、状況確認のために何度も電話がかかってきます。上司によっては怒りを込めた口調で「クライアントに迷惑をかけるな」「早く出社しろ」「懲戒解雇にするぞ」といった厳しい内容の留守番電話やメールが届くこともあります。電話に出てしまうとバックレに失敗する可能性が高いため、この段階でも無視を続けることになります。携帯電話の電源を切るか、着信拒否設定をしておくのが無難です。

無視し続けると退職書類が届く

会社からの連絡を1週間から10日程度無視し続けると、会社側はバックレたと判断し、最終的にメールや郵便で退職関連の書類が送付されます。この段階まで来ると、会社はエンジニアが現場に戻ってくることを諦め、退職手続きに移行します。

退職時に必要となる主な手続きと書類は以下のとおりです。

  • 退職届の提出
  • 貸与品の返却
  • 年金手帳や雇用保険被保険者証の返却
  • 退職証明書や離職票の受け取り
  • 源泉徴収票の受け取り
  • 機密保持契約書の確認

会社から指示された退職関連の書類に記入し、必要な貸与品をまとめて郵送します。健康保険証やセキュリティカード、会社支給のパソコンや携帯電話などは必ず返却しなければなりません。書類のやり取りが完了し、退職証明書や離職票が届けば、正式に退職が完了します。ただし、この方法での退職は懲戒解雇となる可能性が高く、離職票に重責処分と記載されるリスクがあるため、可能な限り正規の退職手続きを踏むことが望ましいといえます。

SES現場を飛ぶ前に検討すべき対処法

SES現場を飛ぶ前に検討すべき対処法

SES現場を飛びたいと感じるほど追い詰められている状況でも、バックレ以外に取れる選択肢は複数存在します。適切な対処法を選ぶことで、法的リスクやキャリアへの悪影響を最小限に抑えながら、現状を打開することができます。

SES現場を飛ぶ前に検討すべき主な対処法として、以下の4つがあります。

  • 退職代行サービスを利用する
  • 正当な退職手続きを行う
  • 自社の上司に相談する
  • 転職活動を始める

それぞれの方法には特徴とメリットがあり、自分の状況に合わせて最適な選択をすることが重要です。以下では、各対処法について詳しく解説していきます。

退職代行サービスを利用する

自分で退職を伝えることが困難な場合や、会社から強い引き止めが予想される場合には、退職代行サービスの利用が有効な選択肢となります。退職代行サービスとは、弁護士や労働組合などの専門家が、本人に代わって会社に退職の意思を伝え、退職手続きを代行してくれるサービスです。

退職代行サービスを利用するメリットは以下のとおりです。

  • 精神的な負担を大幅に軽減できる
  • 上司や人事担当者と直接会話する必要がない
  • 法律に基づいた正当な手続きで退職できる
  • 即日退職が可能になる
  • 有給休暇の消化交渉もしてくれる
  • 損害賠償や懲戒解雇のリスクを避けられる

退職代行サービスは大きく分けて3つのタイプがあります。一般企業が運営するサービスは費用が安いものの交渉権限がなく、労働組合が運営するサービスは団体交渉権を持つため会社と交渉ができ、弁護士が運営するサービスは法的トラブルにも対応できます。費用は2万円から5万円程度が相場で、弁護士付きの場合はやや高額になりますが、トラブルなく確実に退職できる安心感があります。

正当な退職手続きを行う

最も確実でリスクの少ない方法は、法律に則った正当な退職手続きを行うことです。民法第627条では、雇用期間の定めがない場合は退職の申し入れから2週間で雇用契約が終了すると定められており、労働者には退職する自由が保障されています。

正当な退職手続きの流れは以下のとおりです。

ステップ 内容
1 退職の意思を上司に口頭で伝える
できれば1ヶ月以上前が望ましい
2 退職届を書面で提出する
メールやチャットでも記録を残す
3 退職日を会社と調整する
引継ぎ期間を考慮して決定
4 業務の引継ぎを行う
後任者への説明や資料作成
5 有給休暇を消化する
残りの有給を退職日までに使う
6 退職手続きを完了する
貸与品返却や書類の受領

就業規則で1ヶ月前や2ヶ月前に退職を申し出るよう定められている場合でも、民法の規定が優先されるため、法律上は2週間前の申し出で退職できます。ただし、円満に退職するためには余裕を持って伝え、しっかりと引継ぎを行うことが望ましいといえます。正当な手続きを踏むことで、懲戒解雇や損害賠償のリスクを完全に回避でき、退職金や失業保険も問題なく受け取れます。

自社の上司に相談する

SES現場の環境が合わないことが退職を考える理由である場合、いきなり辞めるのではなく、自社の上司に現状を相談して現場の変更を依頼する方法もあります。SES企業によっては、エンジニアの要望に応じて別のプロジェクトや現場へ配置転換してくれる可能性があります。

自社の上司に相談する際のポイントは以下のとおりです。

  • 現場の何が辛いのか具体的に説明する
  • 感情的にならず冷静に事実を伝える
  • 改善してほしい点を明確にする
  • 現場変更が可能かどうか確認する
  • 相談した内容を記録に残す

常駐先の人間関係や労働環境の問題は、エンジニア個人の力では変えることが困難です。しかし、自社の上司に状況を伝えることで、常駐先との契約内容を見直してもらったり、別の現場に移動させてもらえたりする場合があります。会社側もエンジニアが途中で辞めてしまうと損失が大きいため、可能な範囲で配置転換に応じてくれる可能性があります。ただし、会社によっては相談しても対応してくれないケースもあるため、その場合は退職を視野に入れた対応が必要です。

転職活動を始める

現在の環境が改善される見込みがない場合は、在職中に転職活動を開始することが最も賢明な選択肢です。次の職場が決まってから退職することで、収入の途絶を防ぎ、精神的な余裕を持って退職交渉に臨むことができます。

在職中に転職活動を進めるメリットは以下のとおりです。

  • 収入が途切れないため生活の不安がない
  • 焦らずに条件の良い企業を選べる
  • 退職交渉がスムーズに進む
  • 履歴書に空白期間が生まれない
  • 面接で前向きな退職理由を説明できる

IT業界は慢性的な人材不足であり、特にエンジニアの需要は非常に高い状況が続いています。経験があればSES以外の自社開発企業や受託開発企業、社内SEなど、より良い労働環境の企業への転職も十分可能です。転職エージェントを活用すれば、非公開求人の紹介や書類添削、面接対策などのサポートを無料で受けられるため、効率的に転職活動を進められます。バックレを考えるほど辛い状況であるならば、まずは転職活動を始めて次のステップを見据えることが重要です。

SES現場を飛ぶことの法律上の位置付け

SES現場を飛ぶことの法律上の位置付け

SES現場を飛ぶことは道義的には問題がある行為ですが、法律的な観点から見ると、労働者の権利として一定の保護がなされています。日本の法律では労働者の退職する自由が広く認められており、基本的には会社側が退職を妨げることはできません。

SES現場を飛ぶことに関連する主な法律として、以下の3つがあります。

  • 憲法で保障される職業選択の自由
  • 民法で認められる退職の自由
  • 労働基準法で禁止される損害賠償

それぞれの法律は労働者の権利を守るために存在しており、バックレによって会社から不当な扱いを受けた場合の法的根拠となります。以下では、各法律について詳しく解説していきます。

憲法で保障される職業選択の自由

日本国憲法第22条第1項では、職業選択の自由が基本的人権として保障されています。この規定により、労働者は自分の意思で従事する職業を自由に選択し、変更する権利を持っています。

憲法第22条が保障する内容は以下のとおりです。

項目 内容
条文 何人も、公共の福祉に反しない限り
居住、移転及び職業選択の自由を有する
意味 労働者は自分の意思で職業を選べる
会社は労働者の退職を妨げられない
適用範囲 正社員、契約社員、派遣社員など
雇用形態に関わらず全ての労働者

職業選択の自由には、職業を選択する自由だけでなく、現在の職業から離れる自由も含まれています。そのため、会社が退職を強く引き止めたり、退職に対して不当な制裁を加えたりする行為は、憲法で保障された労働者の権利を侵害する可能性があります。バックレによって会社から損害賠償を請求されたり、懲戒解雇をちらつかせて脅されたりした場合でも、最終的には労働者の退職する権利が優先されることになります。

民法で認められる退職の自由

民法第627条第1項では、雇用期間の定めがない労働契約において、労働者はいつでも退職の申し入れができることが明文化されています。この規定により、労働者は会社の承諾を得ることなく、一方的に退職することが法律上認められています。

民法第627条の規定内容は以下のとおりです。

  • 退職の申し入れはいつでもできる
  • 申し入れから2週間で雇用契約が終了する
  • 会社の承諾は必要ない
  • 就業規則よりも民法が優先される

多くの会社では就業規則で退職の申し出を1ヶ月前や2ヶ月前までに行うよう定めていますが、これらの規定は民法第627条に反するため法的拘束力はありません。労働者は民法の規定に従って2週間前に退職を申し入れれば、会社がどれだけ引き止めようとも法律上は退職できます。ただし、バックレの場合は退職の申し入れすら行わないため、無断欠勤が2週間以上続くと懲戒解雇の対象となる可能性があります。退職の自由は認められていますが、最低限の手続きを踏むことが重要です。

労働基準法で禁止される損害賠償

労働基準法第16条では、使用者が労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約を結ぶことを明確に禁止しています。この規定により、退職したことを理由に会社が労働者に対して損害賠償を請求することは原則として違法となります。

労働基準法第16条が禁止する内容は以下のとおりです。

  • 退職に伴う違約金の設定
  • 損害賠償額の事前予定
  • 退職による罰金の徴収
  • 研修費用の返還請求

会社がバックレによって損害を被ったとしても、労働者に対して一方的に損害賠償を請求することは労働基準法違反となります。ただし、労働者が故意または重大な過失によって会社に損害を与えた場合には、例外的に損害賠償請求が認められることがあります。例えば、機密情報を持ち出して競合他社に漏らしたり、重要なシステムを意図的に破壊したりした場合には、民法上の不法行為として損害賠償責任を負う可能性があります。しかし、単に退職したことや引継ぎをしなかったことだけでは、損害賠償が認められるケースは極めて稀です。会社から損害賠償を請求された場合には、労働基準監督署や弁護士に相談することで適切な対応が可能です。

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