SES現場で働くエンジニアの中には、自社の上司や客先の担当者から頻繁に怒られることに悩んでいる方が少なくありません。客先常駐という働き方の特性上、自社と常駐先の両方から指示や叱責を受けることがあり、板挟みの状態に苦しむケースも多く見られます。
しかし、怒られる原因が自分のスキル不足にあるのか、それとも理不尽な叱責なのかを正しく判断できなければ、適切な対処ができません。中には契約違反やパワハラに該当するような理不尽な状況に置かれているエンジニアもいます。
この記事では、SESで怒られる主な原因を詳しく解説し、怒られた時の具体的な対処法や、理不尽な叱責かどうかを見極める判断基準について説明します。
SESで怒られる主な原因
SES現場でエンジニアが怒られる背景には、客先常駐という働き方特有の構造的な問題が関係しています。自社の評価と客先の期待の両方を満たす必要があるため、通常の社内SE や自社開発エンジニアと比べて叱責を受ける機会が多くなりがちです。
怒られる原因を正しく理解することによって、今後の対策を立てやすくなります。このセクションでは、以下3つのケースについて詳しく見ていきます。
- 自社の上司から怒られるケース
- 客先の担当者から怒られるケース
- 両方から同時に怒られるケース
それぞれのケースには異なる背景と対処の方向性があるため、自分の状況がどれに該当するかを見極めることが重要です。
自社の上司から怒られるケース
自社の上司から怒られる主な原因は、客先からのクレームや評価の低下が自社に伝わることです。SESでは客先からの評価が自社の営業成績に直結するため、客先から苦情が入ると上司は自分の評価が下がることを恐れて厳しく叱責してきます。
上司から怒られる具体的な理由として、以下のようなものがあります。
- 客先から「レベルが低い」「期待していたスキルがない」とクレームが入った
- 勤務態度や勤怠に問題があると客先から報告があった
- 納期遅延やミスによって客先との契約継続が危ぶまれている
- 自社の評判を下げるような言動をした
自社の上司は客先との契約を維持することを最優先に考えているため、エンジニア個人の事情よりも客先の満足度を重視します。その結果、客先からの評価が悪化すると、上司から強い叱責を受けることになります。
客先の担当者から怒られるケース
客先の担当者から怒られる原因は、スキル不足や業務のミス、コミュニケーション不足などが挙げられます。SES契約では形式上は準委任契約であっても、実態として客先から直接指示を受けることが多く、客先の期待に応えられないと厳しく叱責されます。
客先から怒られる具体的な状況は以下の通りです。
- スキルシートに記載されたスキルと実際の能力にギャップがある
- 作業の品質が低く、何度もやり直しを求められる
- 報告・連絡・相談が不十分で、客先が進捗を把握できない
- 客先のルールや文化に馴染めず、マナー違反と見なされる
特に未経験者や経験が浅いエンジニアの場合、営業がスキルを盛ってしまい、実際のスキルと客先の期待にミスマッチが生じるケースがあります。このような場合、客先は「話が違う」と感じて怒りをぶつけてくることがあります。
両方から同時に怒られるケース
SESで最も辛いのが、自社の上司と客先の担当者の両方から同時に怒られるケースです。客先でミスをして叱責を受け、さらにそのクレームが自社に伝わって上司からも怒られるという板挟みの状況に陥ります。
両方から怒られる典型的な流れは以下の通りです。
| 段階 | 状況 |
|---|---|
| 1. ミス発生 | 客先での作業でミスやトラブルが発生する |
| 2. 客先から叱責 | 客先の担当者から直接怒られる |
| 3. 自社へ報告 | 客先から自社の営業にクレームが入る |
| 4. 自社から叱責 | 自社の上司から「自社の評価を下げた」と怒られる |
このような状況では、客先では「スキル不足だ」と怒られ、自社では「契約を失うかもしれない」と怒られるため、精神的に追い詰められます。さらに、客先と自社の要求が矛盾することもあり、どちらの指示に従えばよいのか分からなくなることもあります。
SESで怒られた時の対処法
SES現場で怒られた時は、感情的にならずに冷静に対処することが重要です。怒られる原因が自分にあるのか、それとも構造的な問題なのかを見極め、適切な行動を取ることによって状況を改善できます。
怒られた時の具体的な対処法として、以下の3つを紹介します。
- 自社の営業や上司に相談する
- 客先担当者との関係を改善する
- 案件変更を申し出る
それぞれの対処法には適したタイミングと注意点があるため、自分の状況に合わせて選択することが大切です。
自社の営業や上司に相談する
客先で理不尽に怒られたり、過度な叱責を受けたりした場合は、まず自社の営業担当や上司に相談しましょう。客先とエンジニアの間に立って調整するのが営業の役割であり、契約内容の確認や客先との交渉を行ってもらえます。
相談する際のポイントは以下の通りです。
- 具体的にいつ、誰から、どのような内容で怒られたかを記録しておく
- 感情的にならず、事実ベースで状況を説明する
- 自分なりに改善努力をしたことも併せて伝える
- 客先の要求が契約範囲を超えていないか確認してもらう
優良なSES企業であれば、エンジニアを守るために客先との調整や案件変更を検討してくれます。逆に、相談しても「お前が悪い」と一方的に責められるだけの場合は、その会社自体に問題がある可能性が高いです。
客先担当者との関係を改善する
自分のスキル不足やコミュニケーション不足が原因で怒られている場合は、客先担当者との関係改善に努めましょう。誠実な対応と継続的な努力を見せることによって、客先からの評価を徐々に回復できます。
関係改善のための具体的な行動として、以下が有効です。
- 報告・連絡・相談を徹底し、進捗状況をこまめに共有する
- 分からないことは早めに質問し、放置しない
- 指摘された点は素直に受け止め、同じミスを繰り返さない
- 客先のルールや文化を尊重し、柔軟に対応する
ただし、いくら努力しても改善が見られない場合や、客先の要求が明らかに過剰である場合は、無理に我慢せず案件変更を検討すべきです。メンタルヘルスを損なってまで一つの現場に留まる必要はありません。
案件変更を申し出る
客先との相性が悪く、継続的に怒られる状況が改善しない場合は、自社の営業や上司に案件変更を申し出ましょう。SESでは案件のミスマッチは珍しくなく、環境を変えることによって状況が好転するケースも多くあります。
案件変更を申し出る際の注意点は以下の通りです。
| タイミング | 内容 |
|---|---|
| 契約更新時 | 契約更新のタイミングで相談すると調整がスムーズ |
| 早めの相談 | 限界を迎える前に相談し、次の案件を探す時間を確保する |
| 具体的な理由 | 「スキルが合わない」「人間関係が辛い」など具体的に伝える |
案件変更は決して逃げではありません。自分に合った環境で働くことは、スキルアップやキャリア形成にとって重要です。ただし、案件変更を繰り返すとキャリアに傷がつく可能性もあるため、根本的な問題解決が必要な場合は転職も視野に入れましょう。
SES現場で理不尽に怒られている場合の判断基準
SES現場では、正当な指摘なのか理不尽な叱責なのかを見極めることが重要です。自分のスキル不足が原因であれば改善の余地がありますが、パワハラや契約違反に該当する理不尽な状況であれば、早急に対処する必要があります。
理不尽かどうかを判断するための基準として、以下の3つを確認しましょう。
- 正当な指摘か理不尽かを見極める
- 契約違反や違法性がないか確認する
- 自分のメンタルヘルスを最優先する
これらの基準をもとに、自分が置かれている状況を客観的に評価し、適切な行動を取ることが大切です。
正当な指摘か理不尽かを見極める
怒られた内容が正当な指摘なのか、それとも理不尽な叱責なのかを冷静に判断しましょう。正当な指摘であれば改善の機会として受け止めるべきですが、理不尽な叱責であれば自社や外部機関に相談する必要があります。
正当な指摘と理不尽な叱責を見極めるポイントは以下の通りです。
| 正当な指摘 | 理不尽な叱責 |
|---|---|
| 具体的な改善点が示される | 人格否定や罵倒が含まれる |
| 業務に関連する内容である | 業務と無関係な私生活に言及される |
| 冷静なトーンで指摘される | 感情的に怒鳴られる |
| 改善の機会が与えられる | 一方的に責められ続ける |
理不尽な叱責の例としては、「使えない」「能力がない」といった人格否定、大声で怒鳴る、他の社員の前で恥をかかせる、などが挙げられます。このような叱責はパワハラに該当する可能性が高く、我慢する必要はありません。
契約違反や違法性がないか確認する
客先からの指示や叱責が、SES契約の範囲を超えていないか確認しましょう。SESは準委任契約であり、客先が直接的な指揮命令を行うことは契約違反となります。また、パワハラに該当する行為は違法です。
契約違反や違法性が疑われる状況は以下の通りです。
これらの状況に該当する場合は、自社の営業や上司に報告し、契約内容の確認と是正を求めましょう。自社が対応してくれない場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談することも検討してください。
自分のメンタルヘルスを最優先する
どのような理由であれ、継続的に怒られる状況はメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼします。うつ病や適応障害といった精神疾患になってしまうと、回復に長い時間がかかるため、限界を感じたら早めに環境を変えることが重要です。
メンタルヘルスの危険信号として、以下のような症状があります。
- 夜眠れない、朝起きられない
- 食欲がなく、体重が減少している
- 仕事のことを考えると動悸や息苦しさを感じる
- 休日も仕事のことが頭から離れず、リフレッシュできない
これらの症状が2週間以上続く場合は、早急に医療機関を受診しましょう。また、自社の営業や上司に相談し、案件変更や休職を申し出ることも検討してください。心身の健康を損なってまで一つの現場に留まる必要はなく、環境を変えることは決して逃げではありません。