SES契約における偽装請負の判断基準や対策などを詳しく解説

SES契約における偽装請負の判断基準や対策などを詳しく解説

SES契約で働くエンジニアや、SES事業を展開する企業にとって、偽装請負と判断されるリスクは常に意識すべき重要な問題です。形式上は準委任契約であっても、実態として派遣契約と同様の指揮命令関係がある場合、労働者派遣法や職業安定法に違反する偽装請負とみなされる可能性があります。

偽装請負と判断された場合、ベンダー側は懲役や罰金などの刑事罰を受けるリスクがあり、クライアント側も行政処分や企業名公表といった社会的制裁を受けるおそれがあります。さらに、労働契約申込みみなし制度によって、想定外の雇用関係が発生するケースも存在します。

この記事では、SES契約における偽装請負の定義から、厚生労働省の37号告示に基づく具体的な判断基準、偽装請負と判断された場合のリスク、そして実務で使える防止策まで詳しく解説します。

SES契約における偽装請負とは何か

SES契約における偽装請負とは何か

SES契約を利用する企業にとって、偽装請負の概念を正確に理解することは法令遵守の第一歩です。偽装請負とは、契約書上は請負契約または準委任契約の形式を取っているにもかかわらず、実態としては労働者派遣と同様の指揮命令関係が存在する違法な状態を指します。

偽装請負の状態を放置すると、労働者派遣法や職業安定法に違反することになり、企業には重大な法的リスクが発生します。以下の3つの観点から、偽装請負について理解を深めていきましょう。

  • 偽装請負の定義
  • SES契約と派遣契約の違い
  • 偽装請負が違法とされる理由

それぞれの観点は、SES契約を適法に運用するために欠かせない知識であり、実務における判断の基礎となります。以下では、これらの内容について詳しく解説していきます。

偽装請負の定義

偽装請負とは、形式上は注文者と請負業者との間で請負契約または準委任契約が締結されているものの、実態としては発注者が受託者の雇用する労働者に対し、直接具体的な指揮命令を行って作業をさせている状態を指します。労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を当該雇用関係の下に、かつ他人の指揮命令を受けて当該他人のために労働に従事させることをいい、発注者と受託者の従業員との間に指揮命令関係が生じていることがポイントとなります。

契約の形式にかかわらず、実質が労働者派遣であるため、労働者派遣法に違反します。SES契約においても、この定義に該当する場合は偽装請負として違法と判断されることになります。

SES契約と派遣契約の違い

SES契約と派遣契約は、いずれもクライアント企業にエンジニアが常駐して業務を行うという点で類似していますが、指揮命令権の所在が根本的に異なります。この違いを正確に理解することが、偽装請負を防ぐ上で最も重要です。

契約形態 指揮命令権 契約類型 報酬の形態
SES契約 ベンダー側が保有
クライアントは直接指示できない
準委任契約
業務委託の一種
労働時間に対して報酬が発生
成果物の完成責任なし
派遣契約 クライアント側が保有
直接指示できる
労働者派遣契約
派遣事業の許可が必要
労働時間に対して報酬が発生
成果物の完成責任なし

SES契約では、エンジニアへの業務指示はベンダー側の責任者を通じて行う必要があり、クライアントが直接指示を出すことは許されません。一方、派遣契約では、クライアントが派遣労働者に対して直接業務指示を行うことができますが、その代わりに派遣事業の許可取得や派遣法に定められた厳格な要件を満たす必要があります。

偽装請負が違法とされる理由

偽装請負が違法とされる理由は、労働者派遣法の規制を不当に回避し、労働者保護をないがしろにする行為だからです。労働者派遣事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要であり、派遣先には派遣労働者に対する安全配慮義務や均等待遇の確保など、様々な責任が課されています。

偽装請負の状態では、以下のような問題が発生します。

  • 労働者の雇用責任が曖昧になり、誰が労働条件を保証するのか不明確
  • 派遣法で保護されるべき労働者の権利が守られない
  • 中間搾取や過剰労働のリスクが高まる
  • 労働災害やハラスメントが発生した際の責任の所在が不明確

労働者派遣法は、労働者を保護するために厳格な要件を定めており、これらの規制を回避する目的で偽装請負を行うことは、労働者の権利を侵害する悪質な行為として厳しく禁止されています。企業は、法令遵守の観点から偽装請負に該当しない契約形態と運用を確保する必要があります。

SES契約で偽装請負と判断される基準

SES契約で偽装請負と判断される基準

SES契約が偽装請負に該当するかどうかは、契約書の記載内容ではなく、実際の業務実態に基づいて判断されます。厚生労働省が公表している「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号、通称「37号告示」)が、この判断の中心的な基準となります。

37号告示では、適法な請負と認められるために満たすべき要件が明確に示されており、これらの要件を一つでも満たさない場合は偽装請負と判断されるリスクが高まります。以下3つの観点から、判断基準について理解していきましょう。

  • 厚生労働省の37号告示による2つの条件
  • 労働力を自ら直接利用すること
  • 独立して業務を処理すること

これらの基準を正確に理解し、自社のSES契約が全ての要件を満たしているかを確認することが、偽装請負を防ぐ上で不可欠です。以下では、各基準の具体的な内容について解説していきます。

厚生労働省の37号告示による2つの条件

37号告示では、請負により行われる事業として認められるために、以下の2つの条件を満たす必要があるとしています。いずれか一方でも満たさない場合は、偽装請負と判断される可能性が高くなります。

条件 内容
条件1 自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること
業務遂行や労働時間、職場管理に関する指示を自ら行う必要がある
条件2 請負契約により請け負った業務を自己の業務として
当該契約の相手方から独立して処理するものであること
資金調達や法的責任、専門技術の提供を自ら行う必要がある

この2つの条件は、請負業者が発注者から独立した事業主として業務を遂行していることを確認するためのものです。条件1は労働者に対する指揮命令権がベンダー側にあることを、条件2は業務処理の独立性があることを、それぞれ要求しています。

労働力を自ら直接利用すること

条件1の「労働力を自ら直接利用すること」とは、ベンダー側が自社の労働者に対して直接指揮命令を行い、業務遂行や労務管理を自社の責任で実施することを意味します。37号告示では、この条件を満たすために以下の3つの要素が求められています。

  • 業務遂行に関する指示を自ら行うこと(業務の遂行方法、評価など)
  • 労働時間に関する指示を自ら行うこと(始業・終業時刻、休憩、残業など)
  • 企業における秩序維持のための指示を自ら行うこと(服務規律、配置決定など)

これらの要素のうち、一つでもクライアント側が直接実施している場合は、条件1を満たさないと判断される可能性があります。例えば、クライアントがSESエンジニアに対して直接作業手順を指示したり、勤務時間を管理したりすることは、この条件に違反する典型的なケースです。

独立して業務を処理すること

条件2の「独立して業務を処理すること」とは、ベンダー側が発注者から独立した事業主として、自らの責任と費用負担で業務を遂行することを意味します。37号告示では、この条件を満たすために以下の3つの要素が求められています。

要素 具体的な内容
資金の調達と支弁 業務処理に要する資金を全て自らの責任で調達し支弁すること
発注者から資金提供を受けている場合は独立性が認められない
法的責任の負担 業務処理について民法や商法などに規定された
事業主としての全ての責任を負うこと
専門性の提供 自己の責任で準備した機材や専門技術に基づいて業務を処理し
単なる肉体的な労働力の提供ではないこと

特に重要なのは、業務に使用する機材や設備をベンダー側が用意することです。クライアントからパソコンや開発環境などを提供されている場合、独立性が認められず偽装請負と判断される可能性が高まります。ただし、やむを得ずクライアントの設備を使用する場合は、賃貸借契約を別途締結し、賃料を支払うことで独立性を保つ方法もあります。

SES契約で偽装請負と判断される具体的な状況

SES契約で偽装請負と判断される具体的な状況

偽装請負に該当するかどうかは、37号告示の抽象的な基準だけでは判断が難しいため、実際の業務現場でどのような状況が偽装請負と判断されるのか、具体的な事例を理解することが重要です。厚生労働省が公表している疑義応答集や実務上のガイドラインでは、偽装請負と判断されやすい具体的な状況が示されています。

以下3つの観点から、偽装請負と判断される具体的な状況について解説します。これらの状況に該当する場合、速やかに是正措置を講じる必要があります。

  • 指揮命令系統の確認
  • 労務管理の主体
  • 機材や設備の提供元

これらは偽装請負の判断において最も注目される要素であり、実務上のチェックポイントとして活用できます。

指揮命令系統の確認

指揮命令系統は、偽装請負の判断において最も重要な要素です。SES契約では、エンジニアへの業務指示は必ずベンダー側の責任者を通じて行う必要があり、クライアントが直接指示を出すことは認められません。

以下のような状況は、クライアントからの直接指揮命令があると判断され、偽装請負に該当する可能性が高くなります。

  • クライアントがSESエンジニアに対して作業手順や方法を直接指示している
  • クライアントがSESエンジニアの作業工程やタスクの割り振りを決定している
  • クライアントがSESエンジニアに対して技術指導や教育を直接実施している
  • クライアントがSESエンジニアの能力評価や業務評価を行っている
  • クライアントがSESエンジニアの配置や交代を決定している

ただし、厚生労働省の見解によれば、ベンダーがクライアントの新設備を借り受けて使用する際に、設備の操作方法について説明を受けることは、ベンダーの監督下で行われる限り偽装請負には該当しないとされています。また、システム開発においてクライアントの担当者と協議しながらプロジェクトを進める場合でも、ベンダー側が独立して業務を遂行している実態があれば適法と評価される余地があります。

労務管理の主体

労務管理の主体がクライアント側にある場合、偽装請負と判断される重要な要素となります。労働時間や勤怠管理は本来、雇用主であるベンダー側が行うべきものであり、クライアントが関与することは指揮命令関係の存在を示唆します。

労務管理の内容 偽装請負と判断されるケース
勤務時間の管理 クライアントがSESエンジニアの始業・終業時刻を決定している
クライアントがタイムカードや勤怠システムで出退勤を管理している
残業や休日出勤 クライアントがSESエンジニアに対して残業や休日出勤を直接指示している
クライアントが残業時間を承認・管理している
休憩や休暇 クライアントがSESエンジニアの休憩時間や休暇取得を管理している
クライアントの就業規則がSESエンジニアに適用されている

適法なSES契約では、これらの労務管理は全てベンダー側が責任を持って実施する必要があります。クライアント側は、SESエンジニアの勤務状況を把握する程度に留め、直接的な管理を行わないよう注意が必要です。

機材や設備の提供元

業務に使用する機材や設備の提供元も、偽装請負の判断において重要な要素です。37号告示では、請負業者が自己の責任と負担で機材を準備することが求められており、発注者から機材を提供されている場合は独立性が認められません。

以下のような状況は、偽装請負と判断されるリスクが高まります。

  • クライアントがSESエンジニアに対してパソコンやディスプレイを提供している
  • クライアントの開発環境やツールをSESエンジニアが使用している
  • クライアントの社内メールアドレスをSESエンジニアに付与している
  • クライアントが業務に必要な資材や消耗品を提供している
  • クライアントの社内システムやネットワークをSESエンジニアが使用している

ただし、クライアントの設備を使用すること自体が直ちに違法となるわけではありません。やむを得ずクライアントの設備を使用する場合は、SES契約とは別に賃貸借契約を締結し、適切な賃料を支払うことで独立性を保つことが可能です。また、SES契約書の中に「作業場所の利用を認める」旨や費用負担の所在を明記することも有効な対策となります。

SES契約で偽装請負と判断された場合のリスク

SES契約で偽装請負と判断された場合のリスク

偽装請負と判断された場合、ベンダー側とクライアント側の双方に重大な法的リスクが発生します。労働者派遣法や職業安定法に基づく刑事罰や行政処分だけでなく、企業の信用失墜や想定外の雇用関係の発生など、事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

偽装請負のリスクは、以下の3つの観点から理解する必要があります。それぞれのリスクは独立して発生するため、総合的なリスク管理が求められます。

  • ベンダー側のリスクと罰則
  • クライアント側のリスクと罰則
  • みなし雇用の成立リスク

これらのリスクを正確に理解することで、偽装請負を防ぐことの重要性を認識し、適切な対策を講じることができます。以下では、各リスクについて詳しく解説していきます。

ベンダー側のリスクと罰則

ベンダー側が偽装請負を行った場合、派遣事業の許可を得ずに労働者派遣事業を行ったとして、労働者派遣法違反の責任を負います。また、違法な労働者供給事業を行ったとして、職業安定法違反の責任も問われる可能性があります。

法律 罰則内容 行政処分
労働者派遣法違反 1年以下の懲役または
100万円以下の罰金
(労働者派遣法59条2号)
厚生労働大臣による指導・助言
改善措置命令
是正措置勧告(従わない場合は企業名公表)
職業安定法違反 1年以下の懲役または
100万円以下の罰金
(職業安定法64条9号)
事業停止命令
事業廃止命令

派遣事業の許可を得ていた場合でも、派遣契約を締結せずに偽装請負を行っていたことは、派遣元事業主に求められる義務を履行していないことになります。この場合も、厚生労働大臣の指導や改善命令の対象となり、是正措置勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性があります。企業名公表は社会的信用の失墜につながり、既存顧客の離反や新規契約の獲得困難など、事業運営に深刻な影響を及ぼします。

クライアント側のリスクと罰則

クライアント側も、偽装請負に関与した場合は法的責任を免れません。特に、ベンダーが派遣事業の許可を得ていない場合、労働者派遣事業主以外から派遣労働者を受け入れたことになり、労働者派遣法24条の2に違反します。

クライアント側が負うリスクは以下のとおりです。

  • 厚生労働大臣による指導・助言の対象となる
  • 改善措置命令や是正措置勧告を受ける可能性がある
  • 是正措置勧告に従わない場合は企業名が公表される
  • プロジェクトの中止や遅延により投資資本を回収できないリスク
  • 逸失利益(違反しなければ本来受け取れていた利益)の損失

ベンダーが派遣事業の許可を得ていた場合でも、クライアント側は派遣先事業主として労働者派遣法上求められている義務を履行していないため、行政監督の対象となります。企業名公表による信用力の低下は、取引先との関係悪化や株価への影響など、経営に重大な打撃を与える可能性があります。

みなし雇用の成立リスク

偽装請負において特に注意すべきなのが、労働契約申込みみなし制度によるリスクです。労働者派遣法40条の6第1項5号では、労働者派遣法の義務を免れることを目的として偽装請負による労働者派遣を受け入れた場合、当該偽装請負が開始した時点で、クライアント企業がSESエンジニアに対し、ベンダーにおける労働条件と同一の労働条件で直接雇用の申込みをしたものとみなされると規定しています。

項目 内容
みなし申込の要件 労働者派遣法の義務を免れることを目的として
偽装請負による労働者派遣を受け入れた場合
みなし申込の時点 偽装請負が開始した時点で申込みがあったとみなされる
労働契約の成立 SESエンジニアが申込を承諾する意思表示をした場合
クライアント企業とSESエンジニアの間で労働契約が成立
労働条件 ベンダーにおける労働条件と同一の条件で雇用する必要がある

近年、この制度に基づくみなし申込の効力が争われる裁判例が増加しており、生産管理システムのカスタマイズ業務に従事したシステムエンジニアについて争われた事例や、実際にみなし申込みの効力発生を認めた事例も存在します。みなし申込が成立すると、クライアント企業は想定外の雇用義務を負うことになり、賃金支払いや社会保険加入、解雇時の補償など、正社員と同様の責任を負うことになります。

SES契約で偽装請負にならないための対策

SES契約で偽装請負にならないための対策

偽装請負のリスクを回避するためには、契約締結時の適切な準備と、契約履行中の継続的な管理が不可欠です。形式的に契約書を整えるだけでは不十分であり、実際の業務運用においても偽装請負と判断されない体制を維持する必要があります。

偽装請負を防ぐための対策として、以下3つを把握しておきましょう。これらの対策を全て実施することで、適法なSES契約の運用が可能になります。

  • 契約書の適切な作成
  • 指揮命令系統の徹底
  • 定期的なチェックの実施

これらの対策は、ベンダー側とクライアント側の双方が協力して実施する必要があり、一方だけの努力では十分な効果が得られません。以下では、各対策について詳しく解説していきます。

契約書の適切な作成

偽装請負を防ぐ第一歩は、SES契約の性質を正確に反映した契約書を作成することです。契約書には、SES契約が準委任契約であること、指揮命令権がベンダー側にあること、業務処理の独立性があることを明確に記載する必要があります。

契約書に盛り込むべき重要な条項は以下のとおりです。

  • 業務内容を明確に定める(仕様書を添付する)
  • エンジニアへの指揮命令権がベンダー側にあることを明記する
  • クライアントに指揮命令権がないことを明記する
  • 労働時間や勤怠管理をベンダー側が行うことを規定する
  • 業務に使用する機材や設備の負担者を明記する
  • クライアントの設備を使用する場合は賃貸借契約を別途締結する旨を記載する
  • ベンダー側が業務処理について全ての責任を負うことを明記する
  • 報酬が労働時間に対して発生することを明記する(成果物の完成責任がないこと)

ただし、契約書の記載が適切であっても、実際の業務運用が契約内容と乖離している場合は偽装請負と判断されるため、契約書と実態を一致させることが極めて重要です。契約書の作成にあたっては、弁護士などの専門家に相談し、法的に問題のない内容とすることを推奨します。

指揮命令系統の徹底

適法なSES契約を維持するためには、指揮命令系統を明確にし、クライアントからSESエンジニアへの直接指示を徹底的に排除する必要があります。これは、偽装請負を防ぐ上で最も重要かつ実務上最も注意を要するポイントです。

対策項目 具体的な実施方法
責任者の配置 ベンダー側の業務責任者をクライアント先に配置し
全ての業務指示は責任者を通じて行う体制を構築する
指示経路の明確化 業務指示の経路を明示した体制図を作成し
ベンダーとクライアントの双方で共有する
座席配置の工夫 クライアントの正社員とSESエンジニアで座席の島を分け
物理的にも指揮命令関係がないことを明確にする
連絡方法のルール化 クライアントとSESエンジニアがメールでやり取りする際は
必ずベンダー側の責任者をCCに入れる
面談の位置づけ 事前面談を「顔合わせ」と位置づけ
スキルチェックではないことを明確にする

現場に常駐しているSESエンジニアは、クライアントから直接指示を受けた場合、速やかにベンダー側の責任者に報告し、ベンダー側からクライアントに改善要請を出すよう依頼する必要があります。また、業務量が増減する場合も、事前にベンダー側に相談し、ベンダー側とクライアント側で協議する体制を整えることが重要です。

定期的なチェックの実施

契約締結時に適切な体制を整えても、時間の経過とともに業務運用が実態として偽装請負に近づいてしまうケースが少なくありません。偽装請負を継続的に防止するためには、定期的なチェックと是正措置が不可欠です。

定期的なチェックとして実施すべき項目は以下のとおりです。

  • 契約内容と実際の業務実態が一致しているかを定期的に確認する
  • SESエンジニアと現場責任者からヒアリングを実施する
  • クライアント側の担当者に対して指揮命令系統のルールを再確認する
  • 労務管理の主体がベンダー側にあることを確認する
  • 機材や設備の提供状況を確認する
  • 社内教育を実施し、SES契約と派遣契約の違いを周知徹底する
  • 問題が発見された場合は速やかに是正措置を講じる

ベンダー側とクライアント側の双方で、SES契約や偽装請負についての社内教育カリキュラムを用意することも有効な対策です。契約内容や業務の進め方を双方で定期的に確認し、SESの指示経路を明確にした体制図や、スケジュール作成手順・業務指示手順などのルールを策定しておくことで、偽装請負のリスクを最小化できます。問題が発見された場合は、放置せずに速やかに改善措置を講じることが、法的リスクを回避する上で極めて重要です。

フリーワードでSES求人・案件を検索する

SESの求人・案件をカテゴリから探す

職種
スキル
勤務形態
エリア