SESエンジニアとして常駐先で働いていると、クライアント企業や上位企業から引き抜きの話を持ちかけられることがあります。引き抜きを受けた場合、最も気になるのは給料がどれくらい上がるのかという点でしょう。
SES契約では企業のマージンが差し引かれるため、直接雇用になることで給料が大幅にアップする可能性があります。しかし、具体的にどの程度の昇給が見込めるのか、給料以外にどのような条件が提示されるのかを正確に把握している方は少ないです。
この記事では、SESの引き抜きで給料がどれくらい上がるのか、給料以外に提示される条件、そして引き抜き時に給料面で確認すべきポイントについて詳しく解説していきます。
SESの引き抜きで給料はどれくらい上がるのか
SESエンジニアが引き抜きを受けた際、最も注目すべきは給料の変動幅です。引き抜きによる昇給は、一般的な転職よりも大きな金額になることが多く、エンジニアにとって大きなメリットとなります。
引き抜き時の昇給率や金額は、エンジニアの経験年数やスキル、常駐先企業の規模によって異なりますが、一定の相場が存在します。このセクションでは、SESの引き抜きで期待できる具体的な昇給幅について、3つのパターンを紹介します。
- 一般的に10%から30%の昇給が見込める
- 月10万円以上の昇給が提示されるケースもある
- SES企業のマージンがなくなることで給料が上がる
それぞれの昇給パターンは、引き抜き元の企業規模や商流の位置、エンジニア自身のスキルレベルによって変動します。引き抜きを受ける際は、これらの要素を考慮しながら、提示される条件を慎重に検討することが重要です。
それでは各項目について、詳しく解説していきます。
一般的に10%から30%の昇給が見込める
SESエンジニアが引き抜きを受けた場合、現在の年収に対して10%から30%の昇給が提示されることが一般的です。この昇給率は、通常の転職活動で得られる昇給率と比較しても高い水準となっています。
昇給率の幅が大きい理由は、エンジニアのスキルレベルや経験年数、引き抜き元企業の業種や規模によって変動するためです。以下の表は、現在の年収別に10%から30%昇給した場合の具体的な金額例をまとめたものです。
| 現在の年収 | 10%昇給後 | 30%昇給後 |
|---|---|---|
| 400万円 | 440万円 | 520万円 |
| 500万円 | 550万円 | 650万円 |
| 600万円 | 660万円 | 780万円 |
引き抜きによる昇給率は、エンジニアが持つスキルセットが引き抜き元企業にとってどれだけ価値があるかによって決まります。特定の技術領域に精通している場合や、プロジェクトマネジメント経験がある場合は、30%近い昇給が提示されることもあるでしょう。
月10万円以上の昇給が提示されるケースもある
引き抜きの条件として、月額10万円以上の昇給が提示されるケースも珍しくありません。年収ベースでは120万円以上のアップとなり、エンジニアのキャリアにおいて大きな転換点となります。
月10万円以上の昇給が提示される背景には、以下の要因があります。
- 上位企業やエンド企業からの引き抜きで商流が改善される
- 即戦力として高い評価を受けている
- 採用コストを削減できる分を給料に還元している
- プロジェクトの継続に不可欠な人材と判断されている
特に、SES企業が3次請け以下の商流に位置している場合、上位企業に引き抜かれることで中間マージンが大幅に削減されます。その結果、月10万円以上の昇給が実現しやすくなるでしょう。
SES企業のマージンがなくなることで給料が上がる
SES契約では、クライアント企業がSES企業に支払う単価とエンジニア本人が受け取る給料の間に、SES企業のマージンが発生します。このマージン率は企業によって異なりますが、一般的に20%から50%程度が相場とされています。
引き抜きによって直接雇用になると、このマージンがなくなるため給料が上がる仕組みです。以下の表は、単価とマージン率による給料の違いをまとめたものです。
| 単価 | マージン率 | SES時の月給 | 直接雇用後の月給 |
|---|---|---|---|
| 60万円 | 30% | 42万円 | 50万円から55万円 |
| 80万円 | 40% | 48万円 | 65万円から70万円 |
| 100万円 | 50% | 50万円 | 80万円から85万円 |
引き抜き元企業は、通常の採用活動にかかるコストや教育コストを削減できるため、マージン分の一部を給料として還元することが可能です。ただし、マージン分がそのまま全額給料に上乗せされるわけではなく、企業側も一定の利益を確保するため、実際の昇給額はケースバイケースとなります。
SESの引き抜きで給料以外に提示される条件
SESの引き抜きでは、給料のアップだけでなく、働き方や業務内容に関する魅力的な条件が提示されることがあります。これらの条件は、エンジニアのキャリアやワークライフバランスに大きな影響を与えるため、給料と同じくらい重要な判断材料となるでしょう。
引き抜き元企業は、優秀な人材を確保するために給料以外の面でも魅力的な条件を用意します。このセクションでは、SESの引き抜きで給料以外に提示される代表的な条件を3つ紹介します。
- 魅力的な案件へのアサイン
- リモートワークなど柔軟な働き方
- ボーナスやインセンティブの増加
それぞれの条件は、エンジニアのキャリア志向やライフスタイルによって価値が異なります。給料だけでなく、これらの条件も含めて総合的に判断することで、より満足度の高い転職が実現できるでしょう。
それでは各項目について、詳しく解説していきます。
魅力的な案件へのアサイン
引き抜き時の条件として、希望する技術領域やプロジェクトへのアサインが約束されることがあります。SESでは常駐先の都合でアサインされる案件が決まることが多いですが、直接雇用になることで自分のキャリアプランに沿った案件に参画できる可能性が高まります。
魅力的な案件へのアサインには、以下のようなパターンがあります。
- 最新技術を活用したプロジェクトへの参画
- 上流工程からの設計や要件定義への関与
- 新規サービスの立ち上げメンバーとしての参加
- 社内の中核システム開発への配属
特に、SESでは運用保守やテスト工程などの下流工程に配属されることが多いエンジニアにとって、開発や設計などの上流工程に携われるチャンスは大きな魅力となります。引き抜き時には、具体的にどのようなプロジェクトに参画できるのかを確認しましょう。
リモートワークなど柔軟な働き方
引き抜き条件として、リモートワークやフレックスタイム制度などの柔軟な働き方が提示されることもあります。SES契約では常駐先のルールに従う必要があるため、働き方の選択肢が限られることが多いですが、直接雇用になることで自由度が高まる可能性があります。
柔軟な働き方の具体例は、以下の通りです。
- 週2から3日のリモートワーク勤務
- フレックスタイム制度による出退勤時間の調整
- 完全リモートワークでの勤務
- コアタイムなしの自由な勤務時間設定
特に、地方在住のエンジニアにとって完全リモートワークは大きなメリットとなります。通勤時間がなくなることで、スキルアップの時間やプライベートの時間を確保しやすくなり、生活の質が向上するでしょう。
ボーナスやインセンティブの増加
引き抜きによって直接雇用になることで、ボーナスやインセンティブの支給条件が改善されることがあります。SES企業では業績に関わらず固定給のみのケースも多いですが、引き抜き先では評価制度に基づいた報酬体系が整備されていることが一般的です。
ボーナスやインセンティブに関する条件の例は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 賞与 | 年2回から3回の支給で基本給の2ヶ月分から6ヶ月分 |
| 業績賞与 | 会社業績に応じた追加支給 |
| プロジェクト報奨金 | プロジェクト成功時の特別報酬 |
| 評価インセンティブ | 個人評価に基づく報奨金 |
ボーナスやインセンティブの支給条件は企業によって大きく異なるため、引き抜き時には具体的な支給基準や過去の支給実績を確認することが重要です。年収ベースで考えると、ボーナスの有無は大きな差を生み出します。
SESの引き抜き時に給料面で確認すべきポイント
引き抜きの話を受けた際、提示された給料の額面だけで判断するのは危険です。給料の内訳や支給条件、将来的な昇給の仕組みなど、細かい部分まで確認することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
給料に関する確認不足は、入社後に予想外の待遇に気づき、後悔する原因となります。引き抜きという特殊な採用ルートだからこそ、通常の転職以上に慎重な確認が必要でしょう。このセクションでは、SESの引き抜き時に給料面で必ず確認すべき3つのポイントを紹介します。
- 基本給と手当の内訳
- 賞与の支給基準と回数
- 昇給制度と評価基準
それぞれのポイントを確認することで、提示された給料の実態を正確に把握できます。口頭での説明だけでなく、雇用契約書や就業規則などの書面でも確認することが、トラブルを避けるために重要です。
それでは各項目について、詳しく解説していきます。
基本給と手当の内訳
引き抜き時に提示される給料は、基本給と各種手当を合計した総支給額であることが一般的です。しかし、手当の割合が高い場合、賞与の計算基準となる基本給が低く抑えられている可能性があるため、内訳の確認が不可欠となります。
確認すべき給料の内訳は、以下の通りです。
- 基本給の金額
- 固定残業代の有無と時間数
- 住宅手当や通勤手当などの各種手当
- 資格手当や役職手当の支給条件
特に固定残業代が含まれている場合は、何時間分の残業が想定されているのかを必ず確認しましょう。固定残業代が月40時間分含まれている場合、実質的な時給は大幅に下がることになります。
賞与の支給基準と回数
賞与の支給条件は企業によって大きく異なるため、引き抜き時には具体的な支給基準を確認する必要があります。賞与が年収の大きな割合を占める場合、支給条件によって実際の年収が大きく変動するためです。
賞与について確認すべき項目は、以下の通りです。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 支給回数 | 年何回支給されるか |
| 支給月 | 何月に支給されるか |
| 計算基準 | 基本給の何ヶ月分か |
| 業績連動の有無 | 会社業績によって変動するか |
| 在籍期間の影響 | 入社初年度の支給額はどうなるか |
特に注意すべきは、賞与が業績連動型の場合です。会社の業績が悪化すると賞与が大幅に減額されたり、支給されなかったりするリスクがあります。過去数年の支給実績を確認することで、実際の支給額をより正確に予測できるでしょう。
昇給制度と評価基準
引き抜き直後の給料だけでなく、将来的な昇給の仕組みを理解することも重要です。昇給制度が整備されていない企業では、入社後に給料が思うように上がらず、キャリアアップが停滞するリスクがあります。
昇給制度について確認すべきポイントは、以下の通りです。
- 定期昇給の有無と昇給時期
- 評価基準の明確さ
- 過去の平均昇給率
- 役職昇進による昇給幅
- 評価制度の透明性
特に、評価基準が曖昧な企業では、頑張って成果を出しても適切に評価されないことがあります。評価制度や昇給ルールが明文化されているか、実際の評価プロセスはどのように行われるのかを確認しましょう。