SESの単価交渉で使える例文や伝えるタイミングを解説

SESの単価交渉で使える例文や伝えるタイミングを解説

SES契約で働くエンジニアにとって、単価交渉は収入を増やすための重要な手段です。スキルアップや実績を積んでも、自分から交渉しなければ単価が上がることはほとんどありません。しかし、単価交渉の経験が少ない方は、どのような言葉で伝えればよいのか、どのタイミングで切り出せばよいのか悩むことが多いでしょう。

適切な例文を使い、タイミングを見極めて交渉することで、クライアントや自社営業との関係を損なうことなく単価アップを実現できます。この記事では、SESの単価交渉で実際に使える例文や、交渉に適したタイミング、準備すべきこと、避けるべきNG行動について具体的に解説します。

SESの単価交渉で使える例文

SESの単価交渉で使える例文

SESの単価交渉を行う際は、メールで丁寧に伝えることで、相手に検討する時間を与え、交渉がスムーズに進みやすくなります。ここでは、様々なシチュエーションで実際に使える単価交渉の例文を4つ紹介します。

  • スキルアップを理由にした例文
  • 実績・成果を理由にした例文
  • 業務範囲拡大を理由にした例文
  • 市場相場を理由にした例文

それぞれの例文は、自分の状況に合わせて修正すれば、汎用的に活用できます。いずれの例文も、感謝の気持ちと今後の貢献意欲を伝えながら、具体的な根拠を示す構成になっているので、ぜひ参考にしてください。

それでは各項目について、詳しく解説していきます。

スキルアップを理由にした例文

新しい技術を習得したり、資格を取得したりした場合は、そのスキルアップを根拠に単価交渉を行うことができます。この例文では、取得した資格や習得した技術を明確に示し、それによってクライアントにどのようなメリットがあるかを伝えます。

以下は、スキルアップを理由にした単価交渉の例文です。

いつもお世話になっております。〇〇〇〇です。

本日は、ご契約条件についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。

これまで貴社のプロジェクトに参画させていただく中で、私自身のスキル向上に努めてまいりました。特に最近半年間で、〇〇技術と△△フレームワークについて集中的に学習し、実践的なスキルを身につけることができました。

また、先月〇〇の資格を取得いたしました。この資格により、これまで以上に高品質な成果物を提供できるようになったと自負しております。

つきましては、これらのスキル向上を踏まえ、現在の単価〇〇円から△△円への見直しをご検討いただけますでしょうか。

引き続き、貴社のプロジェクト成功に向けて全力で取り組む所存です。ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。

この例文のポイントは、具体的に何を学習したか、どのような資格を取得したかを明示している点です。ただし、資格取得だけでは単価アップに直結しにくいため、実務での活用実績やプロジェクトへの貢献も合わせて示すとより効果的です。

実績・成果を理由にした例文

プロジェクトで具体的な成果を出した後は、その実績を根拠に単価交渉を行う絶好のタイミングです。この例文では、数字で示せる成果を提示し、クライアントへの貢献度を明確に伝えます。

以下は、実績・成果を理由にした単価交渉の例文です。

いつもお世話になっております。〇〇〇〇です。

本日は、ご契約条件についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。

貴社のプロジェクトに参画させていただき、早くも1年が経過いたしました。この間、〇〇システムの設計から実装、保守運用まで一貫して担当させていただきました。

特に、3ヶ月前に実施した〇〇システムのリファクタリングでは、処理速度が40%向上し、ユーザーからの評価も上がったと伺っております。また、先日完了した△△機能の追加では、予定より1週間早く納品することができました。

これらの実績を踏まえ、次回の契約更新時に現在の単価〇〇円から△△円への改定をご検討いただけないでしょうか。

引き続き貴社のプロジェクト成功に全力を尽くす所存ですので、何卒ご検討のほどよろしくお願いいたします。

この例文のポイントは、処理速度の向上や納期の短縮など、具体的な数字で成果を示している点です。クライアントにとってのメリットを明確に伝えることで、単価アップの説得力が高まります。

業務範囲拡大を理由にした例文

当初の契約内容よりも業務範囲が広がった場合は、それに見合った単価アップを交渉する正当な理由になります。この例文では、追加された業務内容を具体的にリストアップし、負担増加を明確に示します。

以下は、業務範囲拡大を理由にした単価交渉の例文です。

いつもお世話になっております。〇〇〇〇です。

本日は、ご契約内容についてご相談したく、ご連絡いたしました。

当初、〇〇システムの開発業務を中心にご依頼いただいておりましたが、最近では以下のような業務も担当させていただいております。

・要件定義への参加と技術的観点からの提案
・プロジェクトマネジメント補助(進捗管理、リスク管理)
・新メンバーへの技術指導

これらの追加業務により、当初の契約時よりも週あたり約10時間程度の業務増となっており、また求められるスキルも広がっております。

つきましては、業務範囲の拡大に伴い、現在の単価〇〇円から△△円への改定をご検討いただけないでしょうか。

引き続き、貴社のプロジェクト成功に向けて尽力いたしますので、ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

この例文のポイントは、追加業務を箇条書きで明確に示し、週あたりの作業時間の増加量を具体的に記載している点です。業務範囲の拡大は誰の目にも明らかなため、クライアントも納得しやすい交渉理由になります。

市場相場を理由にした例文

現在の単価が市場相場よりも低い場合や、他社から高い単価のオファーを受けた場合は、市場相場を根拠に交渉することができます。この例文では、他社の提示額を参考情報として伝えつつ、現在のクライアントとの関係を優先したい姿勢を示します。

以下は、市場相場を理由にした単価交渉の例文です。

いつもお世話になっております。〇〇〇〇です。

本日は、ご契約条件についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。

先日、他のクライアント様から同様の業務に対し、月額〇〇万円のご提示をいただいております。私としては引き続き貴社のプロジェクトに携わりたいと考えておりますが、フリーランスとして収入面も考慮する必要があり、悩んでおります。

貴社のプロジェクトやチームメンバーとの関係を大切にしたいと考えておりますので、可能であれば現在の契約条件の見直しをご検討いただけないでしょうか。具体的には、現在の月額単価△△円から□□円への改定をいただけると幸いです。

貴社のプロジェクトは私にとって大変重要であり、できれば継続して携わりたいと考えておりますので、ぜひご検討いただければ幸いです。

お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。

この例文のポイントは、他社の条件を提示しながらも、あくまで現在のクライアントとの関係を優先したい意思を明確に示している点です。対立的な姿勢ではなく、信頼関係を前提とした交渉を意識することで、単価交渉の成功率を高めることができます。

SESの単価交渉に適したタイミング

SESの単価交渉に適したタイミング

SESの単価交渉を成功させるには、適切なタイミングで交渉を持ちかけることが重要です。タイミングを間違えると、クライアントに不信感を与えたり、交渉が難航したりする可能性があります。ここでは、単価交渉に適した4つのタイミングを解説します。

タイミングとして、以下4つが挙げられます。

  • 契約更新時
  • 新規プロジェクト参画時
  • 予算取り時期
  • 役割変更時

これらのタイミングでは、クライアント側も契約条件を見直す機会として認識しているため、単価交渉を持ちかけやすくなります。それぞれのタイミングで交渉を行う際のポイントを確認しましょう。

契約更新時

契約更新時は、単価交渉に最も適したタイミングです。新しい契約を結ぶ際は、双方が条件を見直す自然な機会として認識されているため、交渉を持ちかけても不自然ではありません。

契約更新時に単価交渉を行う際の注意点として、以下の3つがあります。

  • 更新の2〜3週間前に交渉を持ちかける
  • 前回契約時からの成長や実績を整理しておく
  • クライアントが更新を希望していることを確認してから交渉する

契約更新のタイミングは、クライアントにとっても依頼条件を見直す機会です。そのため、実績や市場相場など客観的な根拠をもとに、冷静かつ戦略的に交渉することで、単価アップの可能性が高まります。

新規プロジェクト参画時

新規プロジェクトへの参画を打診された時は、最初から適正な単価を設定する絶好の機会です。稼働してから単価交渉するよりも、初期段階での交渉の方が成功率は高くなります。

新規プロジェクト参画時に単価交渉を行う際の注意点として、以下の3つがあります。

  • プロジェクトの詳細を十分に把握してから単価を提示する
  • 市場相場や自分のスキルを考慮した適正単価を提示する
  • 長期的な関係構築を前提とした柔軟な姿勢を示す

新規案件では、初めの単価設定が今後の取引の基準となります。最初の単価設定が何より重要で、後から単価を上げるのは想像以上に難しいため、最初から適正な単価でしっかり交渉することが大切です。

予算取り時期

企業の予算取りのタイミングに合わせて単価交渉を行うと、比較的スムーズに話が進みやすくなります。企業は会計年度の途中で、来年度の事業計画を練り始め、来年度に使う予定の各種経費の見込みも立てます。

予算取り時期に単価交渉を行う際の注意点として、以下の3つがあります。

  • クライアント企業の会計年度を把握しておく
  • 大企業の場合は期の始まりの半年前、中小企業の場合は3〜6ヶ月前を目安にする
  • 予算確定後の交渉は難航するため早めに動く

予算取りのタイミングにあわせて単価アップ交渉をしておけば、来年度の事業計画に単価アップを盛り込んでもらえる可能性が高まります。一旦年度予算が固まってしまうと途中で増額するのは難しいため、その前に交渉の場を持つことが理想的です。

役割変更時

プロジェクト内での役割が変わったり、より高いレベルの役割を担うようになったりした時は、単価交渉のチャンスです。役割の変化は、求められるスキルや責任の範囲が拡大したことを意味します。

役割変更時に単価交渉を行う際の注意点として、以下の3つがあります。

  • 当初の契約内容と現在の役割を比較して変化を明確にする
  • 新しい役割で求められるスキルや責任の重さを説明する
  • 役割変更がクライアントからの評価の表れであることを認識する

リーダーやサブリーダーを任されたり、マネジメント業務を担当したりするようになった場合は、今後は是非もっと高いレベルの役割を担って欲しいとクライアントから要求を受けることもあるでしょう。その際は単価交渉のチャンスで、今より高いレベルの役割を担いたいので、是非その分単価を上げてほしいと交渉してください。

SESの単価交渉で準備すべきこと

SESの単価交渉で準備すべきこと

SESの単価交渉を成功させるには、周到な準備が欠かせません。準備なしにいきなり単価交渉を持ちかけると、クライアントや自社営業に不信感を与え、交渉が難航する可能性があります。

準備内容として、以下4つが挙げられます。

  • 実績の整理
  • 市場相場の調査
  • 希望単価の設定
  • 交渉材料の用意

これらの準備を整えることで、相手に納得してもらえる土台ができ、単価アップの可能性が高まります。それぞれの準備内容について詳しく見ていきましょう。

実績の整理

単価交渉で最も重要な材料は、自分が提供した価値を示す具体的な実績です。前回の契約時と比べて、どのような成果を出したのか、どのようにスキルアップしたのかを整理しておく必要があります。

実績を整理する際のポイントとして、以下の3つがあります。

  • 数字で示せる成果を優先的にまとめる(処理速度○%向上、納期○日短縮など)
  • クライアントにとってのメリットを明確にする
  • 担当業務の範囲や責任の変化を記録しておく

実績を整理する際は、できる限り定量的なデータや具体例で示せるよう準備します。単なる主観的な評価ではなく、客観的な数字や事実で示すほど、交渉の説得力が高まります。

市場相場の調査

適切に交渉するには、自分のスキルや案件に見合った単価相場を把握しておくことが重要です。相場を知らずに闇雲に高額を要求してしまうと、企業側の予算感とかけ離れて交渉が難航します。

市場相場を調査する方法として、以下の3つがあります。

  • フリーランスエージェントやSES案件サイトで案件の単価レンジを調べる
  • 信頼できるエージェントや自社の営業担当に市場相場感を聞く
  • エンジニア仲間との情報交換やオンラインコミュニティで情報収集する

一般的に、SESエンジニアの人月単価相場は案件やスキルによりますが、月額50万円から70万円前後が一つの目安とされています。自分の専門分野や経験年数に応じた適正単価レンジがおおよそ掴めたら、それを基準に希望単価を設定しましょう。

希望単価の設定

市場相場と自分の実績を踏まえて、目標とする単価水準を自分の中で明確にします。同時に、最低ここまでは上げてほしいというボトムラインも決めておきましょう。

希望単価を設定する際のポイントとして、以下の3つがあります。

  • 目標単価と妥協ラインの2つを設定しておく
  • 最初の提示額は希望よりも少し高めに設定する
  • 現場の単価上限や企業の予算規模も考慮する

交渉は妥協点の探り合いでもありますので、最終的にどのラインで折り合うか想定しておくと安心です。自分の中で基準を持っておけば、交渉中に提示額を聞いて慌ててしまうことも避けられます。

交渉材料の用意

単価交渉を成功させるには、自分の価値を証明するための資料を準備しておくことが大切です。口頭説明だけでなく、必要に応じて数字や事例を示せるようにしておきましょう。

交渉材料として用意すべきものは、以下の3つがあります。

  • 更新したスキルシートや取得した資格の証明書
  • プロジェクトでの成果レポートや具体的な数値データ
  • 市場相場のデータや類似案件の単価情報

資料は簡潔に、事実ベースでまとめるのがポイントです。これらの交渉材料を整えることで、相手に納得してもらえる土台ができ、単価アップの可能性が高まります。

SESの単価交渉で避けるべきNG行動

SESの単価交渉で避けるべきNG行動

SESの単価交渉は、やり方を間違えるとクライアントや自社営業との関係を損ね、最悪の場合は契約終了につながるリスクもあります。ここでは、単価交渉で絶対に避けるべき4つのNG行動を解説します。

NG行動として、以下4つが挙げられます。

  • 根拠のない要求
  • タイミングの悪さ
  • 一方的な要求
  • 口頭のみの交渉

これらのNG行動は、交渉の失敗だけでなく、今後の関係性にも悪影響を及ぼす可能性があります。それぞれのNG行動について、なぜ避けるべきなのかを確認しましょう。

根拠のない要求

単価アップは相手にとってコスト増を意味するため、それを上回る納得理由が不可欠です。単なる生活が苦しいから、周りも上がっているからという感情論だけでは、クライアントや自社営業は納得しません。

根拠のない要求を避けるために注意すべき点として、以下の3つがあります。

  • 単価アップの理由を必ず言語化しておく
  • スキルアップや実績など客観的な根拠を用意する
  • クライアントにとってのメリットを明確に示す

前回契約時よりエンジニアとしてのレベルが向上していることは最適な理由の一つです。資格取得や新技術の習得、大規模プロジェクトの成功経験など、過去の自分と比べて明確に成長した点を整理しましょう。

タイミングの悪さ

プロジェクトの真っ只中に突然交渉を切り出すのは望ましくありません。納期や成果に向けて走っている途中で単価を上げてほしいと要求されると、先方はプロジェクト進行への影響を懸念し、交渉に応じにくくなるからです。

タイミングの悪さを避けるために注意すべき点として、以下の3つがあります。

  • プロジェクト中盤以降の突然の交渉は避ける
  • 自身の成果がまだ出せていない段階での交渉は避ける
  • トラブルを起こした直後の交渉は避ける

交渉はあくまで相手が納得しやすい状況で行うことが鉄則です。契約更新時や新規プロジェクト参画時、予算取り時期など、適切なタイミングを見極めて交渉しましょう。

一方的な要求

単価を上げてくれないなら契約を辞めますといった高圧的な態度で交渉に臨むのは絶対に避けるべきです。クライアントからすれば、そのような態度は脅しと受け取られかねません。

一方的な要求を避けるために注意すべき点として、以下の3つがあります。

  • あくまでご相談・ご提案という謙虚な姿勢を忘れない
  • クライアントの予算や事情にも配慮する
  • 複数の選択肢を提示して柔軟に交渉する

自分の要求だけを押し付けるのではなく、相手の立場に立って、双方にとって良い着地点を探したい旨を伝え、歩み寄りの姿勢で交渉を進めましょう。

口頭のみの交渉

単価交渉を口頭のみで行うことも、よくある失敗パターンの一つです。口頭での交渉は、記録が残らないため言った言わないのトラブルになる可能性があります。

口頭のみの交渉を避けるために注意すべき点として、以下の3つがあります。

  • 交渉の打診は必ずメールやチャットで行う
  • 対面で交渉した後も内容を文書で残す
  • 合意内容は必ず書面で確認する

対面での交渉はお互いに感情的になりやすく、冷静な判断が難しくなることがあります。特に細かい金額や条件については、必ずメールやチャットなど書面でやり取りを残すことが鉄則です。

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