SES契約における労働者派遣事業許可の必要性を解説

SES契約における労働者派遣事業許可の必要性を解説

SES契約における労働者派遣事業許可の必要性

SES契約における労働者派遣事業許可の必要性

SES事業を行う場合、労働者派遣事業許可が必要かどうか不安に感じる事業者は少なくありません。結論から言うと、SES契約は準委任契約であり、原則として労働者派遣事業許可を取得する必要はありません。

SES契約における労働者派遣事業許可の必要性について、以下の2点を理解しておくことが重要です。

  • SES契約では原則として許可は不要
  • 許可が不要な理由

それぞれについて詳しく解説していきます。

SES契約では原則として許可は不要

SES契約は準委任契約として締結されるため、労働者派遣事業許可を取得する必要はありません。準委任契約とは、特定の事務を行うことを委託する契約であり、仕事の完成ではなく業務の遂行そのものが目的となります。

労働者派遣法第5条第1項では、労働者派遣事業を行う場合は厚生労働大臣の許可が必要と定められています。無許可で労働者派遣事業を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があるため注意が必要です。

しかし、SES契約は労働者派遣には該当しないため、この許可を取得しなくても適法にエンジニアを客先常駐させることができます。登録や許可の手続きが不要なため、使い勝手が良い契約形態として多くのIT企業が活用しています。

許可が不要な理由

SES契約で労働者派遣事業許可が不要な理由は、指揮命令権の所在が異なるためです。指揮命令権とは、労働者に対して業務上の指示を行う権限のことを指します。

労働者派遣契約では、派遣先企業が派遣労働者に対して直接指揮命令を行います。派遣先企業は、業務の進め方や作業内容について具体的な指示を出すことが可能です。

一方、SES契約では、指揮命令権はエンジニアが所属する企業側にあります。クライアント企業はSE提供企業に対してシステム開発業務を委託しており、業務の履行地がクライアント企業に指定されているだけで、クライアント企業がエンジニアを直接指揮命令することはできません。

このように、指揮命令関係が存在しないため、SES契約は労働者派遣事業に該当せず、労働者派遣事業許可を取得する必要がないのです。

SES契約と労働者派遣契約の違い

SES契約と労働者派遣契約の違い

SES契約と労働者派遣契約は、どちらもエンジニアが客先企業で働くという点では共通していますが、法的な性質は大きく異なります。この違いを正しく理解しておかなければ、偽装請負として違法と判断される可能性があるため注意が必要です。

両者の違いを明確にするため、以下の2つの観点から解説します。

  • 指揮命令権の所在
  • 契約形態の違い

それぞれの違いについて、詳しく見ていきます。

指揮命令権の所在

SES契約と労働者派遣契約の最も大きな違いは、指揮命令権がどこにあるかという点です。この違いが、労働者派遣事業許可の必要性を分ける重要な判断基準となります。

契約形態 指揮命令権の所在 特徴
SES契約 SE提供企業(派遣元) クライアント企業は直接指示できない
業務遂行の管理は派遣元企業が行う
労働者派遣契約 クライアント企業(派遣先) 派遣先企業が直接指示できる
業務内容や作業方法を指定可能

SES契約において、クライアント企業がエンジニアに対して直接業務指示を出している場合、実質的に労働者派遣と評価され、偽装請負として違法と判断される可能性があります。職業安定法および労働者派遣法に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があるため、指揮命令関係の有無を定期的に確認することが重要です。

契約形態の違い

SES契約は準委任契約、労働者派遣契約は労働者派遣法に基づく派遣契約という異なる契約形態です。この契約形態の違いが、業務の進め方や責任の所在に影響を与えます。

準委任契約であるSES契約では、システム開発業務という特定の事務を委託することが目的です。SE提供企業は、業務遂行に必要なエンジニアの人数やメンバー、作業工程などを自社で管理する必要があります。

また、SE提供企業は受任事業について財政上も法律上も責任を負っています。就業時間や服務規律についてもSE提供企業が定めるため、クライアント企業が一方的に始業時間や終業時間を決定することはできません。

一方、労働者派遣契約では、派遣元企業が雇用している人材を派遣先企業の指揮命令下で労働させます。派遣先企業は派遣労働者に対して直接業務指示を出すことができるため、現場の判断で業務内容を変更したり、労働時間に関して指示を出すことが可能です。

SES企業が労働者派遣事業許可を取得する理由

SES企業が労働者派遣事業許可を取得する理由

SES契約では原則として労働者派遣事業許可は不要ですが、実際には多くのSES企業が労働者派遣事業許可を取得しています。厚生労働省が提供する労働者派遣事業所検索サイトで確認すると、大手企業から零細企業まで、多数のSES企業が労働者派遣事業許可を取得していることがわかります。

SES企業が労働者派遣事業許可を取得する主な理由は以下の3つです。

  • 偽装請負のリスク回避
  • 労働者派遣事業許可を取得するメリット
  • 労働者派遣事業許可の取得要件

それぞれについて、詳しく解説していきます。

偽装請負のリスク回避

SES企業が労働者派遣事業許可を取得する最も大きな理由は、偽装請負のリスクを回避するためです。偽装請負とは、実際は労働者派遣であるにもかかわらず、請負契約や準委任契約を偽装して契約することを指します。

契約書上はSES契約として整理されていても、現場においてエンジニアがクライアント企業の指示を受けて作業をしている場合、実質的に労働者派遣であると評価されてしまいます。業務上の指揮命令関係があるかどうかは現場の実態から判断されるため、契約内容だけでは偽装請負を回避できません。

IT市場需要の拡大に伴い、SES事業を行う企業が増加しており、優秀なエンジニアの取り合いになっています。そのため、クライアントの要望にどれだけ応えられるかが、案件獲得に影響するようになりました。

その結果、クライアント企業が主導権を握ってしまい、実質的に指揮命令関係が生じるケースが増えています。このような状況に備え、労働者派遣事業許可を取得しておけば、仮に偽装請負と指摘された場合でも「準委任契約ではなく派遣契約での対応も可能」と説明できるため、リスク回避につながります。

労働者派遣事業許可を取得するメリット

労働者派遣事業許可を取得することによって、SES企業は複数のメリットを得ることができます。許可を取得しておくことで、事業の柔軟性が向上し、クライアントやエンジニアからの信用度も高まります。

メリット 詳細
契約形態の選択肢が増える 準委任契約と派遣契約の両方で対応可能
クライアントのニーズに柔軟に対応できる
企業の信用度が向上する 許可を取得していることで信頼性が増す
クライアントやエンジニアからの評価が高まる
偽装請負のリスク軽減 指揮命令関係が生じても違法にならない
法的リスクを回避できる

また、労働者派遣事業許可を取得している企業は、クライアント企業からも選ばれやすくなります。クライアント側も、無許可で労働者派遣事業を行っている企業と取引すると法的責任を問われる可能性があるため、許可を取得している企業との取引を優先する傾向があります。

労働者派遣事業許可の取得要件

労働者派遣事業許可を取得するためには、労働者派遣法で定められた要件を満たす必要があります。申請すればすぐに許可が下りるわけではなく、ある程度の資金と管理能力が求められます。

労働者派遣事業許可の主な取得要件は以下のとおりです。

  • 事業者が刑事罰などの法に触れていないこと
  • 特定の企業にのみ派遣を行う目的でないこと
  • 適切な雇用管理がされていること
  • 適切な個人情報管理をしていること
  • 資産要件や事務所要件を満たしていること

特に資産要件については、基準資産額が2000万円以上であること、現預金額が1500万円以上であることなど、具体的な数値基準が設けられています。また、事務所要件としては、事業所ごとに20平方メートル以上の面積が必要であり、風俗営業や他の事業と明確に区画された専用の事務所スペースを確保しなければなりません。

これらの要件を満たすには、SES事業を始めると同時に申請するのか、実績を積んで資金を貯めてから申請するのか、きちんと計画を立てる必要があるでしょう。労働者派遣事業許可を取得することがデメリットとなることはないため、事業規模や資金状況に応じて取得を検討することをおすすめします。

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