SESの事業内容を職務経歴書に書く方法
職務経歴書でSESの事業内容を記載する際は、具体性と読みやすさを意識することによって、採用担当者に実務経験やスキルを効果的に伝えられます。SESエンジニアとしての経験を正確に示すためには、職務経歴要約・職務経歴詳細・プロジェクト内容の3つのセクションで適切に記載する必要があります。
職務経歴書では、以下の3つの記載方法があります。それぞれに記載すべき内容が異なるため、各セクションの特徴を理解したうえで作成することによって、説得力のある職務経歴書を完成できます。以下では、各記載方法について詳しく解説していきます。
- 職務経歴要約での書き方
- 職務経歴詳細での書き方
- プロジェクト内容の書き方
職務経歴要約での書き方
職務経歴要約は、職務経歴書の冒頭に配置されるセクションで、これまでの経験を端的にまとめる役割を果たします。採用担当者が最初に目を通す箇所であるため、SESエンジニアとしての経験年数・担当した業務の種類・主な実績を簡潔に記載することによって、強い第一印象を与えられるでしょう。
具体的には、「SESエンジニアとして5年間、システム開発に従事」といった経験年数の明記から始め、「常駐先では要件定義から運用保守まで一貫して担当」のように担当フェーズを示します。さらに「プロジェクトリーダーとして15名のチームをマネジメントし、納期遵守率100%を達成」のように数値を用いた実績を添えることで、客観的な評価を得やすくなります。
職務経歴要約は5行から6行程度の長さにまとめ、応募先企業が求める人物像と親和性の高い経歴を優先して記載することが重要です。SESの事業内容については、「クライアント企業に常駐してシステム開発を支援」といった簡潔な表現で十分伝わります。
職務経歴詳細での書き方
職務経歴詳細では、携わったプロジェクトごとに期間・役割・業務内容・成果を具体的に記載します。SESの事業内容を記載する際は、常駐先の業界や規模感を示すことによって、経験の幅と専門性をアピールできるでしょう。
記載する際は、プロジェクト期間を「2022年4月から2023年3月」のように明記し、常駐先の情報を「金融業界向けシステム開発」や「大手通信企業のインフラ構築」といった形で抽象化します。その後、担当フェーズを「要件定義、設計、開発、テスト」のように列挙し、使用した技術スタックを「Java、Spring Boot、PostgreSQL」と具体的に示すことが有効です。
業務内容の説明では、「APIの設計・開発を担当し、システムの応答速度を20%向上させた」のように定量的な成果を含めることによって、貢献度を明確に伝えられます。また「5名のチームでプログラミングを担当」といったチーム規模の記載も、プロジェクトのイメージを伝えるのに役立つでしょう。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 期間 | 2022年4月から2023年3月(12ヶ月間) |
| 常駐先 | 金融業界(営業支援システム開発) |
| 担当フェーズ | 要件定義、設計、開発、テスト |
| 使用技術 | Java、Spring Boot、PostgreSQL、Docker |
| チーム規模 | 全15名(開発チーム5名) |
| 実績 | API開発を担当し応答速度を20%向上 単体テストの不具合検出率を15%改善 |
プロジェクト内容の書き方
プロジェクト内容を記載する際は、プロジェクトの概要・自身の役割・具体的な取り組み・達成した成果の4つの要素を含めることによって、業務遂行能力を効果的にアピールできます。SESの事業内容を示す際は、クライアント企業の課題解決にどのように貢献したかを明示することが重要です。
プロジェクト概要では、「既存の在庫管理システムの全面リニューアル」や「新規ECサイトの構築」といった開発目的を記載し、自身の役割は「バックエンド開発を担当」や「プロジェクトリーダーとしてチームをマネジメント」のように明確にします。具体的な取り組みとしては、「データベース設計を見直し、クエリの実行速度を30%改善」や「チーム内でコードレビュー制度を導入し、バグの発生率を25%削減」といった工夫を記載しましょう。
達成した成果については、「納期前にすべての機能をリリースし、クライアントから高評価を獲得」や「システムの稼働後、問い合わせ件数を40%削減」のように定量的な結果を示すことによって、実務能力の高さを証明できます。プロジェクト内容の記載は、単なる業務の羅列ではなく、課題・対応・結果のセットで構成することが効果的です。
SESの常駐先企業名を記載する際の注意点
SESエンジニアが職務経歴書を作成する際、常駐先企業名の取り扱いは最も注意すべきポイントです。多くのSES企業では、クライアント企業と秘密保持契約を締結しているため、企業名を無断で記載すると契約違反となる可能性があります。常駐先企業名を記載できるかどうかは、契約内容によって判断が異なるため、適切な対処法を理解することによって、リスクを回避しながら効果的な職務経歴書を作成できるでしょう。
常駐先企業名を記載する際には、以下の3つの判断基準があります。それぞれの状況に応じて適切な記載方法を選択することによって、守秘義務を守りながら自身の経験を正確に伝えられます。以下では、各判断基準について詳しく解説していきます。
- 秘密保持契約がある場合
- 記載可能な範囲
- 業界名での代替表現
秘密保持契約がある場合
秘密保持契約(NDA)を締結している場合、常駐先企業の名称や詳細なプロジェクト情報を職務経歴書に記載することは契約違反となります。SES企業では、クライアント企業の機密情報やプロジェクトの内容について守秘義務を負うことが一般的であり、この義務に違反した場合は損害賠償を請求される可能性があるため、十分な注意が必要です。
秘密保持契約の対象となる情報には、クライアント企業名だけではなく、プロジェクト名・システム名・開発中のプロダクトの詳細・技術的な仕様なども含まれます。職務経歴書を作成する前に、雇用元のSES企業に確認し、どの情報が開示可能かを明確にすることが重要です。
万が一、秘密保持契約に違反してしまった場合、転職活動に支障をきたすだけではなく、法的な責任を問われる恐れもあります。契約内容を十分に確認したうえで、許可されている範囲内で職務経歴を記載することによって、トラブルを未然に防げるでしょう。
記載可能な範囲
秘密保持契約がある場合でも、職務経歴書に記載できる情報は存在します。具体的には、業界の種類・プロジェクトの規模・担当した役割・使用した技術スタックなど、クライアント企業を特定できない形での記載は許容される場合が多いでしょう。
記載可能な情報としては、「金融業界向けシステム開発」や「製造業の在庫管理システム構築」といった業界分類、「全15名規模のプロジェクト」や「6ヶ月間のシステムリニューアル案件」といった規模感の説明が挙げられます。また「Java、Spring Bootを使用したWebアプリケーション開発」のように使用技術を明記することで、技術力を具体的に示せます。
| 情報の種類 | 記載可否 |
|---|---|
| クライアント企業名 | 秘密保持契約がある場合は記載不可 契約がない場合は記載可能 |
| 業界分類 | 金融、製造、通信などの大分類での記載は可能 |
| プロジェクト規模 | 期間、人数、予算規模などの記載は可能 |
| 担当業務 | 要件定義、設計、開発などの記載は可能 |
| 使用技術 | プログラミング言語、フレームワークなどの記載は可能 |
業界名での代替表現
クライアント企業名を記載できない場合は、業界名を用いた代替表現によって、プロジェクトの内容を効果的に伝えられます。採用担当者は、業界名から応募者の経験領域や専門性を判断するため、適切な業界分類を選択することが重要です。
代替表現としては、「大手通信企業向けインフラ構築」「金融機関の基幹システム開発」「医療機器メーカーの品質管理システム」といった形で、業界と業務内容を組み合わせて記載します。この方法によって、クライアント企業を特定することなく、プロジェクトの特性や難易度を伝えられるでしょう。
業界名を記載する際は、「IT業界」「サービス業」といった広すぎる分類ではなく、「SaaS事業者」「EC事業者」「エネルギー関連企業」のように具体性を持たせることで、より明確な経験の伝達が可能になります。ただし、業界と業務内容の組み合わせによってクライアント企業が推測できる場合は、さらに抽象度を上げた表現に調整する必要があります。
SESの事業内容を履歴書に書く方法
履歴書でSESの事業内容を記載する際は、簡潔さと正確性を重視することによって、採用担当者に必要な情報を効率的に伝えられます。履歴書は職務経歴書と異なり、記載スペースが限られているため、要点を絞った記述が求められるでしょう。
履歴書では、以下の2つの記載箇所があります。それぞれの記載箇所で適切な表現を選択することによって、SESエンジニアとしての経験を正確に示せます。以下では、各記載箇所について詳しく解説していきます。
- 学歴・職歴欄での書き方
- 配属先の記載方法
学歴・職歴欄での書き方
学歴・職歴欄では、入社した会社名と配属部署を正式名称で記載し、SESエンジニアとしての業務内容を簡潔に添えます。学歴は最終学歴を含む2校分を記載するのが一般的で、大学の場合は学部・学科・専攻も明記することによって、技術系のバックグラウンドをアピールできるでしょう。
職歴の記載では、「2022年4月 株式会社〇〇 入社」のように年月と会社名を記載し、次の行で「システム開発部配属 SESエンジニアとして客先常駐」と業務内容を添えます。その後、「テスト・運用・保守業務を2年間担当」や「3年目から要件定義・設計を担当」といった経験の変遷を時系列で記載することによって、キャリアの成長過程を示せます。
退職理由は「一身上の都合により退職」と簡潔に記載し、最後は「現在に至る」または「以上」で締めくくります。学歴・職歴欄では、常駐先企業名を記載する必要はなく、所属するSES企業での業務内容を示すことで十分です。
配属先の記載方法
配属先を記載する際は、所属するSES企業の部署名を正確に記載し、常駐先企業については秘密保持契約の有無に応じて判断します。秘密保持契約がある場合は、「客先常駐し、システム開発業務を担当」といった形で常駐先企業名を省略し、契約がない場合でも「大手通信企業に常駐」のように抽象化した表現を用いることが無難です。
配属先の記載では、「システム開発部配属」や「インフラ事業部配属」のように部署名を明記したうえで、「SESエンジニアとして客先に常駐し、開発業務を担当」と業務内容を補足します。この記載方法によって、SES企業での立場と業務内容を明確に示せるでしょう。
配属部署が複数回変更されている場合は、それぞれの配属年月と部署名を記載し、「営業部からシステム開発部へ異動」のように変遷を示すことで、キャリアの幅を伝えられます。履歴書では詳細な業務内容は職務経歴書に譲り、基本的な所属情報を正確に記載することに注力することが重要です。
SESの事業内容を記載する際に採用担当者が見るポイント
採用担当者がSESの事業内容を確認する際、読みやすさ・具体性・実績の3つの観点から評価します。これらのポイントを押さえた職務経歴書を作成することによって、書類選考の通過率を高められるでしょう。
採用担当者は、以下の3つのポイントを重視しています。それぞれのポイントを理解したうえで職務経歴書を作成することによって、採用担当者に好印象を与えられます。以下では、各ポイントについて詳しく解説していきます。
- 職務経歴が読みやすく整理されているか
- 募集要項と経歴が一致しているか
- 定量的な実績が記載されているか
職務経歴が読みやすく整理されているか
採用担当者は多くの応募書類に目を通すため、読みやすく整理された職務経歴書は高く評価されます。文字サイズやフォント、行間に統一感を持たせ、見出しを活用して情報を構造化することによって、必要な情報を素早く把握できる書類になるでしょう。
読みやすさを向上させるためには、各セクションを明確に分け、職務経歴要約・職務経歴詳細・保有資格・自己PRといった項目ごとに段落を設けることが有効です。また、箇条書きや表を活用して視覚的に情報を整理することで、採用担当者の負担を軽減できます。
職務経歴書のレイアウトは、応募者の仕事への丁寧さや配慮を示す指標となるため、誤字脱字のチェックを含めて細部まで注意を払うことが重要です。読み手の視点に立って構成を工夫することによって、他の応募者との差別化を図れるでしょう。
募集要項と経歴が一致しているか
採用担当者は、応募者の経歴が募集要項で求められるスキルや経験と一致しているかを重点的に確認します。応募先企業が優先する経歴や技術を理解し、それに沿った内容を職務経歴書の冒頭に配置することによって、ミスマッチを防げるでしょう。
募集要項に「Java開発経験3年以上」と記載されている場合は、Javaを使用したプロジェクトの経験を職務経歴詳細の最初に配置し、経験年数と具体的な開発内容を明示します。また「プロジェクトリーダー経験者優遇」といった条件がある場合は、マネジメント経験を強調することが効果的です。
応募先企業ごとに職務経歴書の内容を調整し、求められるスキルセットに合わせて記載の優先順位を変更することによって、書類選考の通過率を向上できます。自身の強みが応募先企業のニーズと一致していることを明確に示すことが、採用担当者の関心を引く鍵となるでしょう。
定量的な実績が記載されているか
採用担当者は、応募者の能力を客観的に判断するために、定量的な実績を重視します。プロジェクト規模・担当期間・チーム人数・達成した成果を数値で示すことによって、技術力や貢献度を具体的に伝えられるでしょう。
定量的な実績としては、「15名規模のプロジェクトでリーダーを担当」「開発期間6ヶ月のシステムを納期前に完成」「業務効率を20%向上」「システムの応答速度を30%改善」といった表現が挙げられます。これらの数値は、応募者の実務能力を証明する強力な根拠となります。
数値化が難しい業務であっても、「月間50件の問い合わせに対応」や「週次で5社とのミーティングを実施」のように具体的な業務量を示すことで、業務遂行能力をアピールできます。定量的な実績を積極的に盛り込むことによって、説得力のある職務経歴書を作成できるでしょう。