SES営業がひどいと言われる理由
SES営業は「エンジニアと企業の板挟みになる」「売上のためにエンジニアを商品として扱う」「トラブル対応ばかりで疲弊する」といった理由から、ひどい仕事だと言われています。営業側も良心と会社の方針の間で苦しんでおり、精神的に追い詰められるケースが多いです。
SES営業がひどいと言われる理由として、以下の4つが挙げられます。それぞれに深刻な問題があり、営業とエンジニアの双方が苦しむ状況を生み出しています。
- エンジニアと企業の板挟みになる
- 数字優先でエンジニアを商品扱いする
- IT知識不足のまま営業させられる
- トラブル対応を全て押し付けられる
各理由について、詳しく解説していきます。
エンジニアと企業の板挟みになる
SES営業はエンジニアと派遣先企業の双方から要求を突きつけられるため、常に板挟み状態に陥ります。エンジニアからは「希望の案件と違う」「単価が安すぎる」「現場の雰囲気が悪い」といった不満が寄せられ、企業からは「エンジニアのスキルが想定より低い」「契約期間を延長したいのにエンジニアが辞めたいと言っている」といったクレームが入ります。
双方の不満を調整しながら仕事を進める必要があるため、営業は精神的に疲弊しやすいです。エンジニアの相談を親身に聞けば上司から「時間の無駄だ」と叱られ、会社の方針に従えばエンジニアから信頼を失うことになります。どちらを選んでも誰かに裏切り者扱いされるという孤独感が、営業を苦しめる大きな要因になっています。
数字優先でエンジニアを商品扱いする
SES営業では売上目標や稼働率のノルマが厳しく設定されており、エンジニアを人間ではなく商品として扱う姿勢が蔓延しています。上司からは「エンジニアに感情移入するな。彼らは商品だぞ」「彼の希望なんて聞いてる暇はない。空いてる案件に今すぐアサインしろ」といった指示が飛び交います。
営業は毎日のように数字で詰められ、エンジニアのキャリアプランを考える余裕を失っていきます。本人の希望と真逆の案件を笑顔で勧めたり、スキルに合わない案件に経歴を少し盛って提案したりするケースもあり、良心と現実の間で苦しむ営業が多いです。エンジニアのことを考えすぎる営業ほど心を病んで辞めていき、結果として利益しか考えない営業だけが残る負の連鎖が生まれています。
IT知識不足のまま営業させられる
SES営業は未経験で入社するケースが多く、IT知識がゼロの状態で営業活動を開始することになります。エンジニアが「Javaで開発したい」「フロントエンドが得意」と言っても、「JavaとJavaScriptって別物なの」「フロントエンドって何」と頭が真っ白になる状況が続きます。
打ち合わせで技術的な質問をされても答えられず、「勉強不足だね」と一蹴されることも多いです。クライアントはITやWebの専門家であるため、営業も同じ知識量で会話しなければならず、日々ITに関する情報にアンテナを張り続ける必要があります。プライベートでも仕事のことを考えなければならない状況が苦痛に感じられ、きついと感じる営業が多いです。
トラブル対応を全て押し付けられる
SES営業はエンジニアが派遣先で働き始めた後も、トラブル対応を全て担当する必要があります。エンジニアのスキルがマッチしない、欠勤や遅刻が多い、現場で問題を起こしたといったトラブルが発生すると、営業がクライアントと交渉して解決しなければなりません。
エンジニアから深夜に「課長から毎日怒鳴られて限界です。残業も月80時間を超えています」とSOSの電話がかかってきても、上司に相談すると「彼の根性が足りないだけだ。甘やかすな」と突き返されます。結局営業は「もう少し頑張って」としか言えず、エンジニアが体調を崩して退職するケースもあります。営業力以外の面でもさまざまなことに気を遣わなければならず、精神的な負担が大きい仕事です。
ひどいSES営業の特徴
ひどいSES営業は「スキルに合わない案件を無理に押し付ける」「単価や契約内容を隠す」「エンジニアの相談に乗らない」といった行動を取ります。これらの営業は自社の利益ばかりを優先し、エンジニアに寄り添えないため、クズと呼ばれることもあります。
ひどいSES営業の特徴として、以下の3つが挙げられます。それぞれがエンジニアとの信頼関係を破壊し、業界全体の評判を悪化させる原因になっています。
- スキルに合わない案件を無理に押し付ける
- 単価や契約内容を隠す
- エンジニアの相談に乗らない
各特徴について、詳しく解説していきます。
スキルに合わない案件を無理に押し付ける
ひどいSES営業は会社の売上を優先するあまり、エンジニアのスキルに合わない案件を無理に押し付けます。Java経験2年が必要な案件に対して、1年しか経験がない新人エンジニアの経歴を少し盛って提案し、「大丈夫、現場で覚えるから」と送り込むケースもあります。
Webフロントエンドを極めたいと目を輝かせているエンジニアに、保守運用の案件を勧めることもあります。営業は「将来のために、まずはインフラ周りの知識も身につけておいた方がいいですよ」と笑顔で説得しますが、実際は空いている案件がそれしかなかったり、会社の売上目標があったりするだけです。結果としてエンジニアは現場でスキル不足に苦しみ、精神的に追い詰められて退職するケースが発生します。
単価や契約内容を隠す
ひどいSES営業は自社の利益を確保するため、エンジニアに対して単価や契約内容を明かさないことがあります。「私の単価はいくらですか」「なぜ教えられないんですか」といった質問に対して、明確な答えを避けてはぐらかします。
多重下請け構造により中間マージンが不透明になっているため、エンジニアの取り分が少ないという印象が営業への批判につながっています。営業が自分たちだけが利益を得るようなイメージを持たれてしまい、エンジニアとの信頼関係が築けません。都合の悪い質問をはぐらかす営業は隠したい事実があるため、エンジニアから見て不信感を抱かれやすいです。
エンジニアの相談に乗らない
ひどいSES営業はエンジニアに連絡や相談をせず案件を受注してしまい、連携不足を指摘されます。エンジニアが現場でトラブルに直面しても「もう少し頑張って」としか言わず、本質的な解決策を提示しません。
常に会社の方針だからを連発し、エンジニアの立場に立って会社と交渉しようとしない営業も多いです。本当に良い営業は時として会社と戦ってでもエンジニアの利益を守ろうとしますが、ひどい営業はエンジニア個人の味方になろうとしません。キャリアプランを丁寧にヒアリングしようとしても、「そんなの聞いてる暇はない」と上司から言われてしまうため、営業側も板挟みになっている状況があります。
SES営業を疲弊させる会社の体質
SES営業を疲弊させる会社の体質として「利益しか見ない経営陣」「とにかく決めろ文化」「良心的な営業から辞めていく構造」が挙げられます。これらの問題は個人ではなくシステムの問題であり、会社全体の構造が営業とエンジニアの双方を苦しめています。
SES営業を疲弊させる会社の体質として、以下の3つが挙げられます。それぞれが負の連鎖を生み出し、業界全体の評判を悪化させています。
- 利益しか見ない経営陣
- とにかく決めろ文化
- 良心的な営業から辞めていく構造
各体質について、詳しく解説していきます。
利益しか見ない経営陣
SES企業の経営会議では「単価」「稼働率」「利益率」の話しか出ず、エンジニアの成長やキャリア支援という言葉は一切出てきません。多重下請け構造により下層の企業ほど利益が少なくなるため、経営陣は少しでも多くの利益を確保しようと必死になります。
営業に対しては「来月の売上目標は前年同月比120%だ」「単価交渉で負けるな。1円でも高く売れ」「稼働率95%を維持しろ。空いている人材は許さない」といった指示が飛び交います。エンジニアの給与は削られ、営業は無理な売上目標を課せられるため、双方が疲弊します。経営陣にとってエンジニアは売上を生み出すための道具でしかなく、人を大切にする姿勢が欠けています。
とにかく決めろ文化
SES営業に対する教育はとにかく決めろの一点張りで、エンジニアのキャリアを支援する方法や良い現場の見極め方といった本質的なスキルは教えてもらえません。新人研修で教わるのは「断られた時の切り返し話法」「単価交渉術」「引き留めテクニック」ばかりです。
営業は使い捨て感覚で採用され、精神的に追い詰められていきます。SES企業の営業の平均在籍期間はわずか1年程度というケースもあり、短期的な成果を求められることが多いです。高いノルマや厳しいプレッシャーにより、顧客やエンジニアの利益よりも自身の成果を優先せざるを得ない状況が生まれ、結果として両者の関係がぎくしゃくします。
良心的な営業から辞めていく構造
エンジニアの気持ちを理解し、本当に彼らのためになる仕事をしたいと考える営業ほど、会社の利益優先主義との矛盾に耐えられなくなります。辞めていった営業は「もう人を騙すような仕事はしたくない」「エンジニアに申し訳なくて夜も眠れない」「この会社にいたら自分が壊れてしまう」と口を揃えて言います。
結果として会社に残るのは、良心を捨てて数字だけを追う営業か、まだ現実を知らない新人だけになります。この負の連鎖がある限り、被害者であるエンジニアと良心的な営業は増え続けます。優秀な人材は他の業界に流れ、残るのはとりあえずの人材だけになってしまうため、業界全体の評判がさらに悪化する構造が生まれています。